お休みどころ

こころの相談活動を作り続ける
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フランスの医師と話す 2017年4月6日(金)

  僕が勤務している吉田病院には「子ども支援チーム」があります。メンバーは看護師や精神保健福祉士を中心とする多職種です。10人ほどで毎月例会を開いて勉強しています。年に3回ほどは100人規模の講演会も企画しています。
  4月の勉強会では僕が司法面接研修の報告をする予定でした。研修の内容を話すだけでは伝わりにくいので、司法面接のロールプレイをしてみようと思いました。役割設定をして、仲間に段取りをしました。
  ところが2日前になって、急に事態が変わりました。同僚のH看護師さんから、「フランス人のCさん(児童精神科医)が人吉に来ている」と聞いたのです。H看護師さんの親族の友人に当たる方なのだそうです。H看護師さんはアィディアマンで、いつも新しい動きを提案してくれます。
  そんな方のお話を聞ける機会はめったにないので、ぜひ子ども支援チームの例会で話してくださるようにお願いしました。あわせて病院の見学もしていただけたらと思いました。実現するのかどうか、最後の最後までわからなかったのですが、とうとうその日の夕方に実現することになったのです。あとでわかったのですが、翌日にCさんは東京に移動されるとのことでしたので、ギリギリセーフだったのでした。
  Cさんは温厚で話しやすい女性でした。謙虚な方で、勉強会でも自分だけが話すのではなくて、僕たちが日ごろしている活動についても知りたいとおっしゃいます。そこで子ども支援チームの10人ほどで、Cさんに質問をしながら、自分たちの仕事についても話す形にしました。
  話してみてわかったのですが、Cさんは児童精神科医ではなく、総合診療医(General Practioner)でした。イギリスでは地域ごとに総合診療医(かかりつけ医)がいて、どんな病気でもまずはそこを受診し、必要に応じて専門医に紹介されるというシステムになっています。フランスも同じようなシステムだそうで、Cさんは「赤ちゃんから認知症の高齢者まで」なんでも診療するそうです。初期対応のエキスパートということになりますね。
  なおかつCさんは精神科病院で働いていたそうです。なぜそのようになったかというと、精神科病院の患者さんたちに身体合併症を持つ方が多いので、「総合診療医の配置を」と看護師さんたちが声を上げたのだそうです。事情は日本でも全く同じで、僕が働いている吉田病院でも患者層の高齢化とともに、身体疾患の合併症を持つ方が激増しています。吉田病院では内科医の配置がまだできていないのですが、ぜひ実現してほしいなと思いました。
  Cさんのお話の印象的なポイントは以下の通りです。
・フランスの精神科医療政策の考え方は、「患者さんができるだけ病院のなかではなく、在宅または地域で生活できるように」というものである。
・Cさんの病院は150ベッド程度で50万人の地域をカバーしている。この割合で行くと、人口180万人の熊本県には精神科病院が4つぐらいあれば足りることになる。でもいまは50近い精神科病院が熊本県にはある。なのでフランスの精神科病床は、大まかに言って日本の精神科病床の10分の1くらいなのではと推測される。
・フランスの精神科医療システム(病院、クリニック、施設など)はほとんどが公立である。大半が私立の精神科病院である日本とは大きく違う。日本の精神科病床の削減がなかなか進まないのも、ここに起因している。
・150ベッドの精神科病院に、約80人の医師と、約300人の看護師が勤務している。これは日本の配置よりずっと多い。僕の病院は同じ規模だが、医師は非常勤も入れて8人、看護師も100人以下だと思う。なのでフランスの方が日本よりも「病院は少なく、スタッフの配置は多く」なっていると推測される。
・ピアカウンセラー(病気の当事者が支援者になる)も治療チームに加わる形が近年始まった。
・フランスでも医療の地域格差の問題はある。施設の老朽化の問題もある。
・建物よりもスタッフの質が大切だ。
・身体合併症対策が重要である。
・犯罪を犯した精神障がい者への対応が難しい。入院も長期化しがちである。
  話題は多岐に及びましたが、Cさんの姿勢は一貫していて、地域移行を重視しているのが感じ取れました。そしてそここそがまさに日本の精神科医療が困っている点なのです。いろんな要因があるのですが、結局のところ民間病院は経営的に生き残らないといけないですので、入院者数をなかなか減らせないのです。また患者さんを長期間収容することで経営が成り立つという保険点数システムにも問題があります。どんどん改革が進んでいますが、もっともっと外来や訪問を重視する保険点数システムに変えていかないといけないのでしょう。
  一方でCさんと話しながら感じたのは、「国は違えど、直面している課題はあまり変わらないんだな」ということです。子どもの虐待、休職者の復職支援、精神障がい者の就労支援、認知症の問題、身体合併症の問題など、同じような取り組みをしていることが多々ありました。現代では、国家間の医療格差も少なくなっているのではと思います。
  今回Cさんに来ていただいて感じたのは、「自分たちのやっていることを、いろんな角度から照らしなおす必要性」です。日々の仕事ばかりに追われていると、「ほんとうにこれが有効なことなのか?」といった根本的な問題意識が消えてしまい、かわりに「職場がうまく回るためにはどうすればいいか?」といった実用的な思考ばかりになってしまいます。違った立場から精神科の領域に関わっている人をお招きして、自分たちの業務のあり方を考え直してみるのが、ときには必要だと思いました。今後はもっともっと「異質な視点」を持った人をお招きしていきたいと思います。

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犬のチビについて 2017年4月23日(日)

  犬のチビについてはこのブログ記事のなかでも何度も触れてきました。水上村にお休みどころを開設した2003年の秋ごろに迷い込んできて以来、お休みどころに居ついてしまった犬なのです。その後にも犬のソラとテンが迷い込んできましたが、テンはある時期にいなくなり、ソラは去年2016年の3月に亡くなってしまいました。いまではお休みどころの犬はチビだけになりました。
  そのチビもかなり高齢です。2003年に迷い込んできたころに生後半年ぐらいだったとすると、もう14歳です。ネット上の記事によると、これは人間の88歳に相当するそうです。体が弱って当たり前なのですが、なんとか持ちこたえていました。去年の夏も弱っていましたが、乗り越えました。
  ですがしだいにチビの体が痩せてきました。エサを食べさせても、どんどん痩せていくのです。「体のどこかにガンがあって、栄養分を奪っていっているんじゃないか?」と思うほどでした。
  さらに最近は足が弱ってきて、散歩をしたがらなくなりました。以前は息子の響といっしょにチビの散歩に行っていたのですが、今年の3月ぐらいからはそれができなくなりました。ヨロヨロしたり、坂道を登れなかったりするようになったのです。
  とうとう犬小屋のなかからも出てこれなくなってしまいました。エサを犬小屋のなかにもっていきました。昨日4月22日には小屋のなかでフンをしているのを美紗さんが見つけ、小屋から出れなくなっていることがわかりました。いよいよ立てなくなったのです。
  今日4月23日には、犬小屋からなんとか這い出してきたようで、小屋の前に寝ていました。水もバケツから飲めないでしょうから、エサといっしょに水も低い器であげました。その後夜になっても小屋に帰れないので、美紗さんが毛布をかけてあげました。
  食欲がまだあるのが幸いですが、もうあまり生きれないでしょう。チビとは長い付き合いで、十分生きてくれたと思います。それでもお休みどころの歴史をいっしょに背負ってきてくれた仲間がいなくなってしまうのは寂しいことです。
  チビはもともと気が強い犬でした。気位が高くて、主人である僕の言うことは聞くのですが、他の人の言うことは聞きませんでした。散歩も聖好さんやグレッグさんが連れて行こうとしても、足を止めて動かなかったことを思い出します。
  ほかの犬たちに対してもそうで、ソラとテンに対しても「上から目線(?)」のような様子がありました。犬は上下関係が厳格と聞きますが、リーダーとしてふるまっていたのだと思います。
  ただ人は好きで、お休みどころのお客さんに対してもとても愛想が良かったでした。チビを覚えて懐かしんでくださる方も大勢おられたのを思い出します。犬が苦手な子がチビを触れるようになったり、アニマルセラピー的な活動をしてもいました。
  友人の阿部さんがドッグランを作ってくれましたが、チビは頭が良くて、何回も脱走していました。こちらの考えを読んでしまうようなところがありました。
  そんなチビも年とともに体力の衰えが出てきました。走りがやや遅くなったあるころ、ドッグランのなかでチビとソラが大ゲンカをしました。もうソラの方が圧倒的に動きが早くなっていたので、すぐにチビは押さえ込まれて、耳などを噛みつかれました。それでもチビはケンカをやめませんでした。ソラもやめません。僕が何度叱っても、ケンカが続き、「チビが死ぬんじゃないか」と心配になりました。このときを境に地位が逆転し、チビはめっきりおとなしくなりました。
  そんなソラが先に死に、チビはひとりになってしまいました。犬は集団の動物ですので、2匹と1匹では全然違います。ですがお休みどころを人吉に移して毎日チビの様子をみれるようになったこともあり、エサもよく食べて元気にしていました。子どもたちもチビが好きで、裏庭のチビのところで遊ぶことがよくありました。
  しだいに弱っていくのは生き物の本質であり、どうしようもできないことなのでしょう。家族や仲間が弱っていくのを見ることはつらいことです。チビのこともかわいそうに思います。
  これからあと何日チビが生きられるのかわかりません。ですが最後まで生きて静かに亡くなっていくのでしょう。人間と違って思い悩んだりせずに、生命力の尽きるまでただ生きるのだと思います。
  僕がお休みどころを始める前や始めてからお世話になった方々も、ずいぶんがあの世に逝かれてしまいました。みんなどこかに生きておられるような気がしますが、会えなくなってしまったのも現実です。時間が過ぎるごとに、僕自身も少しずつあの世に近づいていっているのでしょう。
  生きていることははかないです。その限られた時間のなかで、いっしょに思い出を分かち合える家族や友人がいることは幸せなことです。お休みどころの活動も、そこから派生する形で、ずいぶんと社会的な支援システムとして動けるようになってきました。この流れを押し進めて、僕が死ぬ頃には、他の人たちも使えるような支援システムやネットワークの模型ができていればと思います。


追記
  4月25日の早朝、夜にクンクンなくので玄関に移す。昼間、ウンチにまみれてしまったので、体を洗う。
  4月27日、エサを食べなくなる。
  4月28日の朝、息を引き取っていた。最後は体が動かずに歯がゆかったと思うが、よく生きてくれたと感謝した。
  でも僕は知らなかったが、遺体を葬儀場に連れていった美紗さんによれば、すでにウジ虫がわき始めていたそうだ。寂しがる暇もなく、自然現象は進んでいく。
  チビ、ずっとコンビを組めて楽しかったです。ありがとう。またいつかいっしょに散歩に行きましょう。

 

写真1 2月の散歩の際の写真。かなり痩せてはいるが、このころは散歩に出かけられていた。

 

写真2 4月12日。足がよろけて散歩に行けなくなってしまった。

 

写真3 裏庭に寝転んで動けなくなってしまった。響も心配している。

 


写真4 4月16日。散歩はできないが、犬小屋の外でエサは食べれていた。

 

写真5 4月19日。犬小屋から出てこれなくなり、なかでエサをあげた。

 


写真6 4月23日。小屋の外には出てきたが、立ち上がれない。

 

写真7 4月25日、小屋に入れないので、夜は玄関のそばに寝かせることにした。

 

写真8 立ち上がれないので、ウンチが体についてしまう。体を洗った。

 

写真9 4月27日、最後にやすみと響といっしょに。

 

写真10 4月28日、朝、息を引き取っていた。

 

写真11 チビの骨つぼを持つ響。

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2017年4月日録1

4/5(水) 用事が終わって次の用事までの時間があったので、息子の響を連れて宮崎県の「えびの市」に行ってみた。人吉市とは隣どおしであり、高速道路を使えば20〜30分で行ける。それなのに僕たちはえびの市に行くことがいままでは少なかった。県をまたぐとなると、無意識のうちになんとなく遠い気がしてしまうのかもしれない。
  車のなかで響が寝だしたので、美紗さんといっしょに「えびの市民図書館」(〒8894311宮崎県えびの市大明司2146-2、電話0984350242、ウェブページ)に行くことができた。いい図書館に入ると自然といろんな本を見て歩いたり手に取ったりしたくなるが、えびの市民図書館はまさにそうだ。資料が充実しているのに、本の山の圧迫感がない。空間づくりに曲線が生かしてあり、来館者がくつろげるように「余白のスペース」があちこちに用意されているからだろう。
  そのうちに響が起きたので、いっしょに絵本コーナーに行った。偶然手に取った絵本が『シェイカー通りの人びと』(アリス&マーティン・プロベンセン作、江國香織訳、ほるぷ出版、1999年)だった。田舎の素朴さをそのまま表したような絵が素敵だ。たいした出来事が起こらないで、こまごまとした街の様子が続くのだが、登場人物たちにまるで生きているような個性があって惹き付けられる。派手なドラマはないのに最後にジーンとくるのは、やはり絵の力が大きいのだろう。
4/11(火)上球磨認知症初期集中支援チームの会議のあとに、交流のための食事会があった。普段お会いできない行政の方や警察の方も来てくださり、お話できてうれしかった。認知症の困難事例にはDV、虐待、犯罪、貧困、家族機能の低下などが関わっていることが多く、医療や介護のアプローチだけではうまく支援が進まない。ぜひ行政や警察の方たちにも会議に参加していただいて、支援の幅を広げていけたらと思う。
4/14(金)お休みどころで相談を1件受けた。病院での仕事と違って、家族同伴で相談に来る人たちの場合には、「何のために行くのか聞いていない」ということがよくある。また相手が僕のことを全然知らないこともよくある。「誰が、何のために、ここで、何をしているのか」がはっきりしていないわけであり、お互い手さぐりでの対話となる(精神科の専門用語で言えば、「非常に構造化されていない面接」だ)。
  相談の骨格がはっきりしていないため、話がどこに行くかとか、先がどうなるのかが読みにくい。浮遊するような感じで相談が進む。なので不安定感を感じながらの会話になる。
  一方で、話の展開が決まりきっていないため、うまくいけば非常に的を得た面談になる。また相手がいちばん困っている点を見つけて関われるため、やりがいがある。互いに協力しながら答えを見つけていく「共働の意識」も持ちやすい。
  相談や面談をする場合には、会話の自由度を意識して臨むのが大事だ。自由度が高ければ、一般人どおしの会話に近くなる。自由度が低ければ、専門家と相談者のやり取りに近くなる。相談や面談の目的に応じて、会話の自由度を調整する練習が必要だ。今回の相談は非常に自由度が高かったので、勉強になった。
4/16(土)子どもたちを連れて映画『モアナと伝説の海』(原題Moana、監督:ロン・クレメンツとジョン・マスカー、2016年、アメリカ)を見に行った。いままでは子どもたちが退屈して落ち着かなくなったり、泣き出したりして、じっくりとは映画が見れなかった。今回は最初に響が泣いたり、途中でやすみがポップコーンをほしいと言い張ったりはしたが、なんとか最後まで見れた。それも子どもたちがある程度内容をわかって、かつおもしろがっているようだったからうれしかった。
  美紗さんがディズニー映画を好きなので僕も観るようになったが、ディズニーのアニメ映画はどれも質が高くて驚かされる。歌、音楽、映像、キャラクターのいずれもが優れていて、娯楽でありながら総合芸術も目指しているのが伝わってくる。ストーリーの深みもあり、「現代の神話」といった感じだ。ディズニー作品を人生のバックボーンにしていく子どもたちも多いのではと思う。
  僕が共感できたのは、主人公のモアナが「自分に課せられた運命」に気づいて、引き受けていくところだ。「なんで私が?」というのがキーフレーズの1つだが、それは考えても答えの出ないことであって、結局は「持って生まれた力をどうやって活用すれば人々のためになるのか?」という問いに変わっていく。そのプロセスは僕たち1人1人に重なるところがあるのではと思った。
  一方でいわゆるサクセスストーリーになりすぎているような気もした。モアナは挫折や失敗もするのだが、本質的な敗北ではなく、あくまでもアクセントとしての「一歩後退」に過ぎない気がした。「自分の限界を知る」といった要素も、もっと設けてほしかった。

 

写真1 人吉市にある「村山公園」にて。岩のうえに乗った響はおたけびを上げる。

 

写真2 球磨川のほとりを歩く響。川と同じ高さに下りると、景色の自然度が高くて気持ちがいい。

 

写真3 春になって、次々と庭に花が咲いている。

 

写真4〜6は水上村にある公園「水上カントリーパーク ほいほい広場」で撮った写真です。

写真4 響は必死で遊具を登ろうとする。

 

写真5〜6はほいほい広場にある「ギャラリー&カフェ宙(sora)」で撮った写真です。

写真5 天体観測所がアートカフェになっている。

 

写真6 創作アート作品がたくさん売られている。店長の宇井恭子さんの料理も個性的でおいしい。

 

写真7〜8は宮崎県えびの市にある「えびの市民図書館」で撮った写真です。

写真7 保健センターや資料館などの集まった一角にある。

 

写真8 絵本『シェイカー通りの人びと』(アリス&マーティン・プロベンセン作、江國香織訳、ほるぷ出版、1999年)。ドラマティックでないごくありふれた光景の積み重ねが、かえって感情を呼び起こす。 

 

写真9〜12は宮崎県えびの市にある「古民家カフェ 田の神さぁ(たのかんさぁ)」で撮った写真です。

写真9 鳥居がある不思議な建物に入ると・・・。

 

写真10 おしゃれなカフェレストランになっていた。お客さんが多くて驚いた。

 

写真11 ポニーや引退した競走馬が飼われている。

 

写真12 鹿もいた。

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2017年4月日録2

4/18(火)山江村役場の衛生委員会に参加した。職員の皆さんの健康問題に対して支援を行ったり、予防や健康増進の手だてを考えたりする。村長さんをはじめ参加者の皆さんの意識が高く、どんどん議論が発展するので、参加していて楽しい。山江村役場ではもともと職員の健康管理が非常にうまくいっているが、さらなる健康増進に向けての試みを探していけたらと思う。
  山江村にある「時代(とき)の駅 むらやくば」(8680092熊本県球磨郡山江村山田甲1415、電話0966357000、ブログ)に出かけた。昔の役場の建物(木造)をリフォームした場所で、小さな美術館に来たような雰囲気がある。1階は農村レストラン「やまえのまんま」になっている。NPO法人が運営しているだけあって、営利目的の食堂とは違い、山江村の良さを味わってもらいたいというのが活動の根幹なのだとわかる。地元の野菜やタケノコなどを活かした日替わり定食はお腹いっぱいになってしかもヘルシーだ。響にも子ども用のミニ定食をいただいたりして、ありがたかった。
4/23(日)昨夜は家族で映画を観に行き、夜遅かったので宇土市の「米屋旅館」(〒8690431熊本県宇土市本町4-32、電話0964220261)に泊まった。小さいけれど内装がとてもきれいで、職員さんも非常に親切な旅館だ。朝食後に「近くに子どもを遊ばせる場所はないですか?」と尋ねたら、「子どもの遊び場ではないですが」と前置きをされたうえで、「轟(とどろき)水源」(〒8690457熊本県宇土市宮庄町)のことを教えてくださった。「朝のさわやかな雰囲気に合う」のだそうだ。
  さっそく出かけてみた。里山の農村風景のなかに、突然小さな池のようなものがある。それが水源だった。近所のおばあちゃんが2人おられたのでお話を聞いてみたが、ずっと以前から水がわき続けているのだそうだ。夏には子どもの水遊びで賑わうとのことだった。
  すごいと思ったのは、地域のおじいちゃん・おばあちゃんたちや、若い人たちが、次々と集まってきたことだ。特に用事があるようにも見えず、なんとなくのんびりしたり、おしゃべりしたりされているようだった。水源のまわりには明るさと涼しさがあり、気持ちがほっとする。こういうのを「パワースポット」と言うんだろうなと思った。何とも言えず気持ちよくなる場所というのがあるのだ。
  次に氷川町(ひかわちょう)にある「竜北公園」(〒8694804熊本県八代郡氷川町大野919、電話0965535388)に出かけた。以前同僚から勧めてもらって行こうとしたが、別の公園に行ってしまい、結局行けなかったことがある。長い滑り台があるというのをネット記事でも読んでいた。今度こそはぜひ行ってみたかった。
  いざ着いてみると、以前来たことのある「道の駅竜北」の道路をはさんだ向かい側だった。そのときは公園があると気づかなかったのだった。加えて意外だったのは、かなり急な斜面に沿って公園が広がっていることだ。平地に広場や遊具がある光景を予想していたので、びっくりだった。
斜面や階段を登っていくので、妊婦の美紗さんにはかなり大変だった。しかも公園についてから、スライダーの乗り口までにさらに登り坂が続いている。それでも滑り始めると子どもたちが大喜びして叫び声をあげた。やすみも響も5回も滑った。響が自分で滑れるのが意外だった。アスレチックなどの際にも感じたが、響の腕力や脚力はかなり強くなっている。
  一方で響の言葉の発達は遅く、ミミズを「ワンワン」と言ったり、他の子どもの父親を「パパ」と言ったりする。1歳半健診でも「言葉が遅い」と指摘を受けているだけに心配だ。3歳半健診でも指摘を受けたら、専門的な医療機関に連れて行った方がいいかもしれない。響は明るかったり人当たりが良かったりするのでそっちの心配は全くないのだが、言葉については心配だ。

 

写真13〜15は山江村にある「丸岡公園」で撮った写真です。ちょうど桜が満開で、お花見に来た人がたくさんいました。


写真13 桜の花のゲートをくぐっていく。

 

写真14 桜の木の下でピクニックをした。

 

 

写真15 響はゴムボールを持って何回も何回もこの石の台に登った。

 

写真16 山江村の「つつじ祭り」。若い人が多く集まっていて活気があった。

 

 

写真17 山江村の農村レストラン「やまえのまんま」にて。地域の食材を活用した健康食だ。

 

写真18〜20は宇土市にある「轟(とどろき)水源」で撮った写真です。


写真18 里山の風景のなかにいきなり湧水の池がある。涼しい風がわたる。

 

写真19 やすみも響も遊びたがった。水遊びの用意をしていっていなかったのが残念だった。

 

写真20 水源の裏側が小さな森になっていて、その向こうに菖蒲園があった。

 

写真21〜26は氷川町にある「竜北公園」で撮った写真です。


写真21 傾斜地にある公園なので、登りの階段が多い。

 

写真22 100数十メートルの長い滑り台(ロゥラー・スライダー)がある。

 

写真23 スライダーにたどり着くまでにさらに階段がある。きついはずだが子どもたちはよく登った。

 

写真24 いよいよ滑れるときだ。二人で最後まで滑れたので驚いた。

 

写真25 もみくちゃになりながら登ろうとする。結局二人とも一番上には行けないのだが、何度でも登ろうとするから不思議だ。どこからそのエネルギーがわいてくるのか…。

 

写真26 木陰でピクニックをした。

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2017年4月日録3

4/25(火)人吉市保健センターの保健師さんたちと話す機会があった。皆さん僕とは顔なじみで、いままでにも会議などでお会いすることがあった。ただ正面切って子どもの支援システムなどをお話する機会はなかった。痛感したことは、子ども支援の体制はまだまだ本質的に不充分な点が多々あり、熱心な保健師さんほど限界や矛盾に直面してしまうということだ。なのでまずは子ども・発達症の支援に関わるさまざまな職種で集まって、現時点の支援システムでどんな問題が起きているのかを、率直に語り合うのが必要なのではないかと思った。完璧な制度はないが、現場の支援者が知恵を出し合うことで、改良していける余地はたくさんあると思う。
4/29(土)子どもたちを遊ばせるために、宮崎市にある遊園地「こどものくに」(〒8892162宮崎県宮崎市青島1-1-1、電話0985651111)に出かけた。ところが着いてみると、以前の遊園地はスワンボートを除いて撤去される工事が行われていた。芝生の公園になるそうだ。とても残念だった。でも子どもたちは残された滑り台とアスレティック、ツリーハウスで数時間たっぷり遊んで満足そうだった。
4/30(日)「宮崎市フェニックス自然動物園」(〒8800122宮崎県宮崎市塩路浜山3083-42、電話0985391306)に出かけた。以前来たときには気づかなかったが、動物園と一体化する形で遊園地があり、子どもの乗り物がたくさんある。動物たちを見る前にやすみは遊園地に夢中になってしまった。
  それならと乗り放題の券を買ったのだが、今度は響が眠り出した。やすみはやすみで、売店のなかにあるゲームをしたいと言い出した。子どもの注意はころころ変わるので、親はついていくのが大変だ。でも子どもが楽しめばそれでいいので、目的は達成できて良かった。2日後に次の娘のしずくが生まれたらしずくが中心の生活になるので、それまでに楽しませてあげたかった。

 

写真27 球磨川の川べりを散歩する。響は川のスレスレに行きたがる。

 

写真28と29は宮崎市にある遊園地「こどものくに」で撮った写真です。遊園地の部分はなくなり、スワンボートとアスレティックだけになってしまいました。


写真28 アスレティックは充実している。網のトンネルを響はくぐれた。

 

写真29 川にも飛び石がある。

 

写真30 日南市の通りがかった海岸にて。波が高く、サーフィンをする人たちでいっぱいだった。

 

写真31〜32は宮崎県日南市にある「太陽と南洋のパーク サンメッセ日南」で撮った写真です。


写真31 急な斜面に沿ってアートパークのような施設が広がっている。カートで移動できる。

 

写真32 カートを降りてからの移動だけでもきつい。でも後ろを振り返ると、海の広大さを体感できる。

 

写真33は「宮崎市フェニックス自然動物園」で撮った写真です。動物園のなかに遊園地もあります。


写真33 ジェットコースターなどではやすみよりも僕たち大人の方が怖がってしまう。

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司法面接研修に参加する1 2017年3月13日(月)

  「司法面接」という言葉はおそらく多くの方にとって聞き慣れないものではないかと思います。僕にとってもそうでした。大まかに言えば、「性虐待などを受けている可能性のある子どもに対して行われる、司法判断に活用できるような正確な情報聴取のための面接。正確性の向上と子どもの負担軽減のためにさまざまな工夫がされている」といった意味ではないかと思います。従来は児童相談所・警察・検察などで何回も何回も話を聞かれることで、話の内容が変化してしまったり、トラウマ症状などの二次被害が出たりすることが多かったそうですが、いまは多職種協同で1回で面接を済ませるやり方が主流になっています。
  この司法面接という言葉を僕が初めて聞いたのは、児童青年精神医学会の性虐待についてのシンポジウムに参加したときでした。4人の講師のうちの1人の仲真紀子さん(北海道大学大学院 文学研究科教授)が司法面接について話されたのです。話の内容もすばらしかったですが、なによりも仲さんの明るくて純真な人柄が非常に印象に残りました。性虐待のケースは深刻なものが多く、支援システムはまだ十分には整っていません。支援者にもどこか無力感や疲れが見えました。それだけに一層、仲さんの天真爛漫といっていいような優しい明るさが際立ったのです。
  学会で聞いた内容を吉田病院の子ども支援チームの例会で話したら、同僚が質問をしてくれました。「重くて話しづらい話題を子どもから引き出すために、どんな工夫をされているのだろう?」という疑問です。僕はとりあえず仲さんにメールを送ってみました。そうしたらすぐに返事をくださいました。送った僕もビックリでした。
  メールをやり取りするうちに、宮崎市で司法面接研修をしますよ、ということを教えていただけました。それで僕も参加させていただくことにしたのです。僕が働いているのは熊本県なので、県境をまたぐ形になりますが、主催される宮崎県庁こども家庭課の方のご理解で参加できることになりました。
  人吉市から宮崎市までは高速バスで2時間ほどかかりますので、前日の夜から出かけました。会場は「宮崎県中央福祉こどもセンター」です。これは中央児童相談所のある建物です。僕は児童相談所にも1ヶ所しか行ったことがありませんので、楽しみでした。
  研修は2日間です。意外だったのは医療職は僕とカウンセラーの方の2人しかいなかったことです。かわりに多かったのは警察・家庭裁判所・検察といった司法関係の方と、児童相談所や児童養護施設といった福祉関係の方たちでした。どちらも僕が普段ほとんど話したことがない人たちで、しかも子どもの支援をしていくうえで連携しないといけない立場の人たちですから、とてもうれしかったです。
  研修は2日間とも実習が中心で、実習の準備のために基礎的な講義を受ける感じでした。仲さんのお話は非常にわかりやすく、要点を絞りこんだものでした。全国を飛び回って指導に明け暮れておられるそうですが、さまざまな質問を受けながら、内容を練り上げてこられたのでしょう。非常に腰が低くてしかも話しやすい雰囲気を持っておられるので、参加する僕たちも自由に質問がしやすかったです。
  初日に学んだことのポイントを箇条書きにしてみます。
・「子どもから性虐待の訴えがあったが、調査の結果、被疑者は無実だった」というケースが過去に多発した。
・子どもは大人と比べて相手の言葉に影響されやすい。聞き取りをする大人の考えに子どもが誘導されてしまうのが、その原因であった。
・また何度も何度も聞き取りをされるうちに、記憶が変容してしまうのも、問題となった。子どもの「供述に信憑性がない」と判断されて、当事者すべてに負担がかかったケースも出てきた。
・さらに聞き取りを繰り返されるうちに、子ども自身が精神状態の悪化をきたすケースも多くなった。
・そのような背景のもとで、〇碧“獣任忙箸┐襪茲Δ弊騎寮をもった証言を引き出せる面接法、∋劼匹發良蘆瓦最小限になる面接法、が求められるようになった。
・いくつもの面接法の手順書(プロトコル)があるが、仲さんが指導に使っているのは「NICHDプロトコル」である。非常に具体的に話す文言が規定されているのが特徴である。
・子どもにいきなり話すように言っても話せない。NICHDプロトコルの前半部分は子どもに事実だけを話してもらうためのリハーサルや準備運動といった内容である。
・なるべくこちらが口をはさまずに子どもに話してもらうための工夫が大切である。「〜さんがたたいたの?」といった“閉じた質問”(内容が限定的で、「はい」か「いいえ」などで答える質問)はできるだけ使わずに、「〜について始めから終わりまで聞かせてください」「〜について詳しく教えてください」といった“開かれた質問”(自由に話して答える質問)を多用する。そのことでより正確性が高まり、また質問ばかりをあびせ続ける「尋問の雰囲気」が減る。子どもの自由報告がもっとも大切である。
・「Aの出来事とBの出来事の間に何があったか教えてください」、「そのあとに何がありましたか?」といった前後を問う質問も役に立つ。
・基本的な出来事の流れを聞き取れたら、もう少しポイントをしぼって尋ねる。「〜さんについて教えてください」、「〜はどんな物でしたか?」といったある程度内容を限定した質問をする。
・休憩を取り、別室でモニターを見ている人たち(バックスタッフ)のところに行く。もっと聞いた方がいいことなどをアドヴァイスしてもらう。
・最後に話したりないことがないかなどを確認して、子どもをねぎらって面接を終える。
・司法面接のDVDが裁判の証拠として採用されるようになってきている。そうすると子どもは法廷に行かなくてもよくなる。
・子どもの証言だけで立件するのは難しいことも多く、補助証拠を集めるのも大切である。
・司法関係者と福祉関係者の合同の研修や訓練も増えている。
・司法面接を行ううえで、児童相談所・警察・検察のチームワークが必要である。さらに教育・保健・医療などの関係者ともネットワークが広がっていくことが望ましい。

  その他の教えてもらったことは以下の通りです。
・子どもの支援の基盤になる法律は児童福祉法である。特に児童相談所が被虐待児童を施設などに一時保護することを定めている28条が重要である。
・虐待の疑いがあるケースに対して、裁判所の許可状を得たうえでなら司法警察官が自宅を調査することが可能である。これを「臨検(りんけん)」と言う。児童相談所の職員と警察官が合同で行うことが多い。
・家庭裁判所は大きく分けて[ズГ篩蠡海覆匹亡悗垢覯板軻發諒響茵焚隼事件)と∈瓩鯣箸靴燭衄箸垢それのある子どもの事件(少年事件)の2つに関わる。調停や審判を通して紛争が解決することを目指す。 
・児童養護施設の職員は子どもたちへの対応法の基礎として、コモンセンスペアレンティング(CSP)を学ぶことが多い。これは虐待をしてしまった親が子どもへの接し方を学ぶペアレントトレーニングを応用したものである。

 

写真1 司法面接研修の会場である宮崎県中央福祉こどもセンター。

 

写真2 会場の様子。グループワークとロールプレイが中心だった。

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司法面接研修に参加する2 2017年3月13日(月)

  司法面接研修の2日目はさらに実践的でした。1つの面接の手順を学び、ロールプレイとその録画画像の検討が4回あり、その合間に講義がはさまっている感じです。講義だけでは学んだことは身に付かず、グループワークや実習が大切だと聞いたことがありますが、司法面接研修ではそれが徹底していました。仲さんは全国の多数の都道府県で何年間も講義されてきていますので、そのなかで改善を重ねてこられたのでしょう。
  参加者4人が1グループになり、実習を繰り返していくんですが、次第にグループのメンバーどうしも仲がよくなっていきます。僕のグループは児童養護施設の職員、児童相談所の心理士、警察の職員という構成でした。それぞれが違う立場で仕事をしていることもあり、物事の見方が違っていて興味深かったです。グループの構成メンバーが多様になるように仲さんは配置を工夫されていますが、多職種連携の土台となる相互の敬意を作るうえで大事な経験だと思いました。
  2日目に学んだポイントは以下の通りです。
・性虐待を立証するにはかなり詳細な聞き取りが求められる。また時間や場所や出来事を裏付けられる補助証拠が必要になる。
・できるだけ質問者が自由に報告する形の面接にする。これはウソの予防にも役立つ。
・性的な話題が出たときに聞き手がひるんでしまうと子どもが話しづらくなってしまうため、どんな話題にでも冷静に対応できる練習が必要である。
・実際には面接の場面で子どもが話してくれなかったり、「わかんない」を連発することもよくあるので、前もって「子どもが話してくれない場合」を想定して面接の計画を練る必要がある。尋ねる質問についても、「この質問でダメならこっちを」といった具合に具体的に考えておくことが大切。
・司法面接の前半の「質問に答える練習」の段階であまりにもうまく進まない場合には、面接をいったん中止して、もう少し時を待つ手もある。
・面接者は子どもに話してもらうことに集中しているので、別室でモニターを見ているバックスタッフが「面接の進め方」や「聞き足りないこと」などをアドヴァイスする。

  研修の最後の方になると、仲さんからの問いかけに対して参加者が答えていく形のやり取りが多くなりました。わずか2日で講師との対話型の勉強ができるようになったのはすごいことです。参加者にも意欲的な人が多く、チームワークも良かったです。とても楽しくて仲さん自身も研修を終わりたくないように感じておられる気がしました。僕自身も寂しく思いました。
  僕個人にとっての発見は以下の点です。
・医療の面接と司法の面接では、同じ「面接」ではあっても目的が違い、臨む姿勢や進め方も違う。
・僕の理解では、司法的な面接では以下の点が重視されている。「事実の確認が第一の目的であり、継続的な関係を作るのが目的ではない」「信頼関係や暖かみは必要だけど、基本的には適切な距離感を保って淡々と進める」「たとえ相手に負担をかける可能性があっても、どうしても必要な場合には事実の確認をする」「具体的な日時・場所・出来事を特定できるような情報を集める」「人間の記憶は確実ではないので、面接の結果だけでなくて補助証拠をたくさん集める」。
・精神科医療の面接で重視されている点は、僕の理解では以下の通りだ。「病気の特定や治療方針の決定に役立つ情報を集めるのが一番基本的な目的」「起こったことや感じていることを率直に話してもらえないと診療が進まないので、率直に話してもらえるような信頼関係作りが重要である」「治療が思うように進まず長期間に及ぶこともよくあるので、協力関係を継続的に保つことが求められる」「相手との会話の内容だけでなくて、相手の会話の進め方や話しぶりにも注目する必要がある」「事実の確認は主要な目的ではない」「面接そのものが治療の手段でもあり、症状の軽減に役立つことを目指している」。
・精神科的な面接の質を高めるためにも、司法的な面接の練習は大切である。自分の専門とは異なる種類の面接を学ぶなかで、普段の仕事を見直すことができる。面接技法の幅の広さを知るためにも、いろいろな面接法を学ぶことが大切である。
・今後も司法関係者とのネットワーク作りに努力していきたい。

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2017年3月日録1

3/1(水) やすみと響は鹿児島市内の動物園に行きたがっていたが、天気が雨だった。それで屋内で遊べる「鹿児島市立科学館」(〒8900063鹿児島県鹿児島市鴨池2丁目31-18、電話0992508511、ウェブページhttp://k-kb.or.jp/kagaku/)に行ってみることにした。僕も以前から行きたかった場所だ。
   内容がやすみたちには難しいかと思っていたが、幼児が遊べるような体験型の展示が中心だった。ジャングルジムのような遊具もあるし、地震体験や強風体験もある。複雑な振り子もあるし、真空や磁力の実験もある。「遊びながら科学に興味を持ってもらおう」という意図がよく伝わる内容だった。普段はあまり意識しないが、この世界には不思議な現象がたくさんあるんだなぁと感じた。
3/2(木) 人吉市の一般市民向けにうつ病の支援の話をさせていただいた。一般の方も来られていたが、僕の知っている支援者の方もいた。就労支援に取り組んでいる人もいたし、子育てサークルをしている人もいた。多様な聞き手を相手に話せるのがありがたかった。
  内容としてはどちらかというとうつ病支援の難しさをお話した。自殺の危険があることと、他の精神疾患と合併してあらわれることが多いことを強調した。うつ病の治療には決定打というほどのものはない。なので薬もカウンセリングも環境調整も運動も、いろいろ組み合わせて立ち向かっていかないと手強い相手だということを伝えたかった。
  専門職でない一般の方たちに話すのには、専門用語が使えない難しさがある。でも一方で自分が取り組んでいることを日常語で確認しなおすきっかけにもなる。精神科医療には物理学などのようなはっきりした原理がないので、どうしても論理的には説明しにくい部分がある。でもそのはっきりしないところが精神科の魅力でもあって、あらゆる学問知識や体験的直感などを総動員して、総体的に考えていくおもしろさがある。医療のなかでも、もっとも人文科学的な知識が役立つ分野ではないかと思う。
3/4(土) 吉田病院の家族会で「地域の支援ネットワークの大切さ」というタイトルで話させていただいた。話しながら気付いたのだが、僕はずっと支援ネットワーク作りを目指して模索してきた気がする。ネットワーク作りは短期間で成果が出るものではなく、形が見えてくるのに少なくとも10年間ぐらいはかかる。いろんなところで知り合った支援仲間どうしがつながりあって、大きな織り物のようなつながりの集合体ができつつあるのを最近は感じる。今後どう展開していくのかが楽しみだ。 一般市民に近い人から専門性の高い人までが参加して、多段階での支援を行っていければ、困難なケースでも状況を改善していけると思う。

 

写真1〜3は鹿児島県鹿児島市にある「いおワールドかごしま水族館」で撮った写真です。やすみは鹿児島市に行く度に行きたがります。


写真1 ジンベエザメはゆ〜らりと泳ぐ。

 

写真2 響は魚つり遊びをしたがった。磁石で釣り上げる。

 

写真3 水族館の前の広場でボール遊びをした。

 

写真4〜6は鹿児島県鹿児島市にある「鹿児島市立科学館」で撮った写真です。


写真4 外観。市立図書館と一体になっている。

 

写真5 入り口を入ると、「鳥の目で世界を眺めるような画像」が床に映っていた。地表近くに視点が来たり、宇宙にまで上ったりする。

 

写真6 工作体験のコーナーもあった。やすみは「プラ板」、響(の代わりに僕)は「割れないシャボン玉」を作った。

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2017年3月日録2

3/5(日) 毎月届く『精神神経学雑誌』の2017年2月号が届いた。このなかにあった講演録「医療プロフェッショナリズム――精神医学の導きの糸として――」(宮田靖志)が非常におもしろかった。「プロフェッショナリズム」とは聞き慣れない言葉だが、意味はそれほど難しくなく、「真に優れた専門職の特性」といったことだ。なので「医療プロフェッショナリズム」とは、医師としてのあるべき姿や理想像を指していることになる。
  この講演録では医師の持つべき資質が掘り下げて考察されている。僕にとって興味深かったのは、以下の点が強調されていることだ。
倫理的・法的な側面から医療を考察できること。
社会のニーズに応えること。
混乱してごちゃごちゃした状況のなかを、小さな考察を積み重ねながら切り開いていくことができること(省察的実践家であること)。
自己変容をもたらすような学びの場があること。 
  言われてみれば「たしかにそうだ!」と思うが、いままでは思い至らなかったことばかりだ。特にスッキリしたわかりやすい仕事でなく、迷ったり揺れたりしながら考えていくことが重視されていることに感銘を受けた。日本語の「医師」という言葉の語感にとらわれずに、支援職としての医師について考え直してみる必要がありそうだ。
3/7(火) 相良村にある相良南小でストレス対処の授業をさせていただいた。いままでは基本的には中学校までしか授業をしてこなかったので、小学校でうまくいくのか心配だった。やってみた感じから言うと、小学6年生の子どもたちの理解力はかなり高いが、理屈っぽい話には食い付きが悪いと思った。要点をさらに整理して日常語でまとめることと、実例を多くすることが必要だと思った。子どもたちに語りかけるには、メッセージを絞りこまないとダメなのだろう。
3/8(水) 響を公園に連れていくついでに、美紗さんとお昼ごはんを食べに出かけた。1軒行ったがお休みで、久しぶりにカフェレストラン「Farmer's Cafe Sakuri 咲莉(さくり)」(〒8680302熊本県球磨郡錦町一武4018、電話0966380390)に行ってみることにした。初めて来た2年前にはずいぶん迷ったが、携帯のマップを使うと比較的スムースに着けた。里山の農家の離れがレストランになっているような感じのお店だ。
  店内にはレンガで組み上げた大きなビザ釜がある。素材の野菜も多くは自家製とのことで、それぞれに味わいがある。料理というのはある意味では誰にでもできることなので、そのなかで個性を打ち出すことは大変だと思う。店主の方の生き方と一体になっているからこそ、深みを感じるのだと思った。
3/12(日) 「高齢者てんかんについて――認知症との鑑別および合併」(松浦雅人)という講演の録画画像を見ることができた。てんかんの専門医である松浦さんが豊富な症例を提示しながら高齢者てんかんの診療ポイントを解説してくださっており、大変役立った。要点は以下の通りだ。
,討鵑んの発症率は小児期と老年期で高い。
高齢者のてんかんはほとんどが複雑部分発作とそれに続く二次性全般化である。
F鷦\全般化のケースは治療につながりやすいが、複雑部分発作のみのケースではてんかんと気づかれるまでに数年を要することも多い。
で知症とてんかんの合併も多い。
ス海討鵑ん薬は転倒につながりやすいので注意が必要。
高齢者は他にも病気があることが多く、多数の薬剤を飲んでいることも多い。薬剤相互作用の少ない抗てんかん薬を使うのが望ましい。

 

写真7 『精神神経学雑誌』の2017年2月号。このなかにあった講演録「医療プロフェッショナリズム――精神医学の導きの糸として――」(宮田靖志)はインスピレーションに満ちている。

 

写真8〜9は錦町にあるカフェレストラン「Farmer's Cafe Sakuri 咲莉(さくり)」で撮った写真です。


写真8 まわりは一面の田畑といった場所にある。

 

写真9 写真には写っていないが、レンガ造りの大きなピザ窯が店内にある。ピザの生地にモチモチ感がある。

 

写真10 御船町にある「イオンモール熊本」のキッズスペースにて。震災のダメージがかなり大きくて、やっと近々リニューアルオープンできるという状態だった。建物の損壊のためと思うが、通路にもお店が出ていた。それがかえって昔の市場のような感じで賑やかでよかった。

 

写真11 友人のジミーくん宅にて。薪ストーブは大量の薪を必要とするので、薪割りが大変そうだ。

 

写真12 多良木町にある公園「ファミリーパーク宇宙ランド」にて。天気がよかったので、50人ほどの子どもと大人で満員状態だった。

 

写真13 人吉市の村山公園でピクニックをした。

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2017年3月日録3


3/19(日) 熊本県八代市で「発達障害かかりつけ医対応力向上研修」が開かれた。僕は主催者の一員として参加した。講義だけでなくグループワーク中心の内容で、集まった小児科や内科のかかりつけ医の方たちも喜ばれていた。発達症の問題で困っている子どもや保護者は多く、医療機関の数が足りていない状況だ。少しでも多くの医療者に関わっていただき、支援システムが整備されていけばいいと思う。
  八代市に行ったので、家族で八代市の「日奈久(ひなぐ)」に滞在した。温泉地として古来名高いところだ。泊まったのは「日奈久温泉  金波楼(きんぱろう)」(〒8695134熊本県八代市日奈久上西町336-3、電話0965380611、ウェブページ)という老舗の旅館で、木造の建物がそのまま文化財になっている。別の時代にタイムスリップした感じだ。「大人はおもしろいけど、子どもたちはどうだろう?」と思っていたが、非日常の世界にやすみは大はしゃぎだった。たまたまこの日の夜には近くの公園で花火が上がり、それを見てまたやすみが歓声を上げていた。 
3/20(月) 祝日だったので、子どもたちを「熊本市子ども文化会館」 (〒8600004熊本県熊本市中央区新町1丁目3-11、電話0963230505、ウェブページ)に連れて行った。初めていく場所だったが、まず利用者が非常に多いことに驚いた。特殊な機械があるわけではなくて一般的な遊具がある施設なのだが、とても親切にできている。食事をとれる場所もあるし、売店もあるし、プラ板や工作なども自由にできる。そしてデザインにも工夫がこらされている。子どものための施設はたくさんあると思うが、結局は「温かみのある場所」が利用者の評価を受けるのだと思う。子どもたちがなかなか帰りたがらないので、困っている保護者の方も多かったが…(笑)。
3/22(水) 「人吉市ボランティア連絡協議会 全体研修交流会」で話させていただいた。ヴォランティア活動をしている人たちにお話しするのが、僕にとっては一番楽しい講演だ。いままでの経験上、「話す前から会場が盛り上がっている」「『自分に何かできないか?』という視点で話を聞いてくださる」「気さくで親しみやすい人が多い」ことが多かったが、この日もそうでうれしかった。医療機関とヴォランティアの連携は僕自身も取り組んでいるが、なかなか進んでいない。でも社会福祉協議会などの公的機関がバックアップしてくださる形でなら、可能なのではないかと思う。
息子の響が車のなかで寝てしまったので、ドライブがてら鹿児島県の伊佐市に出かけた。県はまたぐが人吉市の隣なため、1時間ほどで行ける。ネットで検索して出てきたカフェ「珈琲Gallery 馬舎(ましゃ)」(8952524鹿児島県伊佐市大口堂崎146-5、電話0995225988)に行ってみた。驚いたのは、水上村のお休みどころとほとんど同じ作りの建物だったことだ。さらに家具や調度品までがお休みどころに近かった。故・上島聖好さんに近いセンスを持った人もいるのだと不思議だった。「ゴミは宝」が上島さんのコンセプトの1つだったが、馬舎を運営する女性の方も、物を大事にされる方に見えた。
   吉田病院の発達症勉強会で、中学校教員の村上さんに話していただいた。タイトルは「学校現場における不登校支援」だったので、具体的な不登校支援の話が中心かと思っていた。ところが村上さんが強調されたのは、主に問題の背景にある問題群だった。
ヾ靄榲な問題意識 : いろいろな対策を行っているのに、不登校児の数は増えている。特に中学生で増えている。それはなぜか?
∨‥な側面 : 教育の根拠となる法とは?学校に関連する訴訟の状況。就学義務を法制度的にどうとらえるか?就学義務を厳格化する形での不登校問題へのアプローチ。就学義務をよりゆるやかにとらえる形での不登校問題へのアプローチ。
心理学的な側面 : 教員の仕事が分業化されておらず担任がほとんどのことをする形なので、生徒の逃げ場がなく、不登校に至りやすい構造がある。心理テストを学級経営に応用するアプローチ(心理テスト「Q−U」など)。心理検査や知能検査を不登校支援に応用する。
っ楼茲了抉腑優奪肇錙璽 : 「特別支援教育連携協議会」の場などを活用して、保育園から高校までの支援の連続性を作る。地域にどんな支援機関があり、どこに相談すればいいのかのコンサルテーション・マップを作る。
コ惱環境の工夫 : 担任だけで抱えずに、各学年の担当者などで支援の進捗状況を共有し、対策を検討する。タブレットを個別学習に応用する。
今後の課題 : 不登校をめぐっての訴訟の増加(単位認定など)。不登校児の学力の問題。他職種が支援に入りやすい学校作り。自殺の予防。支援や連携に特化した教員の配置。スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの常勤化。教員のアセスメント能力の向上。弁護士と連携しての法的側面の整備。
村上さんが不登校の問題を多角的に分析し、いろいろなツールを使いながら支援に当たっておられることに驚いた。また不登校の問題は奥が深く、学校や支援者だけが関わる問題ではなくて、社会全体で議論していかないといけない課題なのだと感じた。医療機関は不登校支援の一翼を担えるに過ぎないが、学校との協力関係を強め、いっしょに学んでいけるようでありたいと思った。

 

写真14〜16は八代市にある「日奈久(ひなぐ)温泉  金波楼(きんぱろう)」 で撮った写真です。

写真14 廊下も別の時代のものだ。

 

写真15 ヘルシーな和食が出る。

 

写真16 ギャラリーでは「さおり織り」の作品展が行われていた。八代市にある社会福祉施設「氷川学園」の利用者の方の作品なのだそうだ。

 

写真17〜21は「熊本市子ども文化会館」で撮った写真です。

写真17 入り口の様子。熊本城のすぐそばにある。

 

写真18 ボールプールではやすみと響以外にもたくさんの子どもたちが遊んでいた。

 

写真19 細かいところに趣向が凝らしてある。ロッカーもシャレている。

 

写真20 作ったプラ板をうれしそうに持ち歩く響。

 


写真21 粘土コーナーもある。

 

写真22〜24は鹿児島県伊佐市にある「珈琲Gallery 馬舎(ましゃ)」で撮った写真です。

写真22 野趣ある庭園を通ってお店に入る。

 

写真23 店内は独特のセンスで物が配置されている。写真は中二階。

 

写真24 ケーキセットを食べた。洗練された空間もあわせて味わう感じだ。

 

写真25〜26は鹿児島県伊佐市にある「湯之尾滝ガラッパ公園」で撮った写真です。

写真25 シンボルである「ガラッパ(カッパの方言)」をモチーフにした遊具がある。

 

写真26 走り回って喜ぶ響。広々していて気持ちも開ける公園だ。

 

写真27 吉田病院の発達症勉強会の様子。講師の村山さんはたくさんの参考資料を持ってこられていた。講演もまた膨大な知識を織り込んだものだった。

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