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児童青年精神医学会に参加する2 2018年10月11日(木)

   以下は僕が学会発表を聞きながら取ったノートです。内容には間違いがある可能性があり、文責は僕にあります。また発表をした人の話のごく一部しかメモを取れていません。記録は僕が興味を感じた部分に集中しています。

 

●シンポジウム  「逆境体験が子どもに与える影響」
◎ACEs studyについて(工藤紗弓)
・ACEとは「子ども時代の逆境的な体験」を指す言葉であり、虐待・ネグレクト・家族の機能不全などを子どもがどれだけ経験したかを指す。
・1998年のFelittiらの研究が古典となっている。このなかで、以下の4つが示された。ACEを経験することは珍しくない。1つ以上を経験した人は64%であった。ACEは複数経験することも多い。1つ以上を経験した人のうちの60%に2つ以上があった。ACEは精神疾患になりやすくするだけでなく、身体疾患(糖尿病やがんなど)や行動面の問題(薬物乱用など)も引き起こしやすくする。い修譴蕕離螢好はACEが多ければ多いほど高まる。
・以後のさまざまな研究でも、,らい六抻されてきた。
・ACEは精神疾患と関連が強い。うつ病、不安症、自殺企図、精神病症状など。
・現在ではACEと神経発達の関係やACEがDNAに及ぼす影響、ACEが次世代に及ぼす影響などが研究されている。
・ACEの悪影響に対する予防因子としては社会的なサポートがある。虐待的な体験をしてきた人を孤立させないことが大切。
・今後社会的に行うことが望ましいことには、ー匆馘サポートの充実、∋抉膽圓悗慮修、親への子育てトレーニング、などがある。
・また\賁膕醗奮阿凌佑砲ACEについて知ってもらう。∋塞愎猷覆箴児科と連携しての早期発見・早期介入。ファミリーサポートなども大切である。

◎小児期に逆境的体験を受けた子どもの多彩な病態に関する考察(笠原麻里)
・逆境的な体験を受けた子どもは多彩な症状をあらわし、病名がたくさん付いてしまう。成長のなかで病名が変わっていくことも多い。
・結果的に病態が見えにくくなってしまう。トラウマが見過ごされやすい。
・「発達性トラウマ障害」はとても有用な概念である。

◎児童虐待現場の子どもと親たち(古田洋子)
・児童相談所に勤務する精神科医の業務は多岐に渡る。子どもや親の診察・治療、児童福祉スタッフとの協議、診断書などの作成、裁判への出廷などが主な仕事である。
・家系図が複雑なケースが多い。いくつもの虐待を受けてきているケースも多い(母から身体的虐待を受け、母の内縁の夫から性的虐待を受けるなど)。
・養育する親自身も虐待を受けてきていることがある。
・虐待の後遺症としてADHD様の症状が出ることがある。
・専門的なトラウマ治療のプログラムに乗れないほど状態が不安定な人には、心理教育のプログラムを行っている。親に対して行うことも有効である。

◎逆境的環境で育った子どもへの治療的関わり(亀岡智美)
・トラウマの影響には以下のようなものがある。/佑鮨頼することを学んでいない。感情に気づきにくく、自由に感じられない。感情や行動のコントロールが苦手。L斉を想像できない。過去のことで頭がいっぱい。げ坦下圓簇鏗下圓量魍笋魴り返し演じてしまう。ゼ分は悪であると信じこんでいる。あきらめきっており、誰も理解してくれないと思いこんでいる。
・トラウマの影響に鈍感な支援現場では、再トラウマ化が起こってしまいやすい。よかれと思ってしていることでよけいに子どもを傷つけてしまう。
・「トラウマインフォームドケア」とは、子どもがどんなトラウマを経験してきたのかを知り、トラウマ症状を把握し、トラウマがどんな影響を与えているかを調べたうえでケアをすることを指す。これはアメリカの薬物乱用支援の文脈から生まれてきた理念。
・子どもに理論を伝え、子どもが自分で自分の人生をなんとかしていけるようになるのが目標。
・子どもにいままで生きてきた逆境とは違った状況があるんだと知ってもらうことが大切。またその子の歴史を尊重するのが大事。

 

●児童青年期の神経・精神発達疫学
◎乳幼児発達の意味するもの(久保田雅也)
・生後1年に発達するものには、/臾桶仞奪螢坤燹↓▲蹈灰癲璽轡腑鵝↓視覚的共同注意、などがある。
・睡眠覚醒リズムについては、最初はバラバラだった睡眠が、徐々に夜に集まり、昼間には起きていられるようになってくる。昼寝した赤ちゃんグループの方がトンネル課題をうまくできるようになっていたとの研究があり、睡眠を通して手続き記憶が固定されている可能性がある。
・ロコモーションについては、ずりばい→手の交互性→足背を床につけてのハイハイ、といった流れでハイハイが発達することが多い。ハイハイの発達の意義は大きく、無意識の能動性・自発性の基礎になることや、移動範囲の拡大、視点の多様化、遠隔の物への興味の高まり、などがある。
・共同注意は他者の心の理解の原初的な形態である。意味への自発的な接近の基礎になる。

◎General populationを対象とする出生コホート(HBCstudy)(土屋賢治)
・浜松の発達支援広場事業に関わっている。多様な心配がある子どもが集まっており、子どもたちの状態の評価をしている。
・自閉スペクトラム症の早期徴候としては、視線が合わないことや言葉の発達が遅れること、社会的微笑がないこと、常同行動があること、などがあげられている。しかし感度100%の早期徴候はない。1歳半から2歳で自閉スペクトラム症に気づけるという意見もあれば、難しいという意見もある。
・二語文の出現は2歳では半分強だった。2歳半でほぼ100%になった。
・言葉の発達は統計学的には5つのクラスに分けるのが妥当となった。発達が高め(12%)、標準(49%)、低め(21%)、遅延(14%)、強い遅延(4%)となった。女の子は高めに入りやすく、男の子は低めに入りやすかった。低め、遅延、強い遅延は自閉スペクトラム症と関連があった。
・他にも早産、父の年齢の高さ、胎盤と体重の比率が小さいこと、母の教育歴の低さ、などがリスクファクターであった。

◎子どもの自己肯定感を決めるものは何か(藤原武男)
・世界的に見ても日本の子どもの自己肯定感は低い。
・要因ははっきりしないが、毎日朝食を取る子の方が自己肯定感が高い。   
・要因ははっきりしないが、身体的・心理的虐待を受けている子どもの自己肯定感は下がっていなかった。ネグレクトでは下がっていた。
・家庭的な要因、学校の環境、などに加えて、ロールモデルになる大人がいるかどうかや、逃げ場となるサードプレイスがあるかどうかが自己肯定感に関係していた。
・学校でいちばん学ぶべきものは自発性・能動性なのではないか。

 

写真1 会場の回りには緑が多い。建物が歴史的な姿を残していることもあって、時間が止まっているような感じだった。

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