お休みどころ

こころの相談活動を作り続ける
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神田橋條治さんの冊子を読む 2017年8月5日(土)

  神田橋條治さんは精神科医です。僕が精神科医療の実務を教わった先生なのですが、精神科の研究や著作だけでなく、教え上手としても名高いです。神田橋さんが事例検討会の前にすこし話す小話や、聞き手の質問への回答が、ファンの手によってまとめられて継続的に出版されています。それが冊子『治療のこころ』シリーズです(1〜22巻、発行:花クリニック神田橋研究会)。
  実は僕が神田橋さんを知ったのも、この『治療のこころ』シリーズを読んだのが最初です。精神疾患を持つ友人が集めていて、僕に貸してくれたのです。専門用語が多くてわからない部分が多かったのですが、その一方で精神科分野にとらわれない普遍的な真実が語られていて、光が射してくるようでした。僕の探求にも先が見えていなかったのですが、「見晴らしのよい場所」を夢見させてくれる力があったのです。僕にとっては思い出深い本です。
  ただ最近は神田橋さんが神格化され過ぎていて、『治療のこころ』もあまりおもしろくないと感じてきました。僕自身が神田橋さんの素晴らしさと感じてきたものは「神のように全てを知り尽くして、整然と説明する」「他の人がまねできない超人的な治療をする」ということではないのです。むしろ「全然答えのない状況で、本質を突いた問いを発する直観性」「珍案・奇案・馬鹿げた案も含めて、さまざまな仮説を提出できる生産性」「失敗を恐れず、間違いながら探求していく大胆さ」といった「知的な手探りの力」こそが神田橋さんの魅力だと思います。すでにできあがった論を話すだけの神田橋さんには「知のきらめき」を感じられないのでした。
  そんなところに神田橋さんが新しい『治療のこころ 巻二十二 問いに答える十』(花クリニック神田橋研究会発行、2017年)を送ってくださいました。パッと開いてやはり神秘的な要素を感じたものですから、長い間食指が動きませんでした。それでも大事な先生ですから、読んでみました。
  講演の際に神田橋さんが参加者からの質問を読み上げて回答していく様子が、そのまま記録されています。前半は刺激に乏しい質問が多く、神田橋さんも神秘的で超人的な論を展開するにとどまっています。おもしろくなってくるのは後半で、治療の本質にかかわる質問が出てきます。そして難しい質問が出るほど神田橋さんの頭は冴え、精神科治療を根本から説き起こすことになるのです。
  神田橋さんの語りというのは要約が難しいです。内容よりも語り口そのもののおもしろさが大きいからでしょうし、科学的と言うよりは文学的な美しさがあるからでしょう。結論と言うよりも言葉の流れそのものにおもしろさがあるのです。なので「読んで要点を頭に入れる読書」というよりも、「読みながら自分自身の心が変化していく読書」と言えるでしょう。
  著作と講演を通じて、何十年にもわたって、大勢の支援職を育ててこられたのはまさに偉業です。神田橋さんの本質は治療者よりも教育者にあるのかもしれません。異論を唱えたいところも多々ありますが、やっぱりすばらしい先生を持てたことをうれしく思いました。そして僕も自分のフィールドで、先生のように自由な発想力を持ちながら、探求していきたいと思いました。

 

写真1 『治療のこころ 巻二十二』の写真。

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上球磨認知症初期集中支援チームで鹿児島県庁に話しに行く 2017年8月10日(木)

  「認知症初期集中支援チーム」というチームが各市町村にできつつあり、僕も参加していることは以前から書いてきました。このチームは虐待やごみ屋敷、危険運転など認知症に関連した困難事例に対して多職種アプローチを行うためにつくられたものです。社会福祉士+保健師+医師が必須メンバーで、そこに福祉課の方や地域包括支援センターの方、作業療法士などが加わってチームを作ります。僕は「上球磨(かみくま)」と「人吉市(ひとよしし)」のチームを担当しています。
  上球磨地域(水上村+湯前町+多良木町)のチームは設立も球磨地方でいちばん早く、僕にとっても初めて参加したチームですので思い入れがあります。また意欲と行動力を持った仲間ばかりなので、議論が非常に発展し、自分にとっても勉強になります。上球磨チームの中核となっている社会福祉士の山浦さんとよく話すのですが、地域には支援がうまく作動していない困難事例がたくさんあります。認知症に限らず、貧困・養育困難・DV・虐待・精神疾患・浪費など複合的な課題がからみあったケースばかりです。そういった困難事例に対する多職種アプローチをしていけるようにみんなでスキルアップしていくこと。そこが上球磨チームの究極の目標です。いまは認知症に関連したケースの支援をしていますが、いずれは総合的な困難事例対応チームが作れるようになっていたいのです。
  上球磨チームは設立が早かったこともあり、いままでにも他地域からの見学を受け入れたり、研修に出かけたりしています。今年2017年の2月には、鹿児島県の薩摩川内市に招いていただきました。チームの中核メンバーで話すはじめての機会だったのですが、非常にうまくいって喜んでいただけましたし、また自分たちにとっても実り多い研修旅行になりました。
  その際に鹿児島県庁の方が聞きに来てくださっていたのですが、今度は鹿児島県庁で話してくださいとお誘いをいただきました。「地域支援事業充実・強化支援事業」という会議があり、認知症初期集中支援チームを取り上げてくださるのだそうです。予算の関係もあり、1,2人での発表をとのご依頼だったのですが、僕自身はチーム員の多くで行きたいという思いがありました。多職種で意見を出し合って協働していくところこそが初期集中支援チームの核心だと思うからです。山浦さんに相談し、有志で発表することになりました。最終的に発表者は僕を入れて5人、研修旅行の参加者は8人になりました。自発的にこれだけの人たちが集まるのですから、意欲的な人ばかりだというのも信じていただけると思います。内容の打ち合わせをしながら、当日を迎えました。
  鹿児島市に入ってから渋滞に巻き込まれてしまい、時間に間に合うかが心配でした。ですがなんとかぎりぎりに着きました。昼食をしながら県庁の方と打ち合わせをしたのですが、話しやすい方ばかりで意外でした。僕たちの住んでいる球磨地方にも初期集中支援チームがまだ立ち上がっていない町村がありますが、鹿児島県にもたくさんあるそうです。そういった地域の立ち上げのサポートになれば、というのが主催者の意図でした。講演をするだけでなくて、グループワークに参加したり、質問に答えたりする時間もあるそうですので、できるだけこれから立ち上げるところにエールを送りたいと思いました。
  僕たちの講演の時間になりました。最初は湯前町の福祉課の方で、行政の立場からチーム立ち上げへの経緯を話しました。行政の方がチーム員会議に参加していることがとても大切なことで、支援者と事務方の風通しを良くする意味合いがあります。事務系の方が支援に大切な視点を提示したり、核心を突く質問をしたりすることも多いのです。
  次に山浦さんと堂本さんという2人の社会福祉士から、困難事例の支援の実際をケースに即して話してもらいました。そもそも困難事例は「普通に支援しようとしてもうまくいかないケース」ですので、支援には時間がかかったり、うまくいかなかったりします。偶然も利用しながらどんなふうに事態を切り開いていったかが伝わる迫力ある内容でした。
  次に保健師のNさんからチームの課題や今後の展望について話してもらいました。「独居者への対応」「内服管理ができないケースへの対応」「家族支援がうまくいかないケースへの対応」「マンパワー不足」「もっとタイムリーな訪問ができないか」などの課題を提示し、それらの克服や対応できるケースの範囲を広げていくことなどが将来の展望であることを話してくれました。思慮深く掘り下げて考えるタイプのNさんらしい発表でした。
  ここまで終わって僕の持ち時間は30分あるはずでしたが、すでに残り15分しかありませんでした。時間に追われて早口で要点のみ話す形になってしまいましたが、初期集中支援チームの活動全般について具体例を交えながら話すことができました。
  ここからはグループワークでしたが、まだチームが立ち上がっていない市町村の方からいろいろな質問が出ました。僕に聞き取れた範囲では以下のようなものです。「予算配分や人員配置はどうするか?」。「サポート医への報酬は?」。「サポート医の居宅訪問は可能か?」。「ケース支援の終結はどのタイミングでするのか?」。「飲み会などの交流はチーム員でしているか?」。「立ち上げに向けて、まずはどこから手を付けたらいいのか?」。「情報収集のシートは?」。「発達症がベースにある認知症のケースへの対応について」。「危険運転のケースへの対応」。「包括支援センター職員が兼務する場合の業務分担」。
  いずれも大事な質問ですね。ですが僕が何よりも言いたかったのは、「まずは会議を始めてください」ということです。情報の整理に使うシートにしても、認知機能の評価尺度にしても、ケースをこなしながら徐々にヴァージョンアップしていけばいいのです。それよりも何の準備もなくても、地域でどんな困ったケースがあるかということを話すだけでもいいから始めることの方が重要と思います。極論かもしれませんが…。
  上球磨チームでは困難事例への支援がだいぶ進んで、「ケースが少ないなぁ」と感じるくらいの状態になっています。最初は地域にたまっていた事例がどんどん上がってくるのですが、一段落する時期がやがてきます。ちょっと停滞感も感じていたのでした。そんなときに研修に出かけて自分たちの活動について話すと、自分たちの原点がみえてきます。それが「認知症に限らない総合対応力の強化」という点です。また過疎化に直面している地域にあって、「医療・保健・福祉の視点からの生き生きした地域づくりへの貢献」というのも大切な目標だと思います。
  これからも上球磨チームでは、認知症を切り口にいろんなケース支援を行いながら、自分たちが目指すものをとらえなおしていきたいと思います。優秀な仲間たちと仕事したり考えたりできることは貴重です。自分が磨かれるような場を持てている幸運を忘れないようにしながら、進んでいきたいです。

 

写真1 チームで出かけた鹿児島県庁の様子。

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2017年8月日録1

8/1(火) 山江村の特別支援連携協議会の研修会に招いていただいた。保育園・小学校・中学校の発達症支援に関わる方たちが幅広く集まる場だ。つながりが増えるので僕にとっては参加できるのがありがたい。過去2回で発達症支援の概要と事例についてお話したので、発達症の支援ネットワーク作りについてお話した。参加した皆さんは熱心に聞いてくださり、質問も多く出た。全部に答えきれなくて申し訳なかった。
  以前から僕はコレステロールや中性脂肪が高かったが、ずっと放置してきた。ただそのために「病気のリスクが高い」と判定されたのか、娘の学資保険を申し込んだのに落ちてしまった。それでとうとう「これではいけない」と思って、美紗さんのかかりつけの「しらおく内科クリニック」(〒8680008熊本県人吉市中青井町295-8、電話0966251550)を受診することにした。白奥医師のアドヴァイスは、「遺伝的な要素もあるので薬も出しますが、基本的には食事と運動の改善が大事です」というものだった。食べ過ぎを防ぎ、適度に体重を管理することが、いまからの課題なのだと改めて感じた。
  娘のしずくがもうすぐ生まれて3ヶ月だ。便秘以外はいまのところ順調に育っている。母乳中心だが肉付きがよく、お相撲さんのような感じになっている。「肉肉しい(にくにくしい)ね」と美紗さんは新たな造語を作って語りかけているが、たしかに丸々してムッチリした感じが強い。肌がとても滑らかで、「柔軟性については赤ちゃんのときがピークなのだ」とわかる。成長していくなかで、伸びる部分もあれば、衰えていく部分もあるんだと気づく。ニッコリしたときの無垢の笑みも、人生のなかで2度と再現できないものだ。天国に近い存在なのだろう。
8/2(水) 水上村と湯前町の教育支援委員会に参加した。特別支援教育が必要かどうかをアセスメントするために、子どもと保護者と面談して話し合うのが僕の役割だ。いっしょに面談する人たちは子ども支援の第一線にいる人ばかりで、共に仕事をできてうれしくなる。年々保護者の人たちへも話しやすくなってきている。特別支援教育はあくまでも子どもが生き生きと勉強するための仕組みであって、無理矢理に導入するものではない。保護者の人に困り感が出てくるまで、焦らずにじっくりと関わっていくのがポイントだと思う。
8/3(木) 吉田病院の子ども支援チームの例会があった。外部研修を聞いてきたスタッフの発表があったり、病棟の現状についての報告があった。純粋に興味や必要性を感じている人だけが集まっているので、意見がいろいろ出て議論が流動的になる。展開が読めないところがあるが、そのぶんやりがいもある。たとえ少数(20人前後?)であっても、熱心な人が集まって学び合うことがなによりも大切だ。それが徐々に波及して、やがてスタッフ全体のレベルアップにつながれば、地域の子どもたち・保護者・学校などへの貢献にもつながりすばらしい。でもまずは焦らずに、1回1回の例会が充実することを目指したい。

 

写真1 「パンとお菓子の工房 ナチュラル 人吉店」のイートイン・スペースにて。ランチが始まったのを知らなかった。

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2017年8月日録2

8/5(土) 人吉市の「ゆうれい祭り」があった。大型台風の接近で雨にならないかが心配だったが、幸いにも曇りでときどき小雨がパラつく程度だった。若い人を中心にすごく賑わっていた。普段は街で高齢の方を目にすることが多いので、地域が若返っているような気持ちになる。年々出しものが増えて、子どもの遊び場も充実していた。過去には中断されていた時期もあったと聞くが、復活させた有志の努力が実ってきている。活気のある場は地域の人たちの必要としているものなので、必ず今後も育っていくだろう。祭りを復活させた人たちに敬意を表したい。
8/6(日) 台風の動きが気になったが、子どもたちを雨でも行ける屋内の遊び場に連れていくことにした。インターネットで見つけたショッピングモール「ゆめタウン光の森」(〒8691108熊本県菊池郡菊陽町光の森7丁目33-1、電話0962332211)に出かけることにした。人がものすごく多くて、「人酔い」して気分が悪くなってしまった。とはいえ子どもの遊びスペースが充実していて、「人口浜辺(?)」もあった。子どもたちは人が多いのが楽しいらしく、帰りたくないと言った。それで気づいたのだが、ショッピングモールは現代版の「お祭り」なのかもしれない。お祭りの人混みや出店の多さに似ている。
8/8(火) 美紗さんと僕の共通の友人である宇井恭子さんが6月に信州に移ってしまったので、残念に思っていた。美紗さんが「寂しくなりました」とメールを出したところ、なんと宇井さんは出発が延期になってまだ水上村におられるとのことだった。ちょうど水上村に会議に行く日だったので、そのあとに宇井さんと食事をした。
  長野県出身の宇井さんは水上村に20年以上住んでこられ、こちらに宇井さんを必要とする人もたくさんいる。何が宇井さんの魅力なのかを言葉にするのは難しいが、やはり「アート的な生き方」になるだろうか。型にはまったところがなく、人を見る際にも型にはめて見ないので、こちらも自由な居心地の良さを感じるのだと思う。もちろん型にはまらないがゆえに宇井さんが人生で払った代償は非常に大きなものだ。僕たちは宇井さんといる時間に、自分たちには手にできない「生き方の自由さ」を感じるのだろう。
  「発達相談外来」の研修会が人吉市であった。地域の支援体制がテーマで、僕と福山さん(スクールソーシャルワーカー)がお話しした。福山さんは自身も参加している「球磨教育事務所サポートチーム」の活動について話された。球磨地方の小・中学校の困難事例支援にあたっているチームだ。年間90件ほどの支援要請があり、8割以上に発達症が関係しているとのことだった。ー殺企図の事案が増加している、年単位で関わって信頼関係を作ってからでないと事態は動かせないことも多い、C羈惺擦濃抉舁彑舛あがっても時間がないために成果が出にくい、い任れば小学校の段階で支援要請を挙げてほしいとのことだった。年単位で関わっていく覚悟がすごいと思った。
  そのあとの意見交換会にはさまざまな職種の人たちが参加してくださり、意見もいろいろ出た。話題になった主な点は以下のとおりだ。―学前の子どもたちの支援において、保健師さんはスクリーニングでどこまで拾うべきか?少なすぎれば漏れが生じるし、多すぎれば支援が薄くなってしまう。⊇学前の支援の情報を、どこが引き継いで就学後の支援にあたって行くべきか?学校の先生たちは多忙過ぎる状況だし、一年で異動があるので、継続的な支援が難しい面がある。スクールソーシャルワーカーをどうやって確保するか?なり手も球磨地域においては不足しており、身分的にも不安定な面がある。な欸鮖佞気鵑離丱奪アップをする体制が必要では?サ埖垰案については各市町村の要対協(要保護児童対策地域協議会)の活性化が懸案。市町村ごとに温度差がある。

 

写真2〜3は人吉市の「ゆうれい祭り」に行った際に撮った写真です。


写真2 子どもの遊びコーナーも充実していた。写真は魚つり遊びで、釣り上げた魚に応じて景品がもらえる。

 

写真3 名物のおばけ屋敷には長い行列ができていた。

 

写真4〜5はショッピングモール「ゆめタウン光の森」で撮った写真です。

写真4 このようなキッズスペースがあると、走り回れるので子どもたちが喜ぶ。

 

写真5 「屋内砂浜」。敷き詰められた砂の上に、プロジェクターで波や魚が映し出される。追いかけたり捕まえたりもできる。

 

写真6〜9は宇井恭子さん宅の離れである喫茶・食事・宿泊スペース「山童・茶花(やまわら・ちゃいはな)」の跡で撮った写真です。

写真6 片付けられてガランとした建物。宇井さんたちの手作りだ。

 

写真7 すぐ裏の渓流。響は最初は恐る恐るだったが、水に足をつけて遊んだ。

 

写真8 いろりを囲んで話す。

 

写真9 最後に宇井さんと。長野県に行かれてしまうので寂しい。

 

 

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2017年8月日録3

8/12(土) 美紗さんと子どもたちが実家に泊まりがけで出かけたので、僕は映画DVDを借りてみることにした。たまたま目にしたものが、『カッコーの巣の上で』(ミロス・フォアマン監督、1975年、アメリカ)で、精神科病院の姿を描いた名作と聞いていた。だが実際に見てみると、とても感動作とは言いがたく、暴力的過ぎて気分が悪くなった。
  当時の精神科病院の閉鎖性や懲罰的な対応を批判するのが主旨だと思うが、現代の僕から見れば主人公の方がよほど問題だと見える。主人公のような犯罪者が精神科病院に入ってしまうというのは比較的最近まで続いていた問題だし、主人公のようにルール違反や破壊的行動を繰り返す人もやはりいる。精神科医療の難しさを取り上げた点ではたしかに斬新だったのだろう。
  でもいたずらに精神科病院の解体や精神科医療の消滅を叫ぶような運動には共感できない。1人1人の患者さんの幸せに貢献しようと地道に働いている多くの人たちの存在を無視しているからだ。過激な主張には中身がなく、むしろごく当たり前に見えることのなかに真実は宿るのだろう。
8/13(日) 次の日には『ベルリン 天使の詩』(ヴィム・ヴェンダース監督、1987年、西ドイツ・フランス)を見た。ストーリーのしっかりある映画というよりも映像詩であり、時間と空間、現実と非現実を自在に行き来しながら画面が進行する。印象的なのはベルリンの街のなにげない風景で、それらが強い存在感を持って目に残る。白黒とカラーと両方のパートがあるが、白黒の方が格調が高く、かえって色鮮やかな気がしてくるから不思議だ。全てを映し出すのではなく、こちらの想像力を刺激する方が、結果的に心に残るのだろう。 
8/15(火) 連休を利用して僕の実家に帰った。子どもたちはどんどん大きくなってしまうので、小さいうちの姿を両親に見てほしいという思いがあった。美紗さんが両親を大事にしてくれるので、気楽に実家に行け、親孝行をできるので幸せだ。やっぱり実家ほどゆっくりできる場所はないんだなぁとありがたく感じた。両親には今後も元気でいてほしい。
8/16(水) 子どもたちを遊ばせるために両親が連れていってくれたのは、意外なことに「インスタントラーメン発明記念館」(〒5630041大阪府池田市満寿美町8-25、電話0727523484)だった。ラーメンの博物館と聞いて、「どこが子どもたちにおもしろいんだろう?」と疑問だったが、着いてみると予想が裏切られた。展示も体験もおもしろく、しかも子どもたちも楽しんでいたのだ。またインスタントラーメンの開発の苦労を知ると、尊い食べ物だと感じる。オリジナル・カップヌードル作りを体験して、やすみは帰ったらすぐに食べたいと言った。さっそくみんなで食べたが、いつものなじみの味だった。インスタントラーメンは完全に生活にとけこんで、「あって当たり前の物」になったのだろう。
8/17(木) 滋賀県大津市にある「南郷水産センター」(〒5202279滋賀県大津市黒津4丁目4-1、電話0775461153)に出かけた。金魚すくいやザリガニ釣り、アユのつかみ取りなどのコーナーがあり、子どもが遊びながら魚と触れ合えるようになっている。古い施設だが人気があり、親子連れがたくさんだった。派手ではなくてもテーマがしっかり定まっている施設が、結局は長生きする。

 

写真10〜14は大阪府池田市にある「インスタントラーメン発明記念館」で撮った写真です。   


写真10 住宅地のなかに唐突に建物がある。

 

写真11 展示の内容が非常におもしろい。しかも子どもは子どもで遊べる。

 

写真12 カップヌードルのカップにペンで自由に書ける。

 

写真13 麺にカップがかぶさる様子を、ハンドルを回して体験できる。このあとスープと具材を選べる。

 

写真14〜17は大阪府池田市にある公園「伊丹スカイパーク」で撮った写真です。


写真14 伊丹空港の滑走路のすぐ脇に展望スペースがある。

 

写真15 虫に詳しいお兄ちゃんがクマゼミを見せてくれた。

 

写真16 レトロな石の滑り台もあった。

 

写真17 平均台のような遊具。遊具の種類が多く、遊びと発達の両面が考えられている。

 

写真18〜19は滋賀県大津市にある魚のテーマパーク「南郷水産センター」で撮った写真です。


写真18 金魚すくいやヨーヨーすくい、ザリガニ釣り、魚つりなどが楽しめる。

 

写真19 鮎のつかみ取りコーナーもあった。鮎は速すぎてやすみは捕まえることができなかったが、2匹を塩焼きにしてもらった。

 

写真20 僕は仕事で先に帰った。機内で撮った雲の写真。普段賑やかなので1人になると心細くなる。

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2017年8月日録4

8/18(金) 吉田病院の「発達症勉強会」で友人の江口直美さんに話していただいた。江口さんは鹿児島県日置市(ひおきし)でフリースクール「学びの杜学園」(連絡先〒8992201鹿児島県日置市東市来町湯田4477-2 皆田地区公民館2階、携帯09034146065)を運営している。不登校の子どもたちのための学びと成長の場で、中学生を中心に常時10人ほどを受け入れている。
  現時点ではフリースクールと言えば、教育よりも「子どもに居場所を提供すること」を主な機能とする施設が多くを占めているそうだ。なので教育体制がしっかりしていて、中学校長や教育委員会の認定により、在籍校での出席扱いになるところが、「学びの杜学園」の大きな特色だ。また創作ダンス・活け花・書道・津軽三味線などの多彩な講師陣が揃っているところや、心理相談・医療との連携体制が充実しているところもすばらしい。
  球磨地方には居場所としてのフリースクールもいまはないので、うらやましい限りだ。実際にフリースクールでどんな勉強をしていたり、どんな支援をしているのかを保護者や支援者は知りたいだろうと思ったので、江口さんには具体的なケースについて話していただくようにお願いした。江口さんは写真や母親の手紙、子どもの肉声も織りまぜて、子どもたちの日々がありありと目に浮かぶように話してくださった。出口の見えない不安を抱える親の気持ちに共感して、涙を流しておられる参加者もいた。子どもたちが自分の特徴を受け入れたうえで、主体的に自分の道を探していく姿に感動させられる。
  フリースクールについての社会的な制度がまだ十分にできていないので、江口さんは民間の立場で運営されている。非常に良心的に運営されているが、どうしても授業料が発生する。だが球磨地方で不登校の困難事例となるのは、貧困や養育困難などが背景にあるケースが多い。なので球磨地方では公的な施設としてのフリースクールがあってほしいところだ。まだ形がないものなので、作り出すのは大変だが、機運が高まってきているのを感じる。中核となる教育者の出現が待たれる。
8/20(日) お休みどころの相談で訪問した。相談活動の楽しいところは、すばらしい人と出会えるチャンスがあるところだ。その場合は、目の前の課題よりも、むしろ相談者がどんな人でどんな願いを持ってきたのかが大事になる。そしてその願いの方向に少し話題を向けると、あとはひとりでに進んでいく。才能のある人ほど、才能を活用せずにいることはつらい。相談者がいきいきすることで課題が進展していく。僕にとってもうれしく、やりがいを感じる瞬間だ。
8/22(火) やすみと響は映画『シュレック』を何度も何度も観ている。特に3作目と4作目にあたる『シュレック3』(クリス・ミラー監督、2007年、アメリカ)と『シュレック・フォーエバー』(マイク・ミッチェル監督、2010年、アメリカ)がお気に入りだ。基本的にはコメディなのでギャグが満載なのだが、冒険を通して次第に主人公の怪物シュレックが成長していく様子もおもしろい。一匹狼であったシュレックが仲間を作り、家族を持ち、政治権力からはあえて距離を取る。優れた作品がどれもそうであるように、シュレックも「現代の神話」になっている。またバックミュージックがほとんどポップ音楽で構成されているが、鮮やかで場面の情感を伝える。ポップ音楽ももはや「現代の文化的な達成」になるのだろう。
8/25(金) 例年夏には家族で「人吉花火大会」を見に行っている。今年は僕の実家に帰る時期だったため見れないと思っていた。ところが実は雨天で延期されていたと数日前に知った。せっかくのチャンスなので、仕事のあとに子どもたちを連れて出かけた。
  花火のスポンサーについての説明が数分あり、そのあとに打ちあがるということが30発ほど繰り返されるだけなのだが、夜空に光のきらめきが散らばる様子はやはり壮観だ。すぐ近くで発射されるので、ドーンという爆発音も体を揺すぶる。子どもたちには出店のオモチャの方がおもしろいようだったし、出店で買ったフライドポテトやはし巻きを食べさせるのに必死で、僕たちもじっくりとは見ることができなかった。しかし花火は人生そのものを象徴しているように思えた。一筋の細い夢を追っていくと、やがて大きく展開するときが来るのだろう。
8/30(水) 娘のしずくはもうすぐ生後4ヶ月になる。最近首がすわってきたと思っていたが、今日はもう寝返りをしたと美紗さんが言うので驚いた。ウーッ、ウーッとうなりながら何度も寝返りをうとうとしている姿を見ると、「誰も教えていないのに、どうしてチャレンジできるんだろう」と不思議に感じる。やはり本能というものがあって、その促しによって人間は成長していくのだろう。僕自身は学習によって成長してきたと感じているが、それはあくまでも表面的な部分に過ぎず、実は内からの促しによって感じたり行動したりしてきたのだろう。
8/31(木) 珍しく用事のない1日だったので、響を遊びに連れていくことにした。川遊びをできる場所は球磨地方にいくつもあるが、美紗さんと話して錦町の「大平(おおひら)渓谷」にした。名前だけは何年も前から知っていたが、行くのは初めてだ。
  ところが道がひどくて着くまでが大変だった。離合がとてもできない林道が長く続くうえに、道が崩れそうなところまである。両脇の杉林も手入れがされていないので、いずれ道が崩れるのではと思われた。
  さんざんな目に遭ったのだが、着いてみるとすばらしい渓流だった。森の風がサーッと流れて涼しく、川は透き通っている。魚やサワガニもいる。響は裸で水遊びをしたが、自分の頭までつかりそうな深みに行こうとしたり、大きな石を投げたり、大はしゃぎだった。僕たちは川底の石を踏んで足が痛くなったので、しばらくすると水から上がりたくなったが、響はなかなか上がろうとしなかった。大人が長時間水に浸かれば風邪を引くと思うが、子どもがパワー全開で遊べば大丈夫なのだろう。最後に体が冷えきったので響を水から上げたときも大泣きだった。

 

写真21〜22は吉田病院の「発達症勉強会」の様子です。フリースクール「学びの杜学園」校長の江口直美さんに話していただきました。


写真21 フリースクールでの体験学習について話す江口さん。

 

写真22 熱い内容に応じて、熱い質問や感想が参加者から挙がった。

 

写真23 しずくは寝返りを打とうとうなり声をあげる。

 

写真24 「ゆのまえ温泉  湯楽里(ゆらり)」のレストラン。以前は毎週来ていたが、人吉市に移ってからは行けなくなった。久しぶりに行ったら、メニューが充実していた。

 

写真25 「人吉花火大会」。間近なので爆発の衝撃が体に響く。

 

写真26 娘のしずくはもう寝返りをした。

 

写真27 夏の終わりに花火をした。自分でできて響は喜ぶ。

 

写真28〜29は錦町の大平渓谷に行ったときの写真です。


写真28 道がひどくて着くまでが大変だったが、着いてみると気持ちのいい渓流だった。

 

写真29 響はなかなか水から上がろうとしなかった。

 

 

写真30 あさぎり町の「525カフェ」。店内の雰囲気が良いうえに料理もおいしくてボリュームがある。

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過労の問題について 2017年7月16日(日)

   過労の問題については以前から関心を持ってきました。僕は役場や企業の産業医の仕事もしていますので、もしも長時間残業者(月に100時間以上など)が出た場合には面談をしないといけません(幸いなことに、まだしたことはありません)。また新聞にも過労死の問題がよく載っています。過労⇒うつ病⇒自殺、という流れは多いにありえることですので、精神科医として予防に動かないといけない分野なのです。
   とはいえ自分自身に関係することだとは思ってきませんでした。いまにして思えばもともと僕は仕事中毒になりやすい要素が満載なのですが、いままでは深刻な事態にならなかったので、考えてこなかったのだと思います。それが意外なきっかけから考えざるをえなくなりました。
   精神科医の仕事のなかで、書類作成が占める割合は、実はけっこう大きいです。僕の場合で言えば、典型的な勤務日には、朝から14〜15時までは外来診療、15時から1〜2時間ほどは家族面談やケース会議など、そのあと18〜19時までは病棟診療であり、以後20時くらいまでが書類作成の時間になります。書類といってもいろいろあり、認知症の方なら介護保険の意見書(半年に1回)や紹介元の病院への返書、訪問看護や訪問リハビリの指示書(月に1回)、施設とのやり取りなどです。成人の精神疾患の人なら自立支援医療の意見書(2年に1回)、障害年金の診断書(5年に1回)、返書、精神保健福祉手帳のための診断書、地域のサービスを受けるための医師意見書などです。子どもの場合なら学校などへの情報提供書、特別児童扶養手当の診断書、返書、休学や療養のための診断書などです。また民間の保険会社への診断書(入院期間など)を作ることもしょっちゅうです。
   僕はもともと書くのが好きですので、書類作成は比較的好きな業務です。また書きながら情報を整理する面も大きく、うっかり見過ごしていた面に気づけたり、診断名や行うべき検査を追加できたりすることもあるのです。カルテに添付されている過去の情報を振り返れたり、いまの状況を分析できたりするので、書いてまとめるメリットは大きいです。
  「書きながら考える、考えながら書く」というサイクルは、思考の基本なのではないかと思います。精神科の診療においてもっとも大切な情報はなにかと言えばいままでの経過ではないかと思いますので、カルテの「現病歴」欄には僕は力を入れていますし、書類を作成する際にも現病歴欄でそのまま活用できるような正確な内容になるように努力しています。
   ところが今年(2017年)の7月に入って書類量が急に激増したのです。理由は障害年金の診断書です。ここ数年僕の診療の主な対象は発達症の人たちです(子どもの診療も大半は発達症に関連しています)。ですので知的発達症の人たちの診断書を書く機会も多いのですが、なぜか知的発達症の人たちの障害年金の診断書の作成時期が7月に統一されているのだそうです(精神疾患の診断書は患者さんの誕生月ですので、一度には書類は来ません)。僕の「宿題コーナー」(作成すべき書類の置き場)に急にカルテが積みあがっていったのでびっくりし、また書いても書いても追いつきませんでした。当直の日など22時まで休みなく集中して取り組んだのですが、それでも終わらなかったのです。
   僕自身はやるべきことをためるのを好みませんので、その週の書類は基本的には週末までに終えるというルールにしてきました。さっさとしないと、よけいに苦しくなるからです。ですがとうとうこのルールを守れなくなりました。それでイライラしてしまったのです。
   知的発達症の障害年金の書類が7月に一気に来るというのは現場の実情を考えていないおかしな仕組みです。ただ「システムが不合理だ」と考えることよりも、自分の苦しさが過労の問題ではないかと考えてみることの方が、より大事な視点ではと僕には思えます。仕事が際限なく増えていっているので、どこかで一線を引かないといけない時期にさしかかっているのではと思うのです。
   書類が多くなる最大の理由は、外来の診療患者数が増えていっていることです。僕は週に4〜6人の新規の受診者を受けることが多いのですが、精神科の治療を終了する患者さんは週に1人あるかないかです。精神疾患の大半は慢性疾患ですので、診療を終了する方がいない週の方が多いのです。いまの僕は子どもの診療が中心で、子どもの場合は1回受診してもらって学校に情報提供書を書いて終了というケースもよくありますが、それでも少なくとも週に3人ぐらいは継続診療の方が増えていくことになります。これがずっと続いていっているのです。
   診療患者数が増えれば、それだけ1人当たりの診療に割ける時間が減り、患者さんの待ち時間が長くなります。ですので際限なく増えていくのはよくないことなのです。僕にできる対策としては、できるだけ改善した人の診療を終了したり、安定している方には処方を長期間(2〜3か月分)出すことなどがあります。ですが状態が安定していない方の場合、それもできません。どうしても2週間ごとなど間隔を短くして診療していかないとうまくいかないのです。
   より大きな視点で眺めると、結局は精神科の受診者数が増加していて、施設数が追い付いていないということが背景にあります。現在は日本中の精神科スタッフが過労に陥りやすい状況なのです。精神科の受診者の増加は世界的なレヴェルでの現象と聞いています。ですので当面は進行していくと予想されます。病院のなかで働いているだけでも過労になりやすいのです。
   さらに僕の場合は休日に地域での支援活動をしています。当初はお休みどころで相談を受けることを活動の中心にしようとしていたのですが、だんだんと公的な相談活動に移行し、そちらが中心になってきました。主に非常勤の仕事という形でしているのですが、いつのまにか数が増え、とうとう20件以上にもなってしまいました。内わけは以下のとおりです。
   市町村の「こころの相談」3ヶ所、教育支援委員会5か所(就学予定児童などに特別支援学級の利用が必要かを議論)、認知症初期集中支援チーム2か所、産業医5か所、役場のこころの相談1か所、児童相談所や児童施設の嘱託医3ヶ所、支援学校の学校医、障害者施策推進委員会1か所、フリースクールの顧問1か所、療育ネットワーク会議1か所。
   それぞれの仕事は年に数回でも、積み重なるとだんだん予定が詰まるようになります。さらに不定期の講演依頼も多くなりました。いまは7月なのにもう10月の休日の予定が埋まりつつある状況です。これらもどこかかで整理していかないと、いずれは僕がパンクするでしょう。また休日なのに家にほとんどいないということで、家族の不評を買ってもいるのです。
   そういうわけで現在の僕にとってもっとも手ごわい課題は、実は過労の問題だったのでした。気づいてみれば当たり前のようなことなのですが、いまのいままではっきりと意識したことはなかったでした。過労の問題は奥が深く、以下のような問題とも関連しています。「人間には体力にも精神力にも限界があること」。「仕事と家庭生活のバランスを取ること」。「自分が万能ではないので、活動の範囲をある程度しぼる必要があること」。「自分が取り組んでいる活動のなかで、何がいちばん大事なのか?」。「どのようにすれば休息できるのか?」。「自分の生きがいとは?」。結局のところ、過労を防ぐには、人生のさまざまな課題に優先順位を付けて対応していかないといけないのです。
   僕自身はどちらかといえば課題の発見や指摘は得意ですが、整理は苦手なところがあります。スパッと線を引いたり、頼まれたことを断ったり、何かを切り捨てるのが好きではないのです。とはいえずっと食べ過ぎていればいずれ健康問題が出てくるように、ずっと仕事を取り込んでいればやはり問題が起きてきます。自分のたどってきた道を少し振り返って、どうしても必要なことこそを優先して取り組んでいく必要がありそうです。偶然かもしれませんが、肉体的にも太りすぎによる問題が起こっており、自分の食べすぎも少し改善できないかとチャレンジしているところです。1年ぐらいすれば、成果が出るでしょうか? 乞うご期待です。

 

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2017年7月日録1

7/1(土)   前日の夜に子ども支援についての研修会に参加した。ところが内容は子どもだけでなく成人の支援にも役に立つものだった。講師は心理学者の平川忠敏さんで、鹿児島で「いのちの電話」を立ち上げたり、自閉症の当事者や家族を支援するヴォランティア団体を立ち上げたりと、実践家の側面が強い方だ。新しいことを始める人に会うとよく感じることだが、平川さんも「保守的で型破り」だ。またユーモアを好まれ、会場は笑いに包まれていた。心理学者というよりも起業家としての才能を感じさせる方だった。
7/2(日)   梅雨の合間で雨になりそうだったが、たまたま晴れたので、芦北町の「鶴ヶ浜海水浴場」(〒8695454熊本県葦北郡芦北町鶴木山、電話0966822511)に行ってみることにした。僕の住んでいる球磨地方から最寄りの海水浴場だと聞いていた。あまり期待しないで「下見がてら」という気持ちで出かけたのだが、実際にはすばらしい場所だった。
   海水の透明度が高く、足元に小魚が見える。有明海は内海なので波も高すぎずに泳ぎやすい。周辺にはリアス式海岸のひだひだに小さな漁村が連なっていて、開発され過ぎていないのも良かった。この日は遊べなかったが、遊具のたくさんある施設も併設されている。日帰りできる場所に海水浴場が見つかって幸いだった。
7/4(火)  産業医として地域の工場を訪問した。セラミックや金属の加工をされているが、安全面・環境面・人間関係のいずれにもよく配慮されていた。また外国人実習生の受け入れにも尽力されていてすばらしい。産業医の仕事をしていて矛盾を感じるのは、産業医を呼んでくださる企業は熱心なところが多く、呼んでもらえない企業にこそ産業医が必要なのではと感じることだ。とはいえ少しずつでも訪問しながら、地域の労働環境の向上に貢献できればと思う。
7/5(水)   人吉市にある児童発達支援センター「スイスイなかま」を同僚2人と訪問した。球磨地方の療育施設のなかでいちばん歴史があり、ていねいな保護者支援で名高い。午前は就学前の子どもたちと保護者が来られていた。スケジュールも取り組む活動も徹底的に視覚化されていて、視覚優位な発達症の子どもたちにも参加しやすくできている。
   療育と医療の違いがどのあたりにあるのか、いままで納得がいかずに来たが、排泄・衣類の着脱・入浴・食事・睡眠といった日常生活動作の自立を目指しているところが決定的に違うと思った。医療は疾患の部分に注目してアプローチするが、療育は子育てや生活に焦点を当てるのだと思う。

 

写真1〜4は熊本県芦北町の「鶴ヶ浜海水浴場」に出かけた際の写真です。


写真1 出発の準備をしているとき、美紗さんがしずくを浮き輪に乗せていた。

 

写真2 鶴ヶ浜海水浴場。ものすごく海水がきれいで驚いた。

 

写真3 子どもたちも大はしゃぎで海に入った。

 

写真4 美紗さんと子どもたちは遠くまで行ってしまった。 

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2017年7月日録2

7/9(日)   美紗さんの姉の令紗(なりさ)さんの結婚式に家族で参加した。令紗さんは美紗さんとは対照的な人柄で、美紗さんが控えめで配慮深いが肝が太いのに対して、令紗さんは華やかで活発な反面、案外芯が細かったりする。ケンカしたりしながらも仲のいい姉妹で、自由にぶつかり合えるところが僕はうらやましくなる。
   どんな結婚式になるのか楽しみにしていたが、令紗さんと夫の秀樹さんの人間味のよく伝わる披露宴でおもしろかった。令紗さんの特色として感じたのは以下の2点だ。〕Э佑鉾言してもらったり、つながりを紹介することに力点がある。⇔畆咾気鵑亙絃藁呂あり、気持ちを手紙で伝える場面で、「目に浮かぶような描写」が活きていた。結婚式は「型どおり」になりやすい。個性的な集まりを作り上げた令紗さんたちはすごいと思った。
7/11(火)   子ども支援のケース会議に参加して、学校や教育委員会、福祉課の皆さんと話し合うことが増えた。養育困難や虐待の事案は背景が複雑なことが多く、貧困・家族不和・発達症を含む精神疾患・金銭管理の問題・かたくなな支援拒否・社会的孤立などが絡んでいることがよくある。状況が極端にひどければ児童相談所が動くのだが、「そこまでではない」ということが多く、問題が長期化してしまいやすい。難しいケースほど、地道な信頼関係作りを粘り強く続けていかないと支援が成功しないことが多い。焦ってもうまくいかないのだが、腰を据えて動くには覚悟がいる。年単位で関わっていかれるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、福祉課の相談員の皆さんには脱帽する。
7/12(水)   認知症支援や子ども支援の会議に参加した。会議において何よりも大切なのは自由に発言できる雰囲気で、それがあってこそ思わぬ発見につながっていく。より困難な事例の支援になるほど、「決まりきったこと」だけを言っていても進展しない。一見関係なさそうな小さな気づきが、事態を変えたりする。一部の人だけでなくその場にいる全員で答えを探していくのが、独創的な議論を作り出すのには必須だと思う。
7/15(土)   やすみが通う「さざなみ保育園」の夏祭りがあった。美紗さんは役員なので、事前の話し合いに参加したり、買い出しに行ったり、当日も14時から準備をしたりと忙しかった。祭りの間は美紗さんはかき氷の販売や焼きそば作りの手伝いをしていたが、お客さんが多すぎてさばききれないほどだった。翌朝の片付けには僕が代理で参加したが、保護者会の役員の人たちが10人以上参加して、テキパキと片付けが進んだ。みんな当たり前のこととしてこなしているが、ヴォランティア精神が強くないとできないことで、すごいと思った。

 

写真5〜8は美紗さんの姉の令紗さんの結婚式に参加したときの写真です。


写真5 令紗さんと秀樹さんは花びらのシャワーを浴びる。

 

写真6 生後2ヶ月のしずくも花飾りを付けて参加した。

 

写真7 披露宴では美紗さんのスピーチもあった。

 

写真8 お母さんと退場する令紗さん。華やかだ。

 

写真9〜11はやすみの保育園の夏祭りで撮った写真です。


写真9 輪になって踊りを踊る。

 

写真10 美紗さんは役員なので、かき氷の販売に大忙し。

 

写真11 金魚すくいなどの遊びコーナーでやすみは喜んだ。

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2017年7月日録3

7/17(月)  家族で阿蘇に出かけた。子どもたちを遊ばせるのが目的だが、震災や大雨で被害を受けたと聞いていたので、どんな状況なのかを見てみたかったのもある。主要道が被災して迂回路になっているので、予想通り渋滞していた。僕たちの行った先でもお客さんが以前よりは少なかったので、観光業へのダメージはかなり大きいのではと思う。
   動物園「阿蘇カドリー・ドミニオン」(〒8692225熊本県阿蘇市黒川2163、電話0967342020)は触れ合いを重視した施設で、動物たちを遠くから見るだけではなく、エサやりやタッチングを楽しむことができる。美紗さんと新婚時代に来た思い出の地だが、今回は子どもたちがいっしょだ。施設内でもやすみや響の「行きたいまま」に動いた。全然見ずに通りすぎたり、同じところに長時間いたりして、まんべんなく見ることはできなかったが、子どもたちがはしゃいだので良かった。動物たちを「見せ物」にし過ぎているという批判もあるだろうが、楽しいしかつ子どもの感情教育にもいい場所だと思う。
    泊まったのは「阿蘇ファームランド」(〒8691404熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽5579−3、電話0967672600)。宿泊施設であるだけでなくてテーマパークになっており、なかで一日遊べる。釣り堀、おもしろ水族館、遊具がいっぱいの「はったつの森」、動物触れ合いコーナー、装飾品の手作りコーナーなどがある。大人向けの買い物コーナーや温泉施設、スパ、エステ、健康増進施設などもある。
   半年前に来たときには震災の傷跡がひどかったが、だいぶ改装が進んでいた。シンボル的なバイキング形式のレストランがあと1週間ほどでリニューアルオープンだというから、ほぼ復活したと言えると思う。お客さんはアジアからの人たちが大半で、夕食の席でも日本語はあまり聞こえなかった。日本人の人たちよりも海外の人たち(台湾?)の方がずっと子どもたちに親切で、大雨に降られたときに傘を貸してもらったり、アメをいただいたりした。僕たち養育する親にも優しかった。「子どもは社会全体で育てるもの」という考えが行動の背景にあるように感じた。
7/23(日) 宮崎県小林市にある子どもの遊び場「のじりこぴあ」(〒8860212宮崎県小林市野尻町東麓5160、電話0984443000)に出かけた。遊園地と公園を「足して二で割った」ような無料の施設で、物産館や地元料理のレストラン、バラ園なども併設されている。手作りの遊具が多いのが特徴で、結果的に体を動かして遊ぶことが多くなる。倒れるような暑さで僕と美紗さんはグッタリきてしまったが、やすみはかんかん照りのもとで走って遊んでいた。子どもの方が環境への適応が早いんだと思った。
7/25(火)   鹿児島県日置市(ひおきし)にあるフリースクール「学びの杜学園」(連絡先〒8992201鹿児島県日置市東市来町湯田4477-2 皆田地区公民館2階、携帯09034146065)に久しぶりに行った。不登校になった中学生や高校生を受け入れている学校だ。教員を目指す大学生の施設見学に立ち会ったり、顧問の会に参加したり、親の会「親育ち学び合いの会」の幹事たちと話したりできた。
    不登校になってフリースクールに通っていた子どもたちは、紆余曲折がありながらもそれぞれの進路を進んでいるそうだ。例えば、〆濱卉羈悗防帰して、高校に進学できた。∈濱卉羈悗砲鷲帰できなかったが、新たに高校に進学できた。D務悗犬燭い難しいので、通信制学校に切り替えた。ず濱匚盥擦鯊感箸靴涜膤悗篝賁膤惺擦某奮悗靴拭ズ濱匚盥擦鯊感箸靴涜膤愎奮慷縦蠅任△襦Ε侫蝓璽好ールに通いながら通信制の高校を卒業し、進学を検討している。といったケースがある。こうしてみると、進路指導そのものは通常の学校と変わらないが、よりきめ細かく丁寧にその子にあった進路を見つけるための情報提供や支援をしてあげるのが、フリースクールの役割であることがわかる。
   人員的にも、経営的にも安定してきているそうで、うれしい限りだ。ただ代表の江口直美さんは満足してはおられず、さらなるステップに向けての動きを模索されている。今後の課題には以下のような点がある。〇楡潴未僚室臓⇔世竜模や受け入れ人数の検討。6軌の確保。せ務面のスタッフ確保。ナ篏金などの活用。Υ慙機関への周知。Г茲蠧颪靴ぅ院璽垢紡弍するために、社会福祉士にも支援に加わってもらう。 江口さんのあくなきチャレンジ精神には、ハラハラさせられる面もあるが(笑)、いつも感嘆させられる。困っている子どもたちと保護者がいる限り、江口さんは成長していかれるのだろう。 
7/26(水)   子どもたちを「江口浜海浜公園」に海水浴に連れていった。僕と美紗さんと響が風邪気味だったこともあり、比較的短い時間、美紗さんが子どもたちを海に入れただけだった。海水浴は水着や浮き輪などの準備が大変で、しかも暑かったりベトついたりするし、さらに疲弊する。親にとっては苦しいばかりだが、やはり子どもたちが喜ぶのを見ると、来て良かったと感じる。親になると、「気力体力の限界を試されること」が多いなと感じた。

 

写真12〜15は熊本県阿蘇市にある動物園「カドリー・ドミニオン」で撮った写真です。


写真12 熊のエサやりができる。写真は鶏肉をあげているところ。他にもパンやトマトをあげることもできる。野生の熊は意外なことに木の実など植物性のものを主に食べているそうだ。

 

写真13 熊との背比べができる。

 

写真14 アルパカのそばによる響。響はうれしかったようでなかなか離れなかった。

 

写真15 ブタにエサをあげるやすみ。

 

写真16〜22は宿泊施設・テーマパーク「阿蘇ファームランド」で撮った写真です。


写真16 釣り体験コーナー。魚がかかったときの「グッと引く手ごたえ」にやすみは興奮した。

 

写真17 「おもしろ水族館」。サメやエイを直接触ることができる。

 

写真18 エサやりコーナーにて。エサを持つ響はすぐにマーラに取り囲まれてしまった。

 

写真19 だんだん慣れて、カピバラにすぐそばからエサをあげられるようになった。

 

写真20 ミミズクを手に乗せる体験もさせてもらえた。

 

写真21 夜に大雨になった。宿舎への移動に困っていたときに助けてくれたのは、海外の人たちだった。

 

写真22 小物作りのコーナー。美紗さんとやすみはオルゴールの飾りつけをしている。

 

写真23〜25は宮崎県小林市の公園「のじりこぴあ」で撮った写真です。 


写真23 地元料理のランチバイキング。野菜が中心でヘルシーだ。しかも非常に満腹感がある。

 

写真24 ケンケンパーをして遊ぶやすみ。すごい暑さだった。

 

写真25 トンネルをくぐる響。

 

写真26 鹿児島県東市来町にあるカフェ「風の丘」(〒8992431鹿児島県日置市 東市来町美山2591)。冷房のない屋外のカフェだったので、真夏日に赤ちゃんを連れていくには不向きだった。でも野趣ある雰囲気に、水上村時代のお休みどころを思い出した。やすみと響はハンモックに大喜びだった。

 

写真27 フリースクール「学びの杜学園」。廃校の一角を借りて運営されている。

 

写真28 江口浜海浜公園。熱射がすごくて汗だくになった。でもサービスがすばらしく、浮き輪の無料貸し出しがあったり、足に付いた砂を洗えるコーナーがあったりして、使いやすい。

 

写真29〜31は鹿児島県日置市にある「花水木・せせらぎの湯」で撮った写真です。


写真29 温泉施設。家族風呂もある。

 

写真30 そうめん流し食堂が併設されている。

 

写真31 コイのエサやりもできた。

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