お休みどころ

こころの相談活動を作り続ける
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「災害時の子どものこころのケア研修会」に参加する 2016年8月19日(金)

  今年の4月に起きた熊本地震の被災者の方たちの支援に関して、僕はいままでほとんど役に立てませんでした。被災した精神科病院からの患者さんたちの受けいれが病院の体制上できず、外来の受けいれのみになりました。チームで被災地を回ったりして支援する「DPAT(ディーパット)」の活動に参加できないかと病院の仲間と研修会に参加しましたが、病院が熊本市内から遠いこともあり、選ばれませんでした。いずれも不燃感と後味の悪さを僕に残しました。
  そんなときに案内が来たのが、「災害時の子どものこころのケア研修会」でした。僕は支援活動に直接参加するわけではありませんので、勉強してもあまり身に付かないかもしれません。ですが子どものトラウマ対応についてはほとんど学んだことがありませんので、基本的なことだけでもつかむことができるかもしれません。僕は最近は子ども支援についての勉強と実践に集中していますので、何かヒントを得られるかもしれないと思ったのです。
  参加した結果から言うと、感情面ではあまり印象に残らない研修会でした。講師の方のお話も一般論的な部分にとどまっていて、やや踏み込みが足りないのではと思いました。「現場での実践がどんなふうに大変であり、またやりがいもあるのか?」という臨場感のようなものを感じ取ることができなかったのです。あくまでも僕の個人的な感想ですが、こちらの心のなかに飛び込んできて連想の火花を起こす密度の高い言葉と出会えなかったのでした。
  ただし感情的におもしろいことと、知識的にためになることとは、別のことです。今回の研修会には知っておくと役に立つ知識は豊富にありました。僕が調べたことも多少加えて、以下にまとめてみたいと思います(亀岡智美さんの資料に基づき、一部改変)。
トラウマ(心的外傷)とは、大まかには以下のように表せる。「非常にショッキングで恐怖を伴うできごとの経験。個人の力では対処できないような外的なできごとを体験した時の甚大な苦痛」。
ストレスという言葉は、もともとは「圧力によって金属がたわむ度合い」を指していた。そこから「心身に負担がかかってひずんだ状態」という意味に転用された。
アメリカで行われたある調査によれば、7割近くの子どもたちが16歳までに1つ以上のトラウマ体験をしていた。そしてトラウマ体験の結果、トラウマ症状があらわれてくるのは、だいたい1割強の子どもたちだった。
て韻個敢困侶覯未砲茲譴弌▲肇薀Ε涵評を示した子どもたちには以下のような特徴があった。A:もともと精神的に不安定な子どもが多い。B:逆境的な家族環境で育った子どもが多い。C:その後さらなるトラウマに暴露されやすい。
ゥ肇薀Ε淆慮海硫鷽瑤多いほど、将来さまざまなタイプの精神疾患になりやすい。
PTSD(心的外傷後ストレス障害)を引き起こしやすいトラウマ体験の種類は、レイプ、身体的虐待、戦闘、暴行、ネグレクトなど。自然災害や事故は発生率の面では比較的低い。
阪神・淡路大震災の際の調査によれば、被災の度合いの高い地域ほど、子どもにも保護者にもトラウマ症状が強くみられた。
被災後に自然に起こる反応には以下のものがある。睡眠障害、フラッシュバック、悪夢、緊張に伴う身体生理的な変化、ささいな物音などへの過敏な反応、過剰な警戒心、思い出すことを避ける回避反応、精神麻痺、集中困難、イライラ感、怒りやすさなど。
乳幼児期のトラウマ反応の特徴には以下のようなものがある。A:嘔吐や腹痛といった身体症状として表されやすい。B:母親について回るといった分離不安につながることがある。C:トイレができていた子がおねしょをするなどの赤ちゃん返りとして表現されることがある。
学童期のトラウマ反応の特徴には以下のようなものがある。A:トラウマ体験時に格好よく振る舞えなかったことに恥の意識を感じることがある。B:トラウマ体験を思い出させる人・場面・感覚などに反応してフラッシュバックが起こりやすい。C:「地震ごっこ」や「津波ごっこ」など遊びを通して不安を表現することがある。D:睡眠障害や集中力・注意力の低下がよくみられる。E:警戒心の持続のために学習に支障が出ることがある。
青年期のトラウマ反応の特徴には以下のようなものがある。A:トラウマ体験の後の心身の反応について、隠そうとする傾向がある。「自分は弱い」「気がおかしくなった」などと感じやすい。B:自分や周りを危険にさらすような行動を取って、トラウマを再演する傾向がある。C:夜更かしや夜遊びの背景に睡眠障害が隠れていることがある。D:アルコールや薬物の使用によってトラウマ反応をまぎらわそうとすることがある。
トラウマ後には反応が起きるのが自然で当たり前であることを伝えて理解してもらうことが大事(心理教育)。体の傷の対応にくらべて「心の傷」の対応は学校でも教えられていない。心のケガは本人にも周りにも直接は見えないので、支援者が「何が起こっているのかを見えるようにする」作業が大切。絵本を使って話しかけるのもかなり有効。
被災後に重要なのは、安全感を高めることと、自己コントロール力の回復。サイレンの音を聞いて身がすくむなどの恐怖反応が一瞬起こっても、自分で落ち着けることができればすばらしい。そこをほめたり評価することが大事。
こころの傷の半分以上は自然に回復する。自然治癒のプロセスを見守ればいい。しかし症状の重いケースは専門的な対応が必要。
トラウマ体験はあらゆる精神疾患につながりうる。PTSDだけではない。体の健康や社会適応にも悪影響がある。
PTSD症状には「不安定な状態の記憶」が関与する。
PTSDによるイライラ感、集中困難、睡眠障害、過剰な警戒心、自傷行為などはADHDとみなされてしまいやすい。症状だけを見ていても区別はできない。
子どもの状態の評価は難しい。ただ質問紙を渡しても正確な回答が得られないことが多い。
学校などの教育の場には、心の傷の回復を促す作用がもともと備わっている。教員の方たちはPTSDのスクリーニングやカウンセリングなどに気をとられ過ぎずに、教育の充実に尽力していただきたい。それが結果的にいい支援につながる。
支援は無理なく継続的にできることが大切。支援者自身が疲れきってしまったり、組織に不和をもたらしてしまうようでは本末転倒。あくまでも手近なできることからやっていく。
21 専門的な医療につなぐ基準としては以下のようなものがある。A:トラウマ症状が重篤。B:行動上の問題が起こっている。C:情緒の不安定さが強くみられる。D:自傷行為があったり、自殺のリスクがある。E:不眠や食欲低下などの身体面の不調が大きい。
  こうしてまとめてみると、すごく内容があったことがわかります。僕は「おもしろい」という印象を持ちませんでしたが、自分の印象は当てにならないですね(苦笑)。最初は「つまらない」「退屈だ」と思ったことが実はすごく勉強になった、ということがいままでにも何度もありました。ネガティヴな印象を持ったからといって、それに振り回され過ぎてはいけないと思いました。感情や印象は相手と深く関わる意欲を与えてくれますが、不安定や不正確といった面もあります。感情のエネルギーは生かしつつ、冷静でもあらないといけないのかなと思いました。

 

写真1 研修会が始まる前の会場。200人以上が集まっていた。教員の方たちが多そうだった。

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2016年8月日録1

8/1(月) 人吉市に屋内遊園地「Kid's US.LAND(キッズユーエスランド) ゆめマート人吉店」(8680013熊本県人吉市上薩摩瀬町園田880 ゆめマート店内、電話08034926934)ができることは、以前から聞いていた。宇城市や八代市の「Kid's US.LAND」に連れていったときにもやすみや響が喜んで遊んでいたので、僕たちにとってはうれしい知らせだった。美紗さんと響が先日見に行ったところ、すでにオープンしていたそうだ。今日は真夏日で、暑くて公園に行ってもあまり遊べない状況だったので、家族で出かけた。
  「Kid's US.LAND」のいいところは、入場料を払えばあとは自由に遊べることだ。ジャングルジムやボールプールのような体を動かす遊びもあれば、ままごとやお絵かきのような静かな遊びもある。ゲームセンターのようなゲームもある。やりたいことを選べるので、年代の違う子どもをいっしょに連れていくときに助かる。それから園内に食事を持ち込めるのもありがたい点だ。
  雨の日や真夏の日など、親が子どもを屋内で遊ばせたいと思うことはよくある。人吉市ではいままで行ける場所の選択肢が少なかった。ここ数年で状況は変わってきた。そこにさらに強力な遊び場が加わった。屋内遊園地は民営だが、公益性が高い。これからも選択肢が増えていけばいいと思う。
8/3(水) 2日間で3つのケース会議に参加した。最近ケース会議への参加が増えてきている。ケース会議とは対応が困難な事例や多分野で連携して当たらないといけない事例についての話し合いのことだ。さまざまなケース会議があるが、僕がいままでに参加してきたケース会議は主に以下のようなものだ。

 

A:子どもの支援に関するもの。
〇童虐待のケース
貧困や精神疾患などのために家族の養育機能が低下しているケース
K塾呂篥陲漾∪的逸脱行動など問題行動が頻発しているケース
ど堙亶擦箘きこもりが長くなっているケース
セ劼匹發良他が重くて支援が難しいケース
κ欷郤圓罰惺擦隆愀犬悪化しているケース
  参加するのは主に役場福祉課、保健師、教員、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの支援者、療育関係者、医療者。

 

B:成人の支援に関するもの。
\鎖声栖気良他が重いケース
DVや虐待に関連したもの
治療が必要だがうまくつながっていないケース
ぢ牘仝紊了抉膩弉茲鯲てるためのもの
ゲ搬牡愀検経済面、就労面など精神疾患の背景に問題があるケース
 参加するのは主に保健師、役場福祉課、就労支援事業所、医療者。

 

C:職場のメンタルヘルスに関連したもの。
”職支援のケース
∪鎖声栖気里燭瓩剖般海忙拆磴鬚たしているケース
障がい者就労に関するケース
ぅ屮薀奪企業のメンタル不調者にに関連したケース
    参加するのは主に企業の人事担当、保健師、医療者。

 

D:高齢者の支援に関するもの。
ゝ埖圓離院璽
家族機能の低下に関連したケース
K塾呂篌殺企図、生命の危険など事態が切迫しているケース
て筏錙孤立、貧困、精神疾患などが背景にあり、手厚い支援を要するケース
参加するのは主に地域包括支援センター、保健師、ケアマネージャー、介護関係者、医療者。

  このようにケース会議にはいろいろあるが、共通する点が1つある。それは精神科医療と他の分野にまたがった問題であり、医療機関だけでは解決ができないということだ。現代は「多職種連携」の時代だと言われるが、精神科の地域医療の現場にいるとそれをよく感じる。ケース会議には時間も手間もかかるが、話し合いを通して支援の方向性を共有できれば、「どうにもならない」と思っていたケースが解決することもある。集まったメンバーの連携が強まる有効な会議を作り出す技術も、精神科の支援には必要なものなのだろう。

 

写真1〜3は人吉市にある屋内遊園地「Kid's US.LAND(キッズユーエスランド) ゆめマート人吉店」で撮った写真です。


写真1 やすみはおもちゃの家で過ごすのが好きだ。一度入ると他の子を入れさせない。

 

写真2 ボールプールに飛び込んで子どもたちは大はしゃぎ。

 

写真3 遊具がたくさんある。

 

写真4 やすみは皿洗いのお手伝いをするようになった。

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2016年8月日録2

8/3(水)の続き 山江村の「特別支援連携協議会研修会」で話させていただいた。「特別支援連携協議会」とは小中学校の特別支援学級の先生方を中心に、保育園、特別支援学校、保健師、福祉課、医療機関などが作るネットワークのことで、特別支援教育をめぐるさまざまな問題を議論する集まりだ。山江村では小中学校の先生を対象に去年は発達症支援の基礎的なことを話させていただいたので、今回はより込み入ったケースの支援をテーマに話させていただいた。皆さんがすごく真剣に聞いてくださったので、資料の前半部分だけで時間がきてしまった。
  山江村は人口が約3600人と比較的小さな村だが、学校現場における発達症支援の取り組みが非常に進んでいる。発達症支援に限らず、子育て支援や新しい教育手法の導入などいろんな面で動きが速い。大きすぎない地域だからこそ作れる「顔見知りのネットワーク」が生きていると教員の方々も話しておられた。「変革は辺縁から」という言葉があるそうだが、新しい課題に手探りで取り組むためには、球磨地方のような大きすぎない地域の方が適切な場なのかも知れない。
8/6(土) 僕が産業医として関わらせていただいている「三和建設」の安全衛生委員会の講話で、ストレス対処について話させていただいた。去年も感じたことだが、社員の皆さんの「聞きたい話=ニーズ」にうまく触れていない気がする。建設業の現場で働く人たちがどんなことで困っていて、悩んでいるのか?そこを肌で感じないと、相手に伝わる話ができない。まずは安全衛生委員会に参加して、各部署の人たちのお話を聞いてみたいと思った。
8/9(火) 水上村の教育支援委員会の専門員として就学前の子どもと保護者と面談をさせていただいた。数年前までは「特別支援学級」という名前に拒否感を感じて「絶対いやです」という保護者の方が多かったが、最近は積極的に希望される方も増えてきた。子どもが学校を楽しめるためには、その子の精神面の発達段階に応じた学習内容を提供することが必要だ。でも通常学級のように1人の担任が30〜40人を担当する状況では、個別性に配慮することは困難だ。その点、特別支援学級はずっと手厚く、完全に個別の教育計画を立てていけるので、かなり贅沢な体制になっている。子どもと保護者と教育者と支援者が、十分な相互理解のもとに協力して進んでいけることを目指して、医療者として関わっていければと思う。

 

写真5 人吉市の「ゆうれい祭り」。名物のお化け屋敷には長蛇の列ができていた。

 

写真6 人吉市にある「村山公園」にて。響はすべり台をうつ伏せで滑り降りる。

 

写真7 さざなみ保育園地域子育て支援センター「さざなみ☆うぉ〜むはあと」にて。親子が集まれる子育て支援の場だ。響が水遊びをさせてもらえるので非常にありがたい。しかも無料だ。

 

写真8 人吉市にあるレストラン「西洋食堂」にて。ランチが非常においしかったが、響が寝起きで機嫌が悪く泣いてしまった。

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2016年8月日録3

8/10(水) 「球磨地域療育ネットワーク会議検討会」に初めて参加できた。療育とは大まかには「発達面の課題を持つ子どもたちへの支援的で教育的な関わり」を指す言葉だ。療育に関わる人たちが10〜20人ほど集まり、毎月地域の課題について話し合っている。療育は一方で教育と接しており、他方で保健・福祉・医療と接している。なのでネットワーク会議の参加メンバーは、これらの関連領域の人たちも含んでいた。
  僕自身が療育のことを詳しく知らないので、参加して疑問に答えてもらえてとても勉強になった。話しながら、子ども支援の課題がいくつか見えてきた。―学前の子ども支援と就学後の支援のバトンリレー。および学校卒業後の成人支援への引き継ぎ。教育・療育・医療などの情報共有のやり方とツールの開発。0緡邸κ欸髻κ〇磴閥軌蕕箸旅臚韻任諒拔会を増やし、つながりと相互理解を強める。の徹蕕亡悗錣觝盡擦粒諒檗ノ徹虱用の希望者の増加にどう対応していくか。
  大きく見ると、子ども支援の分野については、まだ十分に整然としたシステムができあがっていないのではないかと思う。そのために支援機関はたくさんあるのだが、すき間があったり、相互の役割分担がはっきりしていなかったりする。この点については高齢者支援の方が先を行っており、「地域包括支援センター」「疾患医療センター」、「初期集中支援チーム」といった高齢者支援の枠組みを拡大する形で、成人や子どもの支援体制が作られていくのだと予想される。子どもの分野でも困難事例に対する多職種の支援チームが早く制度化され動き出すことを願いたい。 
8/14(日) 直射日光の強い真夏日だった。家のなかにいる方が涼しいが、子どもたちをどこかに遊びに連れていってあげたかった。そこで家族で八代市の坂本町にある公園「くま川ワイワイパーク」(〒8696105熊本県八代市坂本町坂本3433-1、電話0965452290、参考ウェブページ)に出かけた。
  人吉市からだと球磨川に沿ってずっと下っていくことになる。途中で球磨川でラフティングをするたくさんの人たちが見えた。夏は水遊びをする人たちで川が賑わう。ダムを撤去して球磨川が清流になればなるほど、より多くの人たちが集まるのだろう。
   くま川ワイワイパークは普段から人気のある公園なので、人でいっぱいかもと思っていた。ところが実際に着くとすいている。意外だったが、理由はすぐにわかった。日差しがあまりに強くて、少し遊んだだけで汗だくになってクラクラしてくる。普段保育園で外遊びをしているやすみは暑さに強いが、冷房生活ばかりの僕は弱くなってしまった。やはり夏には暑さに慣れていかないとダメだ。
  そのあとは同じ坂本町にある「さかもと温泉センター  クレオン」(〒8695221熊本県八代市坂本町川嶽1091、電話0965458814、ウェブページ)に移動した。温泉も食堂もいいが、なによりも「のんびりしていってください」という建物全体からしみだすメッセージがすばらしい。職員の方々の思いが1つになっているのを感じる。人に休んでもらえる場を作り続けるのはほんとうに大変なことだ。

 

写真9〜10は八代市の坂本町にある公園「くま川ワイワイパーク」で撮った写真です。

写真9 いまから長〜いすべり台を滑る。やすみはご機嫌だ。

 

写真10 ワイワイパークには人工の小川があって川遊びができる。響は水をバシャバシャやって楽しんだ。

 

写真11 八代市坂本町にある「さかもと温泉センター  クレオン」の食堂にて。館内にゆったりくつろげる雰囲気が行き渡っている。

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2016年8月日録4

8/16(火) 響を遊ばせようと、人吉市にある「ほっとステーション九ちゃんクラブ」(〒8680004熊本県人吉市九日町16 1F、電話Fax0966329566、ウェブページhttp://www.city.hitoyoshi.lg.jp/q/aview/73/429.html、ブログhttp://s.ameblo.jp/kyuchan-club/)に出かけた。主に未就園の幼児と親が無料で遊べるスペースだ。広々していて走り回れるし、床も柔らかい。おもちゃもたくさんある。そしてなによりも同じような年齢の子どもたちと触れあうことができる。響には普段そういう機会がなかなかないので、ありがたい場所だ。
  この日はたまたまヨガがあった。講師の方は自分自身も九ちゃんクラブに子どもさんと来ていたそうだ。せっかくの機会なので、僕も参加してみた。筋力トレーニング、ストレッチ、バランス訓練、リズム運動、リラグゼーション、瞑想などさまざまな要素がヨガには混じりあっている。十数年前にヨガ教室に参加していた頃には瞑想をする意義がよくわからなかったが、いまは気持ちいいと感じるようになった。忙しくて気持ちがゆったりできないようなときにこそ、ヨガは役に立つのだろう。
  そのあと人吉市の街中に新しくできていたお店に入った。「自家焙煎珈琲 まめこや」(8680002熊本県人吉市大工町43-7、電話番号09064232566、ブログhttp://s.ameblo.jp/mamekoya0901/)だ。美紗さんも僕もコーヒーは苦手だが、ランチメニューがあるので行ってみた。店主の方が個人でされているお店で、ゆったりペースの雰囲気がある。コーヒー好きな人なら、ボーッとしながら少しずつじっくり味わって飲むことだろう。僕たちはパスタとガレットを注文したが、どちらもおいしかった。新しいタイプの「古風な喫茶店」という感じがした。飲み物を味わいながら、自分を落ち着けるための場所だ。
8/17(水) 水上村と湯前町の教育支援委員会の面談で、1日に10組の親子とお話をした。来春に小学校や中学校に進む子どもたちのうち、教育上の支援や配慮を要すると思われるケースが面談に上がってくる。いっしょに面談するのは、子ども支援に関わる人や療育関係者、支援学校の先生、保健師などだ。
  以前は特別支援学級に抵抗を感じる保護者の方が多かったが、最近では支援の必要性を理解してむしろ積極的に希望する方が増えてきた。また小学校入学前の子どもでも、今後の心配や自分の苦手な面をきちんと言える子が何人もいて驚かされた。発達支援に関わっていてよく感じるのが、子どもたち自身は案外スッと受け入れてしまうことが多いということだ。教員上の支援や配慮がよりきめ細かくなり、普通のことになっていけばいいと思う。
いっしょに面談した方から教えてもらった球磨地方の状況をまとめてみる。‘段婿抉膤惶蕕鰺用している中学生のうち、6割以上が普通高校に進学できている。球磨支援学校の高等部を卒業した生徒たちのうち、4割が一般就労できている。L詰に難しい教育を受けるよりも、その子にあったペースの教育を受ける方が、成果は大きい。ぞ来的には高校でも通級学級(国語や数学などの少人数の授業)が始まる予定である。

 

写真12〜13は「人吉花火大会」で撮った写真です。


写真12 参加者が多くて出店の行列が長かった。なかなか買えなかった。

 

写真13 間近に花火が上がるので、音の衝撃が強い。

 

 

写真14〜15は人吉市にある「自家焙煎珈琲 まめこや」で撮った写真です。


写真14 入り口の様子。人吉市の中心部にある。

 

写真15 暑かったが、食事に個性があっておいしかった(写真はガレット)。

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2016年8月日録5

8/18(木) 吉田病院の「認知症支援チーム」の勉強会で、友人の永田美樹さん(社会福祉法人 共成舎 理事長)が講師をしてくださった。テーマは「認知症の人とのコミュニケーション法」で、美樹さんが学んできた「バリデーション」というコミュニケーション技法についての概説だった。奥が深いので簡単には言えないが、認知症の人たちが感じていることや伝えたいことをどうやってキャッチするかに焦点が当てられていると思う。また共感性を高めるにはまずは自分の精神状態を落ち着けることが大事という指摘にもうなづかされた。普段はバタバタ仕事をしていて、患者さんたちと共感するどころか、「できるだけ共同作業をする」ということしか考える余裕がないのが実状だ。
  おもしろかったのはコミュニケーションのついての体験型の演習があったことだ。参加者が2人組になり、互いに「相手の言うことを全否定する」という練習もあった。これは不適切な関わりを肌で感じるという趣旨なのだが、普段したことがないので新鮮だった。精神科スタッフなら誰でも「相手をほめたり励ましたり支えたりするコミュニケーション」は日常的にしているが、コミュニケーションの種類にはもっとさまざまなものがある。心のストレッチ運動のような感じで、「相手の話を聞かない」「急に関係のない話題に話を飛ばす」「頑固に同じことを言い続ける」「急に怒り出す」などの不適切な関わりを体感するのも有用だと思った。「自分がいま患者さんとどんなコミュニケーションをしているのか?」に注意を払うこ
とは大切だと思う。 
8/23(火) 妻の美紗さんの実家に家族で出かけて滞在した。美紗さんの家族のなかで特に存在感が強いのが、甥の加藤颯馬(そうま)くんだ。颯馬くんは好き嫌いがはっきりしているうえに、オブラートに包んだ表現をしないので、周囲との摩擦が起こりやすい。マイペースで人を振り回すといった面もあるわけだが、天真爛漫な伸びやかさがあって、愛さずにはおれない。さらに颯馬くんが僕を好きでいてくれるので、なおさらかわいいと思ってしまう。
  颯馬くんたちと動物園や水族館、プレイエリアなどに行った。自分の興味ばかりに走りがちな颯馬くんにやきもきさせられることもあったが、颯馬くんが騒動を起こしてくれるおかげで、1日1日の印象が強くなる(時間が長くなる)。そして颯馬くんを好きになることで、ふしぎなことに自分の子どもたちをよりおおらかに見守れるようになった。僕にとって颯馬くんは人生の先生であり、天から降りてきてくれた天使なのだと思う。

 

写真16 吉田病院の認知症支援チームの勉強会の様子。永田美樹さんが認知症の人たちとのコミュニケーション技法について話してくださった。

 

写真17 鹿児島市にある「平川動物公園」にて。加藤颯馬くんとやすみはモルモットを膝に乗せてなでることができた。

 

写真18 鹿児島市にある「かごしま水族館」にて。タッチングプールでナマコやヒトデ、ウニを触って子どもたちは大喜び。

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「発達障害支援医学研修」に参加する1 2016年7月6日(水)

  最近僕が子どもの診療に取り組んでいることはこのブログにも何度も書いてきました。球磨地方に子どもの発達症を専門的に診療する医療機関が従来はなかったため、地域の人たちが困っていたのです。子どもの診療を始めてみると、受診者が多くて驚いています。最近では僕の新規の受診者に小学生が多くなりました。多いときには週に4〜5人といったこともあります(なお「発達症」と「発達障害」は翻訳が違うだけで意味は同じです。僕は本人や家族に伝えやすい「発達症」を使っています)。
  病院に来られるのはいままで受診しないままになっていた比較的重いケースが多いです。発達症がいくつも重なっていたり、さらに別の精神疾患を合併していたり、虐待や貧困など家族背景に難しさがあるものなどです。僕は児童精神医学を専門的に学んできたわけではないですので、いつも「ほんとにこの診療の仕方でいいのか?」という不安があります。ですので自分の診療の土台になるような勉強をしてみたいと思ってきました。
  ちょうどそこに「国立精神・神経医療研究センター」の研修の案内がきました。たくさんの研修のなかには発達症に関連したものも4つあります。その4つの内容は治療についてだけではなく、行政の人が参加するような支援システム作りについての研修もあります。僕の目を引いたのは、「第21回  発達障害支援医学研修」でした。「顕在化しにくい発達障害」として吃音や学習症についての講義があります。吃音も学習症も僕は詳しくないですので、受けてみようと思いました。
  ただこれは県庁の推薦がないと参加できない研修です。県庁の担当の方にお願いしてみると、快く推薦してくださいました。熊本地震の後の大変な時期に、僕の手続きを助けてくださったのです。僕は手続きが苦手で、ギリギリまで気づかずに書類の記入をしないままだったり、一部を空欄にしたまま送ってしまったりしたのですが、県庁の方の尽力のおかげで行けることになりました。
  さてセンターは東京都の小平市と東村山市の境にあります。僕は東村山市には以前行ったことがあります。ハンセン病の療養所である「多摩全生園(たまぜんしょうえん)」があるのです。お休みどころのリーダーだった故・上島聖好さんが元気だったころは、東京に来る度に多摩全生園に泊まっていました。全生園にも優れた語り部の方がおられたのです。きっと精神神経医療研究センターもそんなに離れていないに違いありません。
  朝ホテルを出発して歩いていく道中、「ここは全生園?」と何度も思いました。全生園にあったような、うっそうとして暗めの林(ケヤキやアカマツなど)があちこちにあるのです。太古の時代の深い森を連想させるような、ちょっと恐い感じの暗さです。また自転車に乗った人が多いのも印象的でした。全生園も地面が平らで、道がまっすぐで、地域の人たちが自転車や徒歩で園内の道路を通っていたのです。このあたりの風景には共通性があるのでしょうか? 亡くなってしまった上島さんのこともあわせて思い出しました。
  会場の精神神経医療研究センターも、そんな森のなかにある施設群です。研修が開かれる「教育棟」がなかなか見つからずに一苦労でした。気合いを入れすぎて始まる1時間前くらいに着いてしまいました。しばらく周囲を歩いてみました。大きな樹が建物のそばにたくさんあり、なかには「スズメバチ注意」と張り紙のしてある樹もあります。建物も最新のものに混じって大昔の暗いタイル張りの建物があります。全生園もそうですが、70年ほど前の国立療養所はこんな感じだったのでしょう。当時は結核療養所が多かったようで、ハンセン病療養所とペアであるところもあったそうです。過去と現在を行き来するような、奇妙な感覚を感じました。

 

写真1 国立精神・神経医療研究センターの一角の林。うっそうとしていて暗い雰囲気がある。

 

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「発達障害支援医学研修」に参加する2 2016年7月6日(水)

  研修は60人ほどの参加です。参加者は会で聞いたことに基づいて地域で「かかりつけ医等発達障害対応力向上研修」を開き、要点を伝えるそうです。なので僕も真剣に聞かないといけません。ですが僕が日頃苦労しているような精神症状の強いケースの話は少なかったです。ちょっと拍子抜けでした。小児科のお医者さんが中心で、行政の人たちも来られている会ですから、仕方がなかったのでしょう。比較的淡々と会が進んだこともあって、眠くなってしまった場面もありました。以下に講義ごとの要点をまとめてみます。

.リエンテーション
・参加者は日本全国から。比率は小児科医45%、精神科医23%、行政16%。参加者の学びたい要望は診療技術だけではなく、支援者の支援、教育サポート、保護者支援システム構築、政策の方向など多種多様に渡っている(これは発達症の支援システムがまだ十分できておらず、課題が山積みである現状を反映していると僕は思う)。

厚生労働省の発達障害支援施策(日詰正文)
・「発達障害者支援法」が最近改正された。「社会的障壁の除去」が強調されている。教育上の配慮や地域の事業主の理解促進も明記されている。警察、司法関係者、防災関係者、なども含めての議論の場として「発達障害者支援地域協議会」が設置される。
・「かかりつけ医等発達障害対応力向上研修」は専門医の育成を目指すものではない。一般医の啓発を目指している。一般医が発達障害に気づいたり、専門機関につないだりしやすくなることが目標。また専門機関から紹介された人の継続診療を行えることや、他分野との連携がしやすくなることも目標である。
・「障害者差別解消法」も2016年4月から施行された。発達障害の人たちももちろん対象に含まれる。教育の場や職場で、障害者がそうでない人たちと同等の機会を得るための「合理的配慮」が行われることが要請されている(バリアフリーやコミュニケーションの援助など)。
・親が発達症の子どもへの接し方を学ぶプログラムとして「ペアレントトレーニング」が従来から行われているが、より簡易な「ペアレントプログラム」もあちこちで活用されている。「ペアレントメンター」の育成も行われている。「ペアレントメンター」とは自分自身が発達障害児の親であり、研修を受けたうえで、自分の経験を生かして他の親の相談に乗ったり情報を提供したりする人のことである。
・発達障害を持つ若者の就労支援のために、一部のハローワークに「就職支援ナビゲーター」が置かれている。
・地域連携の促進や困難事例への対応のために、都道府県に「発達障害者地域支援マネジャー」が置かれる。
・発達障害支援に関連した調査や研究も進められている。精神科に関連したものには、「発達障害者の特性をふまえた精神科ショートケア・プログラムの開発と臨床応用(就学・就労支援)に関する研究」や、「児童・思春期精神疾患(発達障害を含む)の薬物治療ガイドライン作成と普及に関する研究」などがある。

H達障害児の感覚評価と支援(岩永竜一郎)
・自閉スペクトラム症を持つ人のほとんどに感覚の問題がみられる。具体的には、「過反応」(刺激に対する過剰な反応、例えば嫌いな音に耳ふさぎをしたり、「雨が痛い」と感じたり、特定の感触の洋服しか着ないなど)。「低反応」(刺激に対する反応が乏しい、例えば呼んでも振り向かないなど)。「感覚探究」(特定の刺激を何度も繰り返し求める、例えばクルクル回り続けたり、壁を叩き続けるなど)がある。
・感覚の問題は行動障害(暴言やパニックなど)を起こす要因の1つである。
・不安が強いときには過反応が強くなる。
・感覚の問題の評価尺度として「感覚プロファイル」がある。
・感覚の問題に有効な薬は見つかっていない。嫌な刺激をできるだけ遠ざけるのが基本的な対応。「防衛グッズ」が役立つ。例えば聴覚過敏ならイヤーマフが有効。

じ穏濂修靴砲い発達障害〜吃音症(菊池良和)
・吃音症は発達障害に含まれる。症状としては音節の繰り返し(連発)、引き伸ばし(伸発)、ブロック(難発)、いっしょにしてしまう動作(随伴症状)などがある。状態には波があり、場面ごとの変動が大きい。吃音を主訴に来院する子どもであっても、一般医との診察室での短い会話だけでは半数ほどは気づかれない。
・100人の子どものうち、だいたい5人が吃音症を発症する。そのうち4人は自然回復するが、1人は症状が長く続く。2〜4歳の発症が多く、発症後3年での回復率は男児6割、女児8割。8歳まで症状がはっきりあるなら、以後も続くことが多い。そのうち半数は社交不安症になり、不登校や引きこもりにつながるケースも多い。
・吃音症の原因は、現在では「体質、脳、DNA、急激な言語発達」などに関連していると考えられている。
・治療的な対応としては、まずは子どもであっても本人に吃音症のことを伝えることがある。本人に自覚してもらい、つきあい方を探してもらうことが大事。ほめることを中心としたプログラムで改善がみられる。薬物はあるが、副作用のために使いにくい。2014年から英検に吃音症の配慮が追加された。吃音があっても生きやすくなるためには、社会が変わっていくことも大事である。

サ埖毀簑蠅鯤える親子への治療と支援(犬塚峰子)
・近年虐待件数はこの25年で80倍と爆発的に増えている(2014年で約89000件)。虐待の定義が広がり、より早期から発見されるようになった面が大きい。現在は「心理的虐待」が一番多い。これは両親間の暴力を目撃することや、兄弟姉妹への親の暴力を目撃することなどを指している。
・親子の分離は7%ほどだけであり、ほとんどは親子が地域で暮らしている。家族支援が大切であるが、まだ十分にはできていない現状である。
・虐待はいくつもの要因が重なって起きることが多い。主な要因には、親族や地域からの孤立、困窮や不和などの家庭生活のストレス、親が精神疾患などで子育てをうまくできないこと、発達症などの子ども側の要因、がある。
・支援機関としては、児童相談所、役場、保健所や保健センター、などと共に「要保護児童対策地域協議会」がある。これは行政・教育・保健・医療・司法などの関係機関で構成されるもので、守秘義務が設けられている。
・虐待支援の基本的な方向性は、親子の関係回復。そのためにまずは親と信頼関係を作り、親の能力を引き出す。最終的には子どもの心に信頼感や自尊感情が育っていくことを目指す。
・虐待を受けた人が親になって虐待をするのは3割弱。被虐待歴のない人の2倍。
・親子関係の再構築のための技法としては、「家族合同グループ心理療法(FJG)」「親子相互交流療法(PCIT)」「家族のための認知行動療法(AF-CBT)」などがある。
・専門的な支援もだが、非専門的な支援も大事である。関係を作ったり、継続的に見まもったり、社会的なサービスを紹介したり。

θ達障害児を持つ保護者へ伝えたいこと(林修)
・世の中には多数派と少数派があり、どうしても多数派向けに制度ができるため、少数派は生きにくくなる。発達障害は「発達的少数派」という面がある。
・幼児期には「言葉の遅れ」を主訴として来院するケースが多い。3歳前後までしゃべらずに、3歳以降に急速に発語が増えることがよくある。
・障害の診断は支援を保証するためのものでないといけない。子どもの無理のない生き方とそれに対する肯定的な理解を確保するために役立つ。
・「言い分を聞く」という当たり前のことが、実は難しい。
・定型発達の子どもとは、学習の仕方にも違いがある。原則→事例→応用、という学び方ではなく、多数の事例→急激に応用可能に、という流れ。

 

写真1 研修のテキスト。

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「発達障害支援医学研修」に参加する3 2016年7月7日(木)

  2日目は慣れてきて、こちらの気持ちにもゆとりが出てきました。講義はためになるものがいくつもあり、「来て良かった」と思いました。子どもたちの長い目で見た成長のためになる治療的な関わりをできればと願います。以下に講義の要点をまとめてみます。

“達障害の薬物療法(宮島祐)
・脳の乾燥重量の約60%を脂質が占めている。向精神薬など脳に作用する薬物は脂溶性である。
・2003年にADHD児の保護者の医療機関への満足度を調べたところ、満足39%、不満足31%であった。不満足の理由としては、「治療が不十分」「短い診察時間」「薬を出すだけの診察」「学校への指導がない」「説明が不十分」などであった。
・発達障害の薬物療法は基本的に対症療法である。処方するにあたっては、薬物が子どもにとっての利点をもたらすかどうかという視点からも検討が必要。子どもの利点とは具体的には、ー最圓梁慮海減ること、⊆言佞気譴訛慮海減ること、E切な対人関係や適切な集団行動の体験が増えること、などである。
・ADHDと自閉スペクトラム症の合併例の子どもへの処方薬物の例としては、以下のようなものがある。
〕鳥期のかんしゃくや乱暴な行動には、漢方薬。
⊂児期〜思春期のいらだちや易怒性には、リスペリドンやアリピプラゾール。
睡眠の問題には、ラメルテオン。
ど埣躇奸β親亜衝動性のために不利益が生じている際には、メチルフェニデート徐放剤やアトモキセチン。
タ欲不振にはモサプリド、スルピリド、六君子湯など。
・    自閉スペクトラム症への薬物療法の例としては以下のようなものがある。
”垈此興奮、自傷などに対しては、リスペリドンなどの抗精神病薬、カルバマゼピンなどの気分調整薬。
強いこだわりに対しては、抗うつ薬、リスペリドン、カルバマゼピンなど。
5な調整作用を期待する場合、抗うつ薬やカルバマゼピンなど。
・チックには抗精神病薬やクロニジンなどが用いられる。

顕在化しにくい発達障害〜学習障害(小枝達也)
・学習障害については「学校の問題」ととらえられがちであるが、長年の研究の結果、医師が治療する疾患単位としてだんだん整ってきた。
・教育現場での学習障害は「聞く、話す、読む、書く、計算するまたは推論する能力」の6つの能力の問題。だが医学的な学習障害は「読む、書く、計算するまたは推論する」の4つの能力の問題に限定されている。
・「読字障害」と「書字障害」はセットで起こるのが一般的なので、「発達性読み書き障害(Dyslexia)」と呼ぶことが多い。症状には、(源を読んで認識するのが不正確で非常に遅い、∧源をつづることの苦手さ、2仔匹簗枡匹虜櫃法表記と読みを対応させるのが苦手なこと、がある。
・1896年の最初の症例報告以来、さまざまな原因が推測されてきたが、現在では「音韻処理障害」がもっとも確からしい原因と考えられている。音韻処理障害とは、神経学的な原因によって、「聞いた言葉の音のまとまりを認識して操作する能力」が障害されることを指している。
・日本における「発達性読み書き障害」の有病率は2%前後と考えられている。欧米では5%前後とされており、日本の有病率の方が低い。
・「発達性読み書き障害」が気づかれにくい理由には、「本人のカモフラージュ」もある。本人は「ばれるんじゃないかとビクビクしている」ことが多く、「恥ずかしいから」とたいていは隠そうとする。具体的な方法としては、ゞ飢塀颪隆欅典、√般曚鬚茲修う、Eてられそうになったら保健室に行く、ちいで授業を妨害する、などがある。   
・発達性読み書き障害を「字が読めない子」と思っていると、見逃しやすい。「読めるが、極端に遅いし、よく間違える子」と考えるのがより適切。また文字の読み方をあいまいに覚えてしまっていることもよくみられる。例えば「旅行」の文字を、「リョコウ」と「リャコウ」の半々で読んでしまっている子もいる。
・読字には3つの神経回路が関わると考えられている。‘頂側頭部(音韻処理)、後頭側頭部(単語形態)、ブローカ野(構音、音韻処理)。発達性読み書き障害の子どもでは、△鉢の活性が低く、,強まっている。
・音読を速く正確にするには、_鯑匹了愼魁弊騎里気慮上)、△泙箸泙蠧匹澆了愼魁並度の向上)、の2段階でトレーニングするのが有効である。,できる無料のアプリがある。App Storeで「音読指導アプリ」を検索すると、ダウンロードできる。こちらは3週間ほどで効果が出てくる。△呂茲蟷間がかかり、6ヶ月〜1年の継続で効果が出てくる。
・将来も含めた支援としては、パソコン入力の活用がある。
・発達性読み書き障害は他の発達症との合併も多い。ADHDが合併している率は約44%、自閉スペクトラム症は約26%である。
・学習障害には、「算数能力障害」もある。病態の本質は、「数量のイメージと、数字の符号がうまくマッチングしないこと」。脳の頭頂小葉の機能障害が原因と考えられている。
・算数能力障害は「算数の学習がうまくいかないこと」とは別である。
・算数能力障害は医師が治療できる疾患単位としては、まだ十分に整っていない。

H達障害児をもつ母親の養育レジリエンス向上の支援策(稲垣真澄)
・発達障害をもつ子どもの母親にうつ状態がよくみられる。特に自閉スペクトラム症の子どもの母親にうつ病が多い。
・自閉スペクトラム症児の保護者がうつ状態になり、自殺したい気持ちを持つことがある。どんな要因が自殺念慮の有無に関与するのかを調査・分析した。その結果、自殺念慮を促進する要因は「子どもに反抗挑発症があること」だった。抑制する要因は、「保護者自身が父親からのポジティブな養育体験を持っていること」と「子育てについて相談できる友人がいること」だった。
・「レジリエンス」という言葉は「困難な状況においても克服できる力」を指す。
・母親へのインタビューなどを通して、養育レジリエンスを高める因子を調べた。その結果、「親としての意識」「自己効力感」「社会的支援があること」「発達症の特徴理解」「今後の見通しがあること」の5つが抽出された。
・その結果をもとに、養育レジリエンスを評価する質問表を作成した。

ADHD児の診方〜問題行動解決のための面接技法〜(井上祐紀)
・ADHDに対する治療法はある程度確立してきているが、現場で実際に本人と保護者に納得してもらうことは大変なことが多い。なぜならば本人と保護者の持っている発達症の知識も治療への動機も人それぞれだからだ。全く必要性を感じないままに「勧められて受診した」というケースもある。
・なので効果的な治療を行うためには、「本人と保護者とつながっていくための面接技法」が必要になる。 
・ADHDの病態モデルには「Dual Pathway Model」がある。これは「実行機能・抑制機能の障害」と「脳内報酬系の機能障害」の2つがからみあってADHDの症状が引き起こされるという考え方である。
・ADHDの治療は「薬物療法」と「行動療法的な介入」の両面を行うのが一番有効。薬物を処方する際には、薬の見本を実際に手に取ってもらうようにすると、飲んでもらいやすい。
・研究によれば、ADHD児自身も症状に悩んでいる。ADHD児の問題行動の背景には本人の悩みや心配がある。そこを聞きながらつながっていかないと、いい関係を作りにくい。
・「外部から見た症状の有無」を尋ねるのではなく、「本人がその瞬間に体験している気分や身体感覚」について尋ねる。例えば「教室を飛び出すんですか?」と尋ねるのではなく、「教室で体を動かないようにジッとしてるのはすごく疲れる?」と尋ねる。「宿題やらなきゃと思ってるのに、何から始めたらいいかわからないときがある?」や「順番を待つ時間がすご〜く長いよね?」といった質問も子どもが答えやすい。反抗挑発症のある子どもには、「怒りたくないのに怒っちゃうときがある?」と尋ねるのが有効。
・本人にも保護者にも、「強み探し」から面接を始めるのが役立つ。一般的に「問題行動」とだけ見られる事態にも、「隠れた強み」がある。そこに焦点を当てて聞いてみる。
・例外探しも「隠れた強み」を見つけるのに有効。例えばしょっちゅうケンカをしてしまう子には、「この子とはケンカをしないって子がいる?」と聞いてみる。一人遊びの多い子には、「この子となら遊べるって子がいる?」と聞いてみる。 
・「いいことノート」も役に立つ。家族、教員、担当医など本人を支援する人たちが、強みを見つけたときに書き込んでいく。
・「問題解決コラボレーション」という面接技法を応用することもできる。これは「共感ステップ」→「問題定義ステップ」→「提案ステップ」の3段階で、問題の解決を支援していく技法である。
・ADHD単独ならかかりつけ医での対応が可能。(斬絃鼻↓¬簑蟾堝阿侶磴靴機↓5埖圓箍搬欧量簑蝓△覆匹みられるときには、専門医への紹介が望ましい。

 

写真1 公園の樹々。暗がりが濃い。

 

写真2 研修のあった教育棟。

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2016年7月日録1

7/3(日) 僕の精神医学の師である神田橋條治(かんだばし  じょうじ)さんから新しい著書が送られてきた。『治療のための精神分析ノート』(神田橋條治著、創元社、2016年)だ。神田橋さんの学問の出発点は精神分析学にある。80歳近くになられたいま、そこに戻られるのは、自然なことであり、かつすごいことだと思う。原点への回帰であり、また「自分を育ててくれた器へのお礼」でもあるのだろう。
  でも内容的には僕が素直に満足できるものではなかった。なぜなら神田橋さんを刺激して論考を引き出す「異物」の存在を感じられなかったからだ。反論なく神田橋さんが話し続けているような感じで、ファンとしては楽しめるが、ファンでない人には入っていけない世界だと思う。長年の思索を圧縮し過ぎている面もあり、わかりにくさがある。
  弟子としての厳しすぎる意見かも知れないが、神田橋さんを追い詰めるぐらいの相手とやりあってほしかった。違った世界観どおしがぶつかり合ってこそ、「未来をたぐり寄せるヒント」が生まれるのではないだろうか?もっともこう思うのもファン心理なのかも知れない。僕にとってのヒーローである神田橋さんには、どこまでもどこまでも先へ進んでほしいと思ってしまう。 
  僕が憧れた神田橋さんの姿は、「無心に遊ぶ童子」だ。「難しい理論を語る偉い先生」ではない。神田橋さんの天衣無縫な思いつきが自在に繰り広げられる語りの場。深いだけでなく、シャレていたり、意外だったり、ちょっとバカげていたりもする。そういった本を夢見てしまうが、欲張り過ぎだろうか・・・(笑)。いままでの思索の集大成ではなく、いまの自由の境地を形にしていただきたい。 
7/10(日) 娘のやすみが3歳7ヶ月になった。保育園の先生からの手紙によれば、園ではお利口さんのようだ。でも家ではまさに反抗期真っ盛り。何から何まで「イヤ、イヤ」と言う。食べ物やおもちゃの好みなら理解できるが、例えば「出かけた先のショッピングモールで車を1階に停めるか2階に停めるか」のように、全くどうでもいいことにこだわって騒いだり泣いたりする。反抗期とわかっていても、こちらもイライラしてしまう。
  今朝は美紗さんが作ったフレンチトーストを食べずに、「熱い」「他のがいい」「イヤだ」などと文句ばかり言うので、「もう朝ごはんを食べなさんな!」と怒鳴ってしまった。やすみは泣いたり怒ったりした。しばらくしてから、やすみが喉が乾いたと言ったので、僕が飲み物を勧めたら、手で振り払った。その傲慢な態度に腹を立てて、僕はやすみの頭とお尻をたたいてしまった。「もうあっちに行きなさい」と言って2階の部屋に置いてきた。やすみは激しく泣き、美紗さんが迎えに行った。怒ると後味が悪い。子どもの行動や態度がひどすぎる場合、どうすればいいのだろう?1日中そのことを考えていた。

 

写真1 『治療のための精神分析ノート』(神田橋條治著、創元社、2016年)。長年の思索を一気に書いてあるために読み解きにくい面があるが、「治療現場からの哲学」の試論だと思う。

 

写真2〜4は美紗さんのご両親と浅草に行ったときの写真です。

写真2 「浅草寺(せんそうじ)」の参道には土産物屋がたくさん並んでいる。海外からの観光客が非常に多くて驚いた。

 

写真3 着物を買ってもらってやすみはご機嫌。

 

写真4 ヨチヨチで危ないのに、響も歩きたがる。

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