お休みどころ

こころの相談活動を作り続ける
<< January 2018 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
<< 2017年12月日録1 | main | 院内広報誌の原稿2 2017年12月24日(日) >>

院内広報誌の原稿3 2017年12月24日(日)

以下は僕が務める吉田病院の院内広報誌に書いた原稿です。発達症の1つである知的発達症の支援がテーマです。
 
知的発達症について
  発達症は比較的新しく整備された概念なのですが、知的な発達の遅れだけは古くから存在が知られていました。例えば知能検査などの状態評価の方法も、100年以上前から開発の歴史があるそうです。ですので学習・生活・就労などの支援体制も一番整っています。その点で他の発達症とは状況が異なると言えます。
  現代の診断基準では正式名は「知的能力障害(知的発達症)」です。「知的能力障害」という言葉が主流で「知的発達症」はあまり使われないのですが、僕は愛用しています。なぜなら「障害」という言葉には「固定した機能低下」といったニュアンスが強く、「知的発達の課題があるが、学習したり成長もしている」という状態とはズレがあると思うからです。また「障害」という言葉そのものに傷つく当事者や家族の方たちも多いです。ですのでこの文章では「知的発達症」の言葉を使おうと思います。
  ところで皆さんは知的な発達の遅れというと、どんな状態をイメージされるでしょうか?「言葉の理解が難しい」「施設に入所している」といった比較的重い状態をイメージされる方が多いかもしれません。ところが現場で関わってみてわかることは、大部分が軽度な方であることです。軽度・中等度・重度・最重度の割合はおよそ85%・10%・3〜4%・1〜2%とされています。そして軽度の方の場合会話もしっかりしておられ、日常生活動作もできることが多いので、とても気づかれにくいのです。いかに軽度の方に早く気づき、支援を入れていくかがポイントだと言えます。
  それでは生活・学習・就労の上でどんな問題が起こってくることがあるのでしょうか。これも軽度・中等度・重度・最重度のそれぞれによって変わってきます。ここでは軽度の方を想定して、年齢層を3つに分けて書いてみます(あくまでも起こる可能性のある症状であって、全員に起こるものではありません)。
●小学校入学まで 発語や歩き出すことの遅れ、言葉での指示が伝わりにくい、集団活動が苦手、かんしゃく、登園しぶりなど。
●小学校〜高校 学習がうまくいかない、対人トラブル、不登校、感情コントロールの苦手さ、ネット依存など。
●その後 仕事が短期間しか続かない、金銭管理の問題、衝動的な行動、十分に計画されないままの育児と養育困難など。
  このように症状は多岐にわたっています。またADHDや自閉スペクトラム症など他の発達症を合併することも多く、うつ病などの精神疾患も合併しやすいのです。精神科での治療も以下の点に注目しながら複合的に進めます。|療発達の遅れはどの程度か?他の発達症や精神疾患は合併していないか?身体疾患はないか?げ搬押νЭ諭職場などでの人間関係はどうか?シ从冖未楼堕蠅靴討い襪?ζ中活動は充実しているか?Ъ匆饑度は活用されているか?
  治療は医療機関だけで完結するものではありません。役場福祉課・保健センター・ハローワーク・就労継続支援事業所などと連携しながら進めていくものなのです。

 

参考資料 『臨床児童青年精神医学ハンドブック』(本城秀次・野邑健二・岡田俊編集、西村書店、2016年発行)

 

『お休みどころ』通信 | permalink | comments(0) | trackbacks(0) | - | -

この記事に対するコメント

コメントする









この記事のトラックバックURL
http://oyasumidokoro.rongakusha.com/trackback/1424899
この記事に対するトラックバック