お休みどころ

こころの相談活動を作り続ける
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呉秀三の本を読む2 2019年5月6日(月)

●内容の要点

・精神疾患は治らないものではなく、適切な治療を行えば改善しうる。
・当時の推定患者数15万人に対して、入院機関のベッド数が5000ほどしかないため、ほとんどの患者が十分な治療を受けられていない。
・病院での治療を十分に受けられていない人への対応のうち、私宅監置や民間療法が代表的。
・私宅監置の119例の調査報告。 民間療法についての調査報告(寺院・温泉)。
・患者の移送の調査報告。
・私宅監置の統計的な分析。
・私宅監置という制度は監禁に重点を置きすぎており、治療の必要性が無視されている。
・背景にある「精神病者監護法」にも同じ問題がある。
・今後は国が以下の4つに力を入れていくべきである。
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      精神疾患についての啓発活動
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●呉秀三の問題提起(私見)
  本の中では現代にもつながる重要な問題提起がなされている。以下の,らГ僕が読み取った現代への問いかけで、その問題に対してどんな進展があるかを☆で書いた。

”郎い簣家颪量簑   
      貧困が背景にあると治療や支援が進みにくい。
      医療機関にもつながらないことが多く、つながっても経済的に続かないことが多い。
      貧困があると家族間での虐待につながりやすい。
      障害年金などを導入しても、浪費の問題があると支援が進みにくい。
      まずは生活を立て直すことが必要である。

☆貧困や浪費の問題⇒福祉的な支援
      現代においては福祉的な支援が活発になってきている。
      精神保健福祉士や社会福祉士が支援に参加している。
      役場の福祉課の方との連携支援も増えている。
      生活保護だけではなくて、社協の生活困窮者自立支援制度もある。
      浪費の問題に対しても、社協の権利擁護事業や成年後見制度などを活用できることがある。
      経済面での予防的な支援が増えている。 

家族関係の問題
      精神疾患の症状のために家族関係が悪化することもある。
      家族に精神疾患への理解がないケースもある。
      家族にも精神疾患があるケースもある。
      家族との関係が悪いと治療や支援が進みにくい。
      結果的に長期入院につながりやすい。
      家族の負担が大きすぎるのではないか?

☆家族関係の問題⇒家族支援・社会資源
      家族支援も増えてきている。
      地域や病院の家族会もある。
      家族向けの啓発研修などもある。
      家族だけが患者を背負うのではなく、社会資源をできるだけ活用していく。
      病院でも精神保健福祉士や看護師が介入している。

支援機関の不足
      医療支援機関の数が少なくて、必要な支援を受けられない。
      受診したくても数カ月待たないといけないことも。
      退院した人たちの入所できる施設が少ない(グループホームなど)。
      通所できる施設が少ない(デイケアなど)。
      就労できる施設が十分にはない(A型・B型事業所など)。
      医療機関や支援機関の数が、ニーズの増加に追い付いていない。

☆支援機関の不足⇒連携の強化
      急に数を増やすことは難しいので、いまある機関の連携を強化して対応力を高めていく。
      医療機関と保健師のつながりも強まっている。
      医療機関・入所先・通所先・就労先のつながりも増えつつある。
      地域全体の支援力を高めていく。

ぜ匆馘な問題行動 
      社会的な問題を起こした患者の治療や支援は難しい。
      法律や処罰といった司法的な観点と、治療や支援といった医療的な観点とのバランスが求められる。
      再発予防が強く求められる。
      家族とも疎遠になりやすく、キーパーソン不在になりやすい。

☆社会的な問題行動⇒多職種での継続支援
      警察が病院につなぐことも増えている。
      措置入院の患者の退院後には保健所が中心となってフォローしている。
      医療観察法の制度があり、触法患者を継続的に多職種で支援していく枠組みがある。
      医療機関と司法機関の連携も少しずつ進んでいる(例:少年院)。
      司法機関が通院・入院命令を出すという形もおそらく将来的には増えていく(薬物依存・窃盗症など)。

テ中活動の不足
      日中活動が無いと、病状が悪化しやすく、社会機能が低下しやすい。
      日中活動が無いと、対人交流の能力も低下していきやすい。
      生活リズムが乱れて昼夜逆転しやすく、再発につながりやすい。
      引きこもり・貧困・衛生面の問題などにつながりやすい。

☆日中活動の不足⇒通所・就労支援
      現代では適切な日中活動は再発予防やQOLの向上のために重要視されている。
      デイケアなどの通所施設がある。
      就労継続支援事業所も増えてきている。
      一般就労に移行していける例も出てきている。
      どうしても通所につながらないケースでも訪問看護などを行うことができる。

Π楞の問題⇒いまも未解決
      家庭内暴力・病識の不足・引きこもり・幻覚妄想の悪化などのために、状態が悪くても医療機関につながらないケースがたくさんある。
      かつては病院スタッフが収容を行うこともあったが、現在は禁止されている。
      民間業者があるが、法制度にのっとっているのかに課題がある。
      適切な制度がないのが現在の状態。
      将来的には何らかの公的な枠組みを作ることが求められる。

予防活動の不足⇒年々充実してきている
      一次予防      精神疾患の発生を予防する⇒啓発活動など
      二次予防      発生した精神疾患を早期発見して重症化を予防する⇒こころの相談など
      三次予防      社会復帰を支援し、再発を予防すること⇒自助グループ 交流会 ヘルパー 保健師 訪問看護 デイケアなど


●問題提起の先にあるもの
      呉秀三の問題提起の先にあるものとして、地域での予防的な相談活動がある。
      予防的な支援を行っていると、多問題ケースが多いことに気付く。
      なかなか支援につながりにくく、近隣や行政も疲弊していることが多い。
      共生社会の実現のためには、多問題ケースを支援していける多職種チームや仲間が地域に育っていくことが必要である。

 

写真1   人吉での上映会をチラシ。

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