お休みどころ

こころの相談活動を作り続ける
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九州大金魚博覧会に参加する 2018年11月23日(金)


   妻の美紗さんが金魚に関心があると最初に知ったのは、たしか新婚旅行で行ったオーストリアのウィーンの動物園でだったと思います。世界最古の動物園であるにも関わらず、コウモリの飛び交うなかを通り抜けるといった斬新な展示や創意工夫が溢れていて楽しかったです。そのなかに世界の金魚の展示されている一角があったのでした。僕の記憶違いでなければ、たしか美紗さんが喜んだんだと思います。
   それから何年も経って、娘のやすみがお祭りの金魚すくいで金魚をもらってきたことから、美紗さんが金魚を飼い始めることになりました。この最初の飼育はうまくいきませんでした。ほとんどが死んでしまったのです。
   1つ目の問題は、「和金(わきん)」と「出目金(でめきん)」を同じ水槽に入れてしまったことでした。原種のフナに近くて俊敏な和金と、ふんわりゆったり泳ぐ出目金とでは、スピードが違いすぎて合わないのです。結果的には追い回された出目金が水槽の保温器の裏にこもってしまい、そのまま死んでしまいました。種類の違う金魚は分けて飼うのが原則であること、また金魚の相性は試してみないとわからないことが多く、合わない場合はいったん離してあげないといけないことをあとで知りました。
   もう1つの問題は、病気対策をしなかったことでした。「尾ぐされ病」「転覆病」といった病気が金魚にもいろいろあり、疑われるときには対策を打たないといけないことをあとで知りました。対策には、”袖い龍盖を別の水槽に移す、⊃總紊凌紊鮹舷紊ら金魚の体液に近い濃度の塩水に変える、「ニューグリーンF」のような薬を使う、などがあるそうです。特に金魚すくいの金魚は病気を持っていることも多いので、はじめから塩浴をさせてあげる方がいいそうです。あとからわかったことがとても多いのでした。
   本を買って飼育法を調べていくうちに美紗さんの金魚熱に火が付き始め、本格的に金魚を飼うことになりました。インターネットで調べて見つけた、宮崎市の金魚屋さん「アクアプラン金魚館」に行ってみました。お店の方は一見愛想のいい方ではなさそうですが、お話をするとかなりの金魚への愛情や金魚を普及させたい気持ちで運営されていることがわかります。この方にいい飼育グッズを教えていただいたり、いろんな金魚を見せていただいたりしたのでした。
   美紗さんの好きな「らんちゅう」や出目金などを飼っていまに至ります。いまではらんちゅうの仲間は大きいもの5匹、小さいもの6匹、土佐金1匹、出目金の仲間3匹が家にいます。お世話をするのは美紗さんで、僕はたまに水槽を洗う手伝いをするくらいですが、家族が増えたような気がするのでした。
   その後熊本県長洲町にある「金魚の館」に行ったり、ハウステンボスで金魚とお花のコラボの展示を見たりしました。ただ僕たちは金魚の品評会には行ったことがなく、一度本格的に展示を見に行ってみたいと思っていました。そのときインターネットで見つけたのが、「九州大金魚博覧会」です。あくまでもインターネット上の記事によればですが、スタッフの方は金魚文化を残したいという気持ちで赤字になりながらされているそうです。去年は行けなかったのですが、幸い今年は祝日が休めましたので出かけてみました。
   福岡県のみやま市にある「東照寺」というお寺が会場です。着いてみると、大々的に金魚博覧会をやっているという感じではなく、意外でした。ですがお寺の境内に出店があり、金魚の無料提供があったり、安くでいい金魚を買えたり、金魚すくいをできたりしました。響が金魚を欲しがり、やすみは金魚すくいをしたがり、美紗さんも出目金を買って、また金魚が増えました(笑)。
   建物のなかでは金魚の展示があったのですが、とにかく大きくて美しい金魚ばかりでした。5万円といったびっくりするような価格が付いていましたが、たしかにめったにないような大きくて美形の金魚ばかりなのでした。さらに金魚グッズの販売コーナーがあり、ストラップやハンコ、絵、小物、衣類など、普段は見つからないものが多くて美紗さんが喜んでいました。
   出店の粕汁やお好み焼きなどもおいしかったです。博覧会の方も出店の方も、とにかく親切で、サービス精神がいっぱいなことに驚きました。「お寺の方が金魚が大好きで、始められたんだろうね」と美紗さんと話しました。いままでも感じてきたのですが、金魚好きな方は熱い人が多いですね。
   僕は知らなかったのですが、金魚を飼う文化の歴史は古く、江戸時代には確実に品評会があった記録があるそうです。金魚の魅力は美しさだけでなく多様性にあり、遺伝的にはそれほど差がないはずなのに、色や形に大きな違いが生じます。さらに原種のフナに戻ろうとする傾向があるため、何万匹もの稚魚のなかから美しくなりそうな魚を選り抜く作業を根気よく繰り返さないと、見た目に美しい金魚は生まれないそうです。金魚の美しさはある種の奇形のようなものであり、非常に人工的なものなのですね。
   手間ひまかけて美形の魚を作ることがいいことなのかはやや疑問が残らないわけではありませんが、芸術品とはそのようなものなのでしょう。先人たちから引き継いだ金魚の美をさらに高めようとしたり、新種を作り出そうとしている熱心なファンがたくさんいるそうです。僕は金魚を見るだけ、美紗さんは飼うだけですが、奥の深い世界だと感じます。どこまで入り込むかは美紗さん次第ですが、一度大規模な品評会にも行ってみたいです。

 

写真1 お休みどころの「らんちゅう」たち。

 

写真2〜5は福岡県みやま市で開かれた九州大金魚博覧会で撮った写真です。


写真2 金魚の無料配付コーナーもあった。響がほしいと言い、小さな「琉金(りゅうきん)」をいただいた。

 

写真3 金魚の販売コーナー。美紗さんは三色柄の琉金を2尾飼った。

 

写真4 館内ではさまざまな金魚が展示されていた。

 

写真5 東照寺の境内の出店の様子。粕汁がおいしかった。

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フリースクール「学びの杜学園」での面談 2018年11月25日(日)

   フリースクール「学びの杜学園」は不登校の子どもたちが通える学習の場です。鹿児島県日置市の廃校(いまは公民館になっている)を借りて、代表の江口直美さんが運営しています。一般のフリースクールと比べてしっかりした教育体制があるところに特色があります。また外部講師の協力が豊富で、通常の勉強に加えて、社交ダンス・活け花・津軽三味線・農作業など体感型の学習を取り入れているところも特色です。不登校の子どもが登校できるようになると学園を卒業するので人数の変動がありますが、数人から十数人くらいの子どもたちが通っています。中学生が中心です。
   僕は学園の設立時から手伝っていますが、当初はすべてが手探りだったこともあり、学園を訪問したり、合宿に参加したり、生徒や保護者と面談したりする機会がときどきありました。受診したり入院したりする生徒さんもありました。その後学園の運営が軌道に乗り、次第に僕の関わりも少なくなりました。
   ところが最近また学園をお手伝いすることが増えてきました。学園を訪問して生徒さんたちと話したり、教育者向けの勉強会をしたりです。そして今度は保護者面談の依頼があったので、出かけました。僕が遠方にも関わらず行きやすいのは、美紗さんの実家が鹿児島市なので、美紗さんの実家に滞在しながら行けるからです。
   家族面談は4組でした。3時間取っていたのですが、予定よりも1時間オーバーしてしまいました。家族面談は白熱しやすいですので、やはり今度からは1組1時間を取らないといけないですね。
   面談や学園からの相談を通して感じたことを以下に列記します。
  南日本新聞の一面で取り上げられたこともあり、鹿児島県内のほぼ全域から生徒さんが集まっている。
  発達症の比較的重い生徒さんも増えている。
  家族背景に課題のあるケースも増えている。
  結果として教育支援だけでなく、医療的な支援、そして福祉的な生活支援のニーズが高まってきている。
   福祉的な生活支援を行うためにはスクールソーシャルワーカーの力が必要です。いまは江口さんが一人でなんでもされていますが、教育者と支援者は分けないと、うまく支援が進まないです。多職種で役割分担をしながら関われる体制づくりが求められています。
   このソーシャルワークの部分が以前から学びの杜学園の弱点でした。協力者を探すことが当面の課題になると思います。直接的に支援をしなくても、ケースごとに課題を整理して介入の焦点を定めるだけでも助かります。豊富な経験を持つスクールソーシャルワーカーの方が参加してくださるとありがたいです。

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2018年11月日録1 

11/1(木) 美紗さんは友人の着物の先生に教わりながら、娘のやすみの七五三の着付けを練習している。美紗さんは自分で着物を着るのはすでにできるので、やすみに着せるのも簡単なのだろうと僕は思っていた。でも自分で着るのと、人に着せるのとでは、全然違うのだそうだ。美紗さんがためしにやすみに着せてみたが、着物がダブダブだったり、やすみがジッとしていられなかったりして、大変そうだった。着物は着せ方ひとつで気品が変わったりするそうで奥が深い。やすみに着物を自分で着せてあげたいというのが当初の美紗さんの願いだった。何年もかかって準備して、もうすぐ本番が来る。毎日子どもが寝たあとで美紗さんは練習している。 
11/3(土) 吉田病院の文化祭である「紅葉祭」が開かれた。18歳で高次脳機能障害を患い、その後歌手として活動してきた一ノ瀬たけしさんが歌を歌ってくださり、障害を受けとめて強みを活かして生きていく姿勢に感銘を受けた。子どもたちがたくさん来てくださり、キッズコーナーやスタンプラリーが大人気だった。精神科病院の文化祭というと地味なイメージがあるが、子どもたちの笑い声が響き渡る明るいお祭りになった。多くの人に病院に足を運んでいただき、親しみを持ってもらえたらうれしい。地域に開かれた病院になっていければすばらしいと思う。
11/4(日) 熊本県こども総合療育センターの療育公開講座「発達障害の人の就労支援」(梅永雄二)に参加した。発達症を持つ人たちの就労支援に長年取り組んできた方のお話で、非常に勉強になった。僕の印象に残った要点は以下のとおりだ。\人の発達症で支援を受ける対象は、自閉スペクトラム症の人が圧倒的に多い。発達症の人は就職もできにくく、かつ就職できても続きにくい状況にある。B狄Δ忙蠅詬由は業務能力ではないことが多い。むしろ業務自体は平均以上にできる人も多い。だ験茱螢坤燹κ歙供ΠЩ◆Υ蔽韻並仗邑鯲・金銭管理といった日常生活の基本的な活動能力(ソフトスキル)に課題があり、トラブルになることが多い。タ場の同僚や上司に発達症について知ってもらうことが有効。構造化や環境
調整も有効。 
11/6(火) 娘のやすみ(5歳)と響(3歳)の七五三だった。美紗さんはやすみの着物を自分で着付けられるように、ずっと前から練習してきた。事前に着付けをしてみたときには、やすみがジッとできずに動いて、うまくいかなかった。でも本番では美紗さんのお母さんに助けてもらったこともあり比較的スムースに着付けができた。美容師さんにヘアメイクをしてもらうと、やすみも響も普段よりずっと年上に見えるので驚いた。鹿児島市の神社に出かけたあとに、写真屋さんで写真を撮ってもらった。特別なことをするわけではないのだが、子どもたちの成長の1段階を迎えられたことがありがたかった。

 

写真1   娘のやすみの七五三の着物。美紗さんは着付けを学んで練習してきた。

 

写真2   球磨村にある「一勝地(いっしょうち)温泉 かわせみ」のレストラン。谷間の傾斜地にあり、向こう側の山がよく見える。

 

写真3   近くを散歩した。傾斜地に石垣を組んで段々畑や田んぼが作られてきたことがわかる。

 

写真4   熊本県こども総合療育センターの療育公開講座「発達障害の人の就労支援」(梅永雄二)が開かれた八代市鏡文化センター。

 

写真5   やすみと響の七五三。美紗さんは以前から着付けを練習してきた。

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2018年11月日録2

11/11(日) 病院の職員旅行で大分県に出かけた。旅そのものが目的ではなく、職員間の交流が目的なのだが、いいメンバーで行くと旅も交流も両方が充実する。普段の業務内では見えないスタッフの素顔が見えたり、いままでの経験を聞けたりもする。今回の旅で感じたのは、幸いなことに優秀で意欲のある人が多いということだ。いい仕事をしていくためには、やりがいや誇りのようなものが不可欠だ。職員の静かな自信が徐々に高まってきているのを感じる。 
11/13(火) 家の近くに新しくパン屋さんができているのを以前気づき、いつか行きたいと思っていた。娘のしずくを連れて公園にピクニックに行くことにしたので、寄ってみた。意外なことに、「日々パン」はもう20年以上移動販売をしているパン工場が最近改装して出したお店だった。さらに意外なことには、普段からわが家で買っているパンだった。子どもたちが中耳炎を繰り返しているので耳鼻科の病院に定期的に行くが、そのときに病院の前に来ている移動販売のパンを子どもたちへのごほうびとして買っている。なんとそのパンだった。自分たちがいいと思うものをたどっていくと、「実は出どころは同じだった」ということがよくある。人間の感覚は目に見えない特徴も感じ取っているのだろう。
   職場のメンタルヘルス問題の相談を受けた。職場の問題はよくハラスメントの形を取る。でも通常のハラスメント問題と違って、メンタルヘルスがからむと「どちらが正しくて、どちらが悪いか」がハッキリしないのが特徴だ。対処法も「悪い方を裁く」という形で進めることはなく、「トラブルがとりあえずおさまるための方法」を組み合わせて進めていくのがほとんどだ。
   もうひとつ職場のメンタルヘルス問題が難しいのは、組織の問題が背景にあることが多いことだ。組織がうまく機能していないと、スタッフの不和、特定の人への業務の集中、士気の低下などが起きやすく、結果としてメンタルヘルス問題が起きやすい。その結果休職者が出たりして、さらに人員が少なくなる悪循環に陥りやすい。メンタルヘルス問題への対応力を付けるだけでなく、職場の風土の改善にまでいたれたらといつも思う。医療側からの努力に職場側からの努力が組み合わさると、有効な変化を起こせる場合がある。
11/14(水) 地域の認知症支援の会議に出ている間に、美紗さんからメールが届いていた。「しずくがテレビを指して『ママ、みて』って言ったよ」。まだしずくは1歳半なので2語文を話すのには早いが、あり得ると思った。兄と姉の様子を見て、すぐにまねをして身に付けていくからだ。またチャレンジ精神も旺盛だ。例えば食事を自分でスプーンを使って食べる、兄が服を着るときにボタンを付けてあげようとする、お風呂の前に自分で服を脱ごうとする、といったことがみられる。幼児期の発達のためには、下の子ほど有利な面があるのかもしれない。

 

写真6〜7は相良村にある「日々パン」で撮った写真です。


写真6   お店の外観。パン工場に隣接している。

 

写真7   店内。長年移動販売を続けているパンだけにおいしい

 

写真8   ヤモリの侵入するすき間をふさいでくださっている坂田さん。家のメインテナンスをなんでもしてくださるので、ありがたい存在だ。

 

写真9   クモの巣を竹ホウキで払おうとする響。

 

写真10   人吉市の村山公園にて。しずくは上の子たちのまねをして、高いところに登ろうとする。

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2018年11月日録3

11/18(日) 娘のやすみと同じ年のまこと君がお母さんといっしょに遊びに来てくれた。美紗さんは事前におもちゃを配置して遊び部屋を作ったりして、念入りに準備していた。そのかいあって、子どもたちはワァワァ言って楽しんでいた。お客さんがあると、子どもたちは喜ぶ。人のたくさん来る家でありたいと思った。
11/20(火) 保育士さん向けの4回シリーズの研修会の最後で、虐待ケースや多問題家族ケースへの対応を話した。困難なケースほど、一生懸命関わっても振り回されたりする。でも誰かがその役割をしないと、支援は前進しない。保育士さんたちと協力して支援を進めていければとてもありがたい。関心を持ってくださる保育士さんが1人でもおられたら成功だと思う。
11/21(水) 娘のやすみと息子の響が通うさざなみ保育園で、「さざなみ まーけっと」があった。これは子どもが体験する市場で、子どもたちが折り紙などで作ったお花やハンバーガーやおもちゃを購入する。商品は紙で作った100円硬貨で買える。やすみたち年長の子どもが売り子だったのだが、ものすごく熱心に声を出して販売するのに驚いた。仕事をする喜びというのは普遍的なものであり、幼児でも体験できるのだとわかった。おそらく将来の学校教育はもっと職業体験を取り入れるのではないか。
   小学校での勉強会に病院スタッフといっしょに出かけた。グループワークをしたのだが、短時間であるにも関わらず盛り上がった。学校現場には生活面の課題の大きい子や、病気を持つ子もいる。教育を受けられる状態に持っていくのが先決で、そこに病院が担える役割がある。今後ますます病院は教育機能を備えていかないといけないし、学校もケア機能を高めていかないといけなくなるだろう。
11/22(木) 「こころの健康アドバイザー事業」という学校を医療スタッフが支える仕組みがあり、ソーシャルワーカーやカウンセラーといっしょに僕も参加している。その研修会があり、若い同僚のカウンセラーがペアレント・トレーニングについて話した。これは発達症の子どもの保護者を対象とする教育プログラムで、子どもへの接し方を保護者が学んでいく。吉田病院でも保護者支援の枠組みとしていつか実施できればと思う。

 

写真11   やすみと同い年のまこと君が遊びに来てくれた。

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2018年11月日録4

11/23(金)   九州金魚大博覧会に行ったあとに、子どもたちを遊ばせようと近くの「大牟田市動物園」に行った。規模は比較的小さな動物園なのだが、子ども連れの家族で非常に賑わっていた。特殊な動物が多いわけではないと思うが、未知の世界を探検するような作りになっていて、自分が主体的に楽しめる。現代では受け身で動物を見るだけよりも、歩いて調べながら見る方が喜ばれるのだろう。「知識よりも体験」が現代の流れなのだと思う。
11/25(日)  美紗さんの実家に子どもたちを連れて遊びに行った。娘のやすみは、朝からいとこのこはるちゃんといっしょに遊べてはしゃいでいた。ところがやすみとこはるちゃんが公園で遊んでいると、こはるちゃんの近所の友だちが遊びに来た。こはるちゃんは迷いながらも、近所の友だちと遊んだので、やすみはひとりぼっちになってしまい大泣きした。3人いれば必ず「1人の人を2人が取り合う」という問題が起きるが、やすみには初めてだったのだろう。成長するということは、つらいことを経験するということなのだと思った。
11/27(火)  地域の看護師さんたちの研修会で、看護職員のメンタルヘルスについて話した。看護師はストレスの多い立場だ。患者さんや家族と直接接しないといけないので、人とのやり取りが得意でないといけない。また治療や支援のコーディネート役をしているので、職種間や部署間で意見が割れる時などには、難しい調整を担わないといけない。医師からのパワハラ的な対応に耐えないといけないこともある。衛生委員会のような職員の健康を守る枠組みがない事業所が地域には多いので、そこに届く支援の仕組みを作っていけたらと思った。
11/28(水)  久しぶりにお休みどころで相談を受けた。医療や支援に乗りにくいケースだった。最近は僕が地域支援の公的な枠組みに参加することが増えたので、お休みどころで直接相談を受けることはほとんどない。でもどんなに支援体制が整っても、どこにもつながらないケースは残るので、最後の相談窓口としてお休みどころは残しておこうと思った。
    小学校の職員研修に招いていただいた。以前僕が困難事例の支援をいっしょにしていた方が校長なので、久しぶりにお会いできてうれしかった。校長が困難事例の対応に熟知していれば、現場の先生が困っているときにすぐにバックアップできる。教頭や校長になる前に、教育事務所などで難しいケースの支援に当たれる流れがあれば、学校での支援もうまくいくのではないか。
11/29(木)   発達症勉強会の講師として、赤ちゃんポストを慈恵病院で実践している蓮田健さんをお招きできた。産婦人科はお産に立ち会う立場なので、悲惨な虐待ケースに遭遇することが多い。妊婦相談や赤ちゃんポスト、子ども食堂など子ども支援に多面的に取り組まれる志に、参加者は感銘を受けていた。
   精神科の立場からすると、産婦人科は妊産婦の段階から虐待予防の支援をできるのでうらやましい。一方で産婦人科の立場からすると、精神疾患を持つ妊産婦の対応に困っているし、お産の時期を過ぎたケースの支援をつなげる先が必要だ。産婦人科と精神科が互いに協力していけば、子ども支援のバトンリレーができるだろう。

 

写真12〜14は福岡県大牟田市にある「大牟田市動物園」で撮った写真です。


写真12   やすみと響はボールニシキヘビに触ることができた。

 

写真13   葉っぱを食べるエミュー。

 

写真14   動物園の一角が遊園地になっていた。   

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児童青年精神医学会に参加する1 2018年10月11日(木)

   僕が子ども支援の知識や技術を学べる場に「日本児童青年精神医学会」があります。2年前に岡山で開かれたときに初めて行きましたが、普段聞けないような異分野の研究者のお話などが非常におもしろかったでした。今年は東京で開かれましたので、僕も3日間参加してきました。
   印象的だったのは、赤ちゃんが生まれてからの最初の1年の発達が非常に大事だということが繰り返しいろんな発表に出てきたことです。脳の神経細胞がものすごい勢いで増えていく時期で、養育者との愛着の土台が形成されます。最初の時期にしっかりした養育を受けると、あとあとさまざまな能力が伸びていきますが、最初の時期に虐待などの不適切な養育を受けてしまうと、成長発達のプロセスがうまく進んでいきません。何事もそうですが、最初が大事なんだと思いました。僕の子どもたちはもういちばん下のしずくも1歳半ですから最初の1年は過ぎてしまいましたが、もっともっとかわいがれたら良かったのにと思います。
   異分野のお話がおもしろいというのは今回も感じました。少年法のお話、人類行動進化学のお話、NICUでの親支援のお話など、直接精神科の領域ではなくても、周辺から精神科の役割を照らし出してくれる内容でした。僕が求めているのは、コアな治療技法の部分よりも、他分野連携のヒントなのでしょう。
   学会に行っていろんな話を聞いたからすぐに技術が向上するわけではありませんが、より広い視点から普段の仕事を見渡すことができます。僕の感じるところでは、人吉球磨地域の場合、病院の子ども支援体制はある程度できてきたのだと思います。まだまだ不足しているのは地域の医療以外の支援機関の層の厚さで、そこを充実させていくのが今後の仕事になるのでしょう。自分のしていることを俯瞰的に見るために、学問はとても役立つものだと思いました。

 


写真1 会場であった東京大学の本郷キャンパス。

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児童青年精神医学会に参加する2 2018年10月11日(木)

   以下は僕が学会発表を聞きながら取ったノートです。内容には間違いがある可能性があり、文責は僕にあります。また発表をした人の話のごく一部しかメモを取れていません。記録は僕が興味を感じた部分に集中しています。

 

●シンポジウム  「逆境体験が子どもに与える影響」
◎ACEs studyについて(工藤紗弓)
・ACEとは「子ども時代の逆境的な体験」を指す言葉であり、虐待・ネグレクト・家族の機能不全などを子どもがどれだけ経験したかを指す。
・1998年のFelittiらの研究が古典となっている。このなかで、以下の4つが示された。ACEを経験することは珍しくない。1つ以上を経験した人は64%であった。ACEは複数経験することも多い。1つ以上を経験した人のうちの60%に2つ以上があった。ACEは精神疾患になりやすくするだけでなく、身体疾患(糖尿病やがんなど)や行動面の問題(薬物乱用など)も引き起こしやすくする。い修譴蕕離螢好はACEが多ければ多いほど高まる。
・以後のさまざまな研究でも、,らい六抻されてきた。
・ACEは精神疾患と関連が強い。うつ病、不安症、自殺企図、精神病症状など。
・現在ではACEと神経発達の関係やACEがDNAに及ぼす影響、ACEが次世代に及ぼす影響などが研究されている。
・ACEの悪影響に対する予防因子としては社会的なサポートがある。虐待的な体験をしてきた人を孤立させないことが大切。
・今後社会的に行うことが望ましいことには、ー匆馘サポートの充実、∋抉膽圓悗慮修、親への子育てトレーニング、などがある。
・また\賁膕醗奮阿凌佑砲ACEについて知ってもらう。∋塞愎猷覆箴児科と連携しての早期発見・早期介入。ファミリーサポートなども大切である。

◎小児期に逆境的体験を受けた子どもの多彩な病態に関する考察(笠原麻里)
・逆境的な体験を受けた子どもは多彩な症状をあらわし、病名がたくさん付いてしまう。成長のなかで病名が変わっていくことも多い。
・結果的に病態が見えにくくなってしまう。トラウマが見過ごされやすい。
・「発達性トラウマ障害」はとても有用な概念である。

◎児童虐待現場の子どもと親たち(古田洋子)
・児童相談所に勤務する精神科医の業務は多岐に渡る。子どもや親の診察・治療、児童福祉スタッフとの協議、診断書などの作成、裁判への出廷などが主な仕事である。
・家系図が複雑なケースが多い。いくつもの虐待を受けてきているケースも多い(母から身体的虐待を受け、母の内縁の夫から性的虐待を受けるなど)。
・養育する親自身も虐待を受けてきていることがある。
・虐待の後遺症としてADHD様の症状が出ることがある。
・専門的なトラウマ治療のプログラムに乗れないほど状態が不安定な人には、心理教育のプログラムを行っている。親に対して行うことも有効である。

◎逆境的環境で育った子どもへの治療的関わり(亀岡智美)
・トラウマの影響には以下のようなものがある。/佑鮨頼することを学んでいない。感情に気づきにくく、自由に感じられない。感情や行動のコントロールが苦手。L斉を想像できない。過去のことで頭がいっぱい。げ坦下圓簇鏗下圓量魍笋魴り返し演じてしまう。ゼ分は悪であると信じこんでいる。あきらめきっており、誰も理解してくれないと思いこんでいる。
・トラウマの影響に鈍感な支援現場では、再トラウマ化が起こってしまいやすい。よかれと思ってしていることでよけいに子どもを傷つけてしまう。
・「トラウマインフォームドケア」とは、子どもがどんなトラウマを経験してきたのかを知り、トラウマ症状を把握し、トラウマがどんな影響を与えているかを調べたうえでケアをすることを指す。これはアメリカの薬物乱用支援の文脈から生まれてきた理念。
・子どもに理論を伝え、子どもが自分で自分の人生をなんとかしていけるようになるのが目標。
・子どもにいままで生きてきた逆境とは違った状況があるんだと知ってもらうことが大切。またその子の歴史を尊重するのが大事。

 

●児童青年期の神経・精神発達疫学
◎乳幼児発達の意味するもの(久保田雅也)
・生後1年に発達するものには、/臾桶仞奪螢坤燹↓▲蹈灰癲璽轡腑鵝↓視覚的共同注意、などがある。
・睡眠覚醒リズムについては、最初はバラバラだった睡眠が、徐々に夜に集まり、昼間には起きていられるようになってくる。昼寝した赤ちゃんグループの方がトンネル課題をうまくできるようになっていたとの研究があり、睡眠を通して手続き記憶が固定されている可能性がある。
・ロコモーションについては、ずりばい→手の交互性→足背を床につけてのハイハイ、といった流れでハイハイが発達することが多い。ハイハイの発達の意義は大きく、無意識の能動性・自発性の基礎になることや、移動範囲の拡大、視点の多様化、遠隔の物への興味の高まり、などがある。
・共同注意は他者の心の理解の原初的な形態である。意味への自発的な接近の基礎になる。

◎General populationを対象とする出生コホート(HBCstudy)(土屋賢治)
・浜松の発達支援広場事業に関わっている。多様な心配がある子どもが集まっており、子どもたちの状態の評価をしている。
・自閉スペクトラム症の早期徴候としては、視線が合わないことや言葉の発達が遅れること、社会的微笑がないこと、常同行動があること、などがあげられている。しかし感度100%の早期徴候はない。1歳半から2歳で自閉スペクトラム症に気づけるという意見もあれば、難しいという意見もある。
・二語文の出現は2歳では半分強だった。2歳半でほぼ100%になった。
・言葉の発達は統計学的には5つのクラスに分けるのが妥当となった。発達が高め(12%)、標準(49%)、低め(21%)、遅延(14%)、強い遅延(4%)となった。女の子は高めに入りやすく、男の子は低めに入りやすかった。低め、遅延、強い遅延は自閉スペクトラム症と関連があった。
・他にも早産、父の年齢の高さ、胎盤と体重の比率が小さいこと、母の教育歴の低さ、などがリスクファクターであった。

◎子どもの自己肯定感を決めるものは何か(藤原武男)
・世界的に見ても日本の子どもの自己肯定感は低い。
・要因ははっきりしないが、毎日朝食を取る子の方が自己肯定感が高い。   
・要因ははっきりしないが、身体的・心理的虐待を受けている子どもの自己肯定感は下がっていなかった。ネグレクトでは下がっていた。
・家庭的な要因、学校の環境、などに加えて、ロールモデルになる大人がいるかどうかや、逃げ場となるサードプレイスがあるかどうかが自己肯定感に関係していた。
・学校でいちばん学ぶべきものは自発性・能動性なのではないか。

 

写真1 会場の回りには緑が多い。建物が歴史的な姿を残していることもあって、時間が止まっているような感じだった。

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児童青年精神医学会に参加する3 2018年10月12日(金)

●子どもの人権と法に関するパネルディスカッション
◎少年法の適用年齢引下げ(20歳未満から18歳 へ)に関する議論状況(山健一)
・少年事件は大幅に減少し続けている。重大事件も減っている。子どもの総数が減っていることを考えて、人口比で調整してもやはりそうである。
・少年院の入所者の方が刑務所の入所者よりも再犯率が低い。
・少年司法には家裁調査官による丁寧な分析と働きかけがある。
・少年の処分は責任の大小だけでは決まらず、矯正教育の必要性を考えて決まる。
・少年院は本人の健全な育成という理念に基づいて運営されている。刑務所と違って、基本的に自由時間はなく、担当者はあらゆる生活場面に働きかける。
・少年院では刑務所とは違い、出院の時期も決まっていない。
・少年事件の顕著な減少を見ると、いまの少年法は有効に機能していると考えられる。
・現在、家庭裁判所で扱われる少年の約5割を18・19歳の少年が占めている。少年法の適用年齢を引き下げると、教育的な働きかけができなくなる。

◎児童精神医学の観点から「18歳問題」を考える(富田拓)
・非行少年の問題を考える歳には、虐待と発達障害の関与に注目する必要がある。
・少年院の入所者の約6割が過去に虐待を受けている。子どもの時期の逆境的な体験がいくつあったかを見るACEスコアも高い子が多い。
・発達障害などの精神疾患を持つ子も多い。少年院では精神障害が21.0%(うち発達障害が10.7%)。児童自立支援施設ではADHDが25%、自閉スペクトラム症が15%。
・虐待や発達障害など家裁調査官の調査をもとにわかることが多い。家裁裁判所にはアセスメントやケースワークの機能がある。
・少年院には教育的な処遇がある。刑務所と少年院では機能に大きな違いがある。

・ 脳科学的にも思春期から25歳ぐらいにかけて脳機能の可塑性があるとされており、この時期のうちに矯正教育が行われるのが望ましい。
・少年の殺人も強姦も激減しており、少年事件は量も質も史上最低を更新し続けている。世界的に見ても少年法はうまく機能している。

◎少年法の保安処分化に反対する(高岡健)
・少年事件の処遇には精神医療や教育が必要である。家裁の調査官が入らなくなると要保護性の判断がなくなってしまう。

◎会場も含めての討論
・少年院の現場では3割くらいに発達症があり、そのうちの6割は未診断で入所してくる。中学生の入所者は減っており、18・19歳の入所者の割合が高くなってきている。少年院は矯正教育の最後の砦である。
・18・19歳の子どもの社会的なサポートは手薄である。学校や児相も関われない時に、どこが支えるのか?
・元来刑務所は罰を与える場、少年院は教育を与える場として1世紀近く運営されてきた。文化が大きく違う。
・少年法の適用年齢を引き下げると、18・19歳の子どものケースで親への介入ができなくなってしまう。
・少年法の適用年齢を引き上げた方がよいという立場もあるが、個人と国家の関係などを考えて、慎重に議論すべきである。

 

●平和で持続可能な世界への道(Pathways to a More Peaceful and Sustainable World.  James F.Leckman)
・最初にトゥレット症候群と強迫症の原因や治療を探る研究に従事した。
・強迫症の人の脳脊髄液のなかのオキシトシンが上昇しているのを見つけた。この上昇はチック症の既往や家族歴のない人でのみみられた。
・オキシトシンは視床下部、心臓、胸腺、消化管、生殖器で生成され、報酬、ストレス反応、感覚、生殖に関わる。
・オキシトシンの神経系は対人関係の絆の形成において重要な役割を果たす。
・オキシトシンの上昇は母親が乳児とやり取りすることや、父親が子どもと遊びをすることと関連がある。
・乳幼児の養育に関わる生物学に関心を持ったときに、トルコの弟子から乳幼児養育の支援活動について教えてもらった。その活動に協力しながら研究を進めている。
・2013年のErnst Strungmann フォーラムではより平和な世界を作る方法が話し合われたが、その方法の1つに幼児早期の養育をよくすることがある。養育をよくすることで逆境的な体験の影響を軽減できうる。
・幼児期早期の親子への介入は社会経済においてもメリットがある。
・幼児の健全な発達は持続可能な社会の礎である。
・母子教育プログラムを政策的に活用できうる。
・子どもたちや将来の世代のために、この世界をより良い場所にする行動を起こさないといけない。

 

●発達障害に対する行政的取り組み(日詰正文)
・臨床家は目の前の患者を助けるのが仕事だが、法律の枠組みのなかでしか仕事はしていけない。臨床家がより良い仕事をするためには、行政官とのつながりを作り、自分たちが困っていることや改善すべき現状を伝えていくことが必要である。
・勤務している「のぞみの園」には、高齢の知的障害の人が多数入所している。高齢の知的障害者のケアの改善のために発信している。
・発達障害に関して今後の取り組みが必要な分野には以下のものがある。\在化している事例へのアプローチ。強度行動障害の人や施設を退所した知的障害・発達障害の人たちを支えていける地域づくり。災害や犯罪の加害・被害など緊急な対応が必要な場面への対応システム。つ拘的な支援のための体制づくり(高齢期までの支援、かかりつけ医や保健師の育成)。ヅ事者どおしが支えあえる仕組みづくり。専門的なアセスメントや治療プログラムの普及。 

 

●子どもの権利条約の視点からみた日本の子ども・若者問題(喜多明人)
・子どもの支援を真剣にやりはじめると、自分の専門や本業だけではおさまらなくなっていく。どこまでが自分たちの社会的な使命なのか、そのラインにとどまれなくなる。
・1991年当時、子どもの権利条約を日本が批准する見込みはなかった。NPO法人子どもの権利条約ネットワークを立ち上げたが、学者としてそこまでするべきではないという見方がほとんどだった。
・子どもの権利条約を条約化する提案はポーランドの医師が原動力となって行われた。ポーランドはホロコーストやカティンの森事件などで膨大な子どもや若者を失った。その苦しみを2度と味わわないように防波堤を作りたいというのが原点だった。
・医師ヤヌシュ・コルチャック(1878〜1942)は子どもの権利条約の「精神的な父」とされている。
・いまの子どもの権利条約だけでは、発展途上国の子どもの権利が十分に守られないために、不十分だという批判が世界的には多い。
・子どもの権利条約の精神を日本に広めていきたい。普及啓発が私たちの仕事である。
・現在の日本では、子どもが受け身になっていたり、自ら活動する意欲に欠けることが問題である。ダメージに弱い面がある。
・青少年の自殺も増えている。
・チャイルドラインは子どもの電話相談窓口だが、「子どもの相談を受ける」というスタンスではなく、「子ども自身が力をつけていけるように」と思って立ち上げた。子どものエンパワメントが目的。
・子どもに向けられた暴力の問題は悪化している。いじめ32万、虐待13万、体罰や暴言、セクハラなど。虐待死もあった。人権感覚の欠如が背景にある。
・子どもの権利についての条例を作った市町村が現在47ある。
・現在は学校の疲弊が顕著になっている。若者の教師離れも進んでいる。
・“鷙圈↓貧困・養育困難家庭、H達障害、への対応で学校はもはや限界に直面しており、助けを求めないといけない状況である。
・不登校も増えている。福祉的支援の強化が必要である。スクールソーシャルワーカーの導入など。また学校以外の多様な学びも認めていかないといけない。フリースクールなど。
・訪問型の子ども食堂を提案している。 

 

●子どもたちの高次脳機能障害(中島恵子)
・もともと成人の神経疾患への認知リハビリテーションをしてきたが、子どもの高次脳機能障害にも関わるようになった。
・高次脳機能障害の診断には’召隆鐚租疾患や事故があることを確認する(画像診断)。△修侶覯霧什澆瞭常生活に障害があらわれていること(注意・記憶・遂行機能・社会的行動)。除外診断の確認。が必要である。
・子どもの高次脳機能障害はアメリカでは子どもの500人に1人だが、学校で認識されているケースは少ない、とされている。
・原因としては、事故や低酸素脳症などがある。
・高次脳機能障害があれば、小中学校では特別支援学級(病・虚弱)を利用することができる。
・イギリスでは、子どもの高次脳機能障害の発症には2つのピークがあり、5歳未満では転落や虐待、14〜20歳では交通事故が多いとされている。
・以前は子どもの時期は脳の可塑性があるために症状が目立たないと考えられていたが、現在では脳の発達への影響から成績の低下や友人関係の悪化などさまざまな問題が起こりうることが認識されている。
・脳の認知機能は、ゝ淦期の落ち込み、△修慮紊硫麌、ある時期から発達ペースが緩やかになること、という3段階で変化する。
・成人の場合には高次脳機能障害による能力低下の回復が目標になる。子どもの場合には回復だけでなくその後の発達が問題になり、ある時期から他の子との開きが出てきやすいのでそこが難しい。
・認知リハビリテーションにおいては、モデリングが大事で、まずは見本を見てもらい、それを繰り返していく。
・最初は作業量を多くせず、できるようになってから増やしていく。
・抽象概念の把握が苦手になりやすいので、具体物を活用する。できるだけ多感覚に訴える表現をする。また言葉の理解ができているかをまめに確認する。
・短期記憶の低下には、繰り返しで対応する。論理的思考の苦手さには、まずは見本を示す。攻撃的行動にはクールダウンや刺激を減らすことで対応。
・問題となる症状には、イライラ、人のせいにしてしまう、物を投げる、不用意に大声で話す、ボーッとしてしまう、などがある。

 

写真1 安田講堂。思っていたよりもずっと小さな建物だった。

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児童青年精神医学会に参加する4 2018年10月13日(土)

●青年期の素行問題について〜外来でできること
◎児童思春期の発達障害における親に対する暴力をめぐって(館農幸恵)
・子どもの入院事例では、自閉スペクトラム症、ADHD、知的障害(と境界知能)のいずれもが半数以上にみられた。
・暴力のあるケースではないケースよりも入院期間が2倍近くになった。
・家族機能も予後に関係した。

◎兄弟間での問題(奥野正景)
・兄弟間の暴力問題はあまり注目されていないが、将来の精神的な問題のリスクとなる。
・どこまでが正常範囲の兄弟ゲンカで、どこからが問題なのかという線が引きにくい。
・ルールの設定、下の子の養育役割を多く与えない、療育機関の利用、親がケンカの解決のモデルになる、暴力を促進するようなメディアの利用も話し合う、などで対処している。

◎家族らと本人の悪循環による暴力頻発に苦慮した一自閉症例(猪股誠司)
・幼児早期の支援や保護者への養育支援が入らずに悪化するケースがある。
・経済的な安定や、発達障害への対応になれているスタッフのいる場所の利用、などで安定することがある。

◎多機関異業種連携のあり方と危機介入(山本彩)
・発達障害者支援センターでの対応に苦慮しているケースには、)椰佑忙抉腓鮗けるニーズがない、∨椰佑未診断のままである、F鷦‥な問題がある(暴力・引きこもり・強度の不安・強度の行動障害など)などがある。
・引きこもりのケースでは、家族だけの相談を受け続けることも多い。CRAFTという枠組みで支援すると、3分の2くらいのケースで、本人が相談や受診などの直接支援につながった。 
・普段の支援プランと別に危機的な事態の際のプランを作っておくと役に立つ。

◎討論
・家族機能の課題が大きいケースの支援に訪問看護を使えないか?
・相談支援機関のメリットとしては、支援の調整役になれることがある。また地域や支援システムの課題も見えやすい。デメリットとしては役割を可視可しづらく、過剰な期待を持たれやすいことがある。

 

●人間行動進化学からみた今どきの若者(長谷川壽一)
・人間行動進化学は、「我々はどこから来たのか、何者か、どこに行くのか?」の科学的な解明をはかろうとする学際的な学問分野である。研究プロジェクトの例として「共感性の進化・神経基盤」がある。
・ヒトの進化的適応環境の特徴。ヽ容精て颪聞皀┘優襯ーの食物に特化。道具の使用。集団内の協力。ぢ神ぢ紊任了勸蕕討伴匆馘な伝達。
・20万年前の若者といまの若者の違いは何か?古環境と現代環境のズレとは?
・ヒトの成長発達の特徴。^貳毛乳類には若者・思春期の時期がない。▲劵箸論成熟までの時間がきわめて長い。身長の伸びが鈍化する時期があり、この時期に脳が成長する。た板垢凌びのスパートが思春期。
・ヒトの脳は大きくゆっくり成長する。大きな脳を持つ代謝コストは大きい。エネルギーを多く消費する。
・コストを上回る利益とは?社会的な知性、メタ認知能力。
・大きな脳を維持するエネルギーを子どもは自力で得られない。そのためにヒトは共同養育システムを形成。高カロリー食物(ナッツ、根茎、肉など)を社会が供給。
・進化的にヒトの若者が直面してきたであろう課題。’朸者の探索。ペアボンドが基本。男性は配偶者獲得競争やひけらかしあり。この時期に内分泌の嵐あり。∪人の社会に加入する準備。自己制御、モラル、仲間との絆の形成、文化・知識・技術の習得、上の世代への挑戦。
・思春期と犯罪の関係。犯罪率のピークは10代なかば。男性が女性よりもずっと多い。20代になると急速に低下。ほとんどが窃盗や万引き。金品は同性間競争の手段と見なせる。脳の抑制系が未発達。
・前頭葉の完成は30歳ごろとされている。 
・不登校は中2・中3でピーク。主要因は情緒的混乱と無気力。校内暴力も中1〜中3がピーク。
・身長の伸びのピークの前後に性ホルモンの変化あり。男性はピークの前、女性はあと。
・殺人率にも性の効果と年齢の効果あり。男性が女性よりも圧倒的に多い。また若い男性の殺人率がもっとも高い。
・哺乳類でも同種間の殺し合いが死因の2〜4%を占めており、そのなかでいちばん多いのは雄どおしの争い。
・ところが日本では年齢の効果が1980年代に消失。若者の殺人率(攻撃性と見なせる)がいちじるしく低下。少年の刑法犯(リスク志向性と見なせる)も減り続けている。
・共感性の進化・神経基盤。痛み情動伝染が仲間の間で生じる。
・オキシトシンはヒトの親子だけでなく、ヒトと犬の絆にも関与している。オキシトシンは内集団びいきのホルモンとして働く。
・ただ共感には負の面もあるかもしれない。他集団排除を促すかもしれない。
・現代の若者が苦手なこと。‖侈魅灰潺絅縫院璽轡腑鵝⊇脇鼻熟書・熟話・熟聞。8浚兇鬚箸した現実把握。ぜ然とのふれあい。テ盻乎弔魃曚┐深匆馭Ъ院

 

●リスクを抱えた赤ちゃんと家族の出会いを支える(永田雅子)
・周産期には「親になる」という課題がある。
・昔は「授かりもの」だった子どもが、いまは「作る」という感覚。「元気な赤ちゃんが生まれてきて当たり前」という幻想を抱きがちなのかもしれない。
・不妊治療が一般的にはなったが、やはり心理的・身体的・経済的な負担が大きい。
・出生前診断は、もともとは「生」のための技術だったが、いまでは中絶のためになりつつある。染色体異常が発見されたケースの97%が中絶。
・生育限界は在胎22週であり、これ以後は赤ちゃんの人権が優先されるため、いかなる理由があっても中絶できない。
・在胎22・23週でも救命率が向上。しかし課題もあり。‘院の長期化、∈濛陲悗琉楾圓梁臺僂機↓H達面の予後。
・親の気持ちの揺れに寄り添い、葛藤を抱えるケアが必要。場合によっては親が低出生体重児の治療を拒否することもある。
・「どうして自分の子どもに起こったの?」「なぜ自分にだけふりかかったの?」と親は感じやすい。
・妊娠中や新生児期から母子を一体として治療する流れになってきており、多職種が協働するようになった。
・子どもの治療だけではなく発達を見すえて支援する。家族支援から退院後も含めての支援になってきた。
・周産期心理士ネットワークを1997年に立ち上げたときにはメンバーは5人だったが、いまでは180人以上になり、 8割以上のNICUに配置されるようになった。
・NICUの親子に起こりやすいこと。自分の思いを赤ちゃんに投影してしまう。無力感や罪悪感を抱く。赤ちゃんの状態が不安定であるほどネガティブな思いが誘発される。例えば赤ちゃんが目を開ければ「私をわかったのかしら」と思い、赤ちゃんが目を閉じれば「私を嫌がっているのかしら」と思うことがある。
・NICUの心理士として大事にしていること。\屬舛磴鵑鬟櫂献謄ブな存在として出会ってほしい。▲櫂献謄ブとネガティブと両方の思いを抱えたまま赤ちゃんといれる場の保証。赤ちゃんの行動や反応の読み取りを支えていく。た討隼劼離織ぅ潺鵐阿帽腓錣擦堂霪。
・退院したあとに面談を希望する保護者もある。
・心理士の立場から、家族が赤ちゃんと心理的に出会うことを助けることができる。
・スタッフも赤ちゃんに自分を投影して、親に批判的になりすぎたり、不安を感じやすい。
・場を育てることがNICUに心理士が入る目的。
・低出生体重児では、自律神経系・運動系・睡眠や活動の状態がそれぞれ未熟。発達障害が多い。限局性学習症、ADHD、自閉スペクトラム症。ただ自閉スペクトラム症とは別の状態だと見る流れあり。
・子どもが低出生体重だったり疾患を持って生まれてきた罪悪感は20歳を過ぎても続くことがある。子どもに何らかのつまづきがあったときに出現する。ゼロにはならない。

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