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児童青年精神医学会に参加する4 2018年10月13日(土)

●青年期の素行問題について〜外来でできること
◎児童思春期の発達障害における親に対する暴力をめぐって(館農幸恵)
・子どもの入院事例では、自閉スペクトラム症、ADHD、知的障害(と境界知能)のいずれもが半数以上にみられた。
・暴力のあるケースではないケースよりも入院期間が2倍近くになった。
・家族機能も予後に関係した。

◎兄弟間での問題(奥野正景)
・兄弟間の暴力問題はあまり注目されていないが、将来の精神的な問題のリスクとなる。
・どこまでが正常範囲の兄弟ゲンカで、どこからが問題なのかという線が引きにくい。
・ルールの設定、下の子の養育役割を多く与えない、療育機関の利用、親がケンカの解決のモデルになる、暴力を促進するようなメディアの利用も話し合う、などで対処している。

◎家族らと本人の悪循環による暴力頻発に苦慮した一自閉症例(猪股誠司)
・幼児早期の支援や保護者への養育支援が入らずに悪化するケースがある。
・経済的な安定や、発達障害への対応になれているスタッフのいる場所の利用、などで安定することがある。

◎多機関異業種連携のあり方と危機介入(山本彩)
・発達障害者支援センターでの対応に苦慮しているケースには、)椰佑忙抉腓鮗けるニーズがない、∨椰佑未診断のままである、F鷦‥な問題がある(暴力・引きこもり・強度の不安・強度の行動障害など)などがある。
・引きこもりのケースでは、家族だけの相談を受け続けることも多い。CRAFTという枠組みで支援すると、3分の2くらいのケースで、本人が相談や受診などの直接支援につながった。 
・普段の支援プランと別に危機的な事態の際のプランを作っておくと役に立つ。

◎討論
・家族機能の課題が大きいケースの支援に訪問看護を使えないか?
・相談支援機関のメリットとしては、支援の調整役になれることがある。また地域や支援システムの課題も見えやすい。デメリットとしては役割を可視可しづらく、過剰な期待を持たれやすいことがある。

 

●人間行動進化学からみた今どきの若者(長谷川壽一)
・人間行動進化学は、「我々はどこから来たのか、何者か、どこに行くのか?」の科学的な解明をはかろうとする学際的な学問分野である。研究プロジェクトの例として「共感性の進化・神経基盤」がある。
・ヒトの進化的適応環境の特徴。ヽ容精て颪聞皀┘優襯ーの食物に特化。道具の使用。集団内の協力。ぢ神ぢ紊任了勸蕕討伴匆馘な伝達。
・20万年前の若者といまの若者の違いは何か?古環境と現代環境のズレとは?
・ヒトの成長発達の特徴。^貳毛乳類には若者・思春期の時期がない。▲劵箸論成熟までの時間がきわめて長い。身長の伸びが鈍化する時期があり、この時期に脳が成長する。た板垢凌びのスパートが思春期。
・ヒトの脳は大きくゆっくり成長する。大きな脳を持つ代謝コストは大きい。エネルギーを多く消費する。
・コストを上回る利益とは?社会的な知性、メタ認知能力。
・大きな脳を維持するエネルギーを子どもは自力で得られない。そのためにヒトは共同養育システムを形成。高カロリー食物(ナッツ、根茎、肉など)を社会が供給。
・進化的にヒトの若者が直面してきたであろう課題。’朸者の探索。ペアボンドが基本。男性は配偶者獲得競争やひけらかしあり。この時期に内分泌の嵐あり。∪人の社会に加入する準備。自己制御、モラル、仲間との絆の形成、文化・知識・技術の習得、上の世代への挑戦。
・思春期と犯罪の関係。犯罪率のピークは10代なかば。男性が女性よりもずっと多い。20代になると急速に低下。ほとんどが窃盗や万引き。金品は同性間競争の手段と見なせる。脳の抑制系が未発達。
・前頭葉の完成は30歳ごろとされている。 
・不登校は中2・中3でピーク。主要因は情緒的混乱と無気力。校内暴力も中1〜中3がピーク。
・身長の伸びのピークの前後に性ホルモンの変化あり。男性はピークの前、女性はあと。
・殺人率にも性の効果と年齢の効果あり。男性が女性よりも圧倒的に多い。また若い男性の殺人率がもっとも高い。
・哺乳類でも同種間の殺し合いが死因の2〜4%を占めており、そのなかでいちばん多いのは雄どおしの争い。
・ところが日本では年齢の効果が1980年代に消失。若者の殺人率(攻撃性と見なせる)がいちじるしく低下。少年の刑法犯(リスク志向性と見なせる)も減り続けている。
・共感性の進化・神経基盤。痛み情動伝染が仲間の間で生じる。
・オキシトシンはヒトの親子だけでなく、ヒトと犬の絆にも関与している。オキシトシンは内集団びいきのホルモンとして働く。
・ただ共感には負の面もあるかもしれない。他集団排除を促すかもしれない。
・現代の若者が苦手なこと。‖侈魅灰潺絅縫院璽轡腑鵝⊇脇鼻熟書・熟話・熟聞。8浚兇鬚箸した現実把握。ぜ然とのふれあい。テ盻乎弔魃曚┐深匆馭Ъ院

 

●リスクを抱えた赤ちゃんと家族の出会いを支える(永田雅子)
・周産期には「親になる」という課題がある。
・昔は「授かりもの」だった子どもが、いまは「作る」という感覚。「元気な赤ちゃんが生まれてきて当たり前」という幻想を抱きがちなのかもしれない。
・不妊治療が一般的にはなったが、やはり心理的・身体的・経済的な負担が大きい。
・出生前診断は、もともとは「生」のための技術だったが、いまでは中絶のためになりつつある。染色体異常が発見されたケースの97%が中絶。
・生育限界は在胎22週であり、これ以後は赤ちゃんの人権が優先されるため、いかなる理由があっても中絶できない。
・在胎22・23週でも救命率が向上。しかし課題もあり。‘院の長期化、∈濛陲悗琉楾圓梁臺僂機↓H達面の予後。
・親の気持ちの揺れに寄り添い、葛藤を抱えるケアが必要。場合によっては親が低出生体重児の治療を拒否することもある。
・「どうして自分の子どもに起こったの?」「なぜ自分にだけふりかかったの?」と親は感じやすい。
・妊娠中や新生児期から母子を一体として治療する流れになってきており、多職種が協働するようになった。
・子どもの治療だけではなく発達を見すえて支援する。家族支援から退院後も含めての支援になってきた。
・周産期心理士ネットワークを1997年に立ち上げたときにはメンバーは5人だったが、いまでは180人以上になり、 8割以上のNICUに配置されるようになった。
・NICUの親子に起こりやすいこと。自分の思いを赤ちゃんに投影してしまう。無力感や罪悪感を抱く。赤ちゃんの状態が不安定であるほどネガティブな思いが誘発される。例えば赤ちゃんが目を開ければ「私をわかったのかしら」と思い、赤ちゃんが目を閉じれば「私を嫌がっているのかしら」と思うことがある。
・NICUの心理士として大事にしていること。\屬舛磴鵑鬟櫂献謄ブな存在として出会ってほしい。▲櫂献謄ブとネガティブと両方の思いを抱えたまま赤ちゃんといれる場の保証。赤ちゃんの行動や反応の読み取りを支えていく。た討隼劼離織ぅ潺鵐阿帽腓錣擦堂霪。
・退院したあとに面談を希望する保護者もある。
・心理士の立場から、家族が赤ちゃんと心理的に出会うことを助けることができる。
・スタッフも赤ちゃんに自分を投影して、親に批判的になりすぎたり、不安を感じやすい。
・場を育てることがNICUに心理士が入る目的。
・低出生体重児では、自律神経系・運動系・睡眠や活動の状態がそれぞれ未熟。発達障害が多い。限局性学習症、ADHD、自閉スペクトラム症。ただ自閉スペクトラム症とは別の状態だと見る流れあり。
・子どもが低出生体重だったり疾患を持って生まれてきた罪悪感は20歳を過ぎても続くことがある。子どもに何らかのつまづきがあったときに出現する。ゼロにはならない。

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